13分前

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「お前さぁ、ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねえよ」
 バチバチにキレた顔で凄まれて、言い返すために用意していた言葉が咄嗟に喉の奥に落ちていった。呆然とする私に奴は言ってやったぜと言わんばかりに鼻を鳴らして背を向けて歩いていく。
 その背中を見送りかけて、はっと慌てて口を開いた。
「え、私のこと可愛いと思ってんの?」
 その言葉にたたんと足を縺れさせて、奴がぎょっと振り返る。相変わらずバチバチにキレた顔。けれど出てくるのは、は、なに、ば、そんな単語にもならない声と、耳まで真っ赤な色。馬鹿だ、こいつ本当に馬鹿。
 何よりの答えに、思わずにーんまりと笑ったその瞬間。

「ちょ、うし、乗んなっつったろ!!!」

 それはもう、バッチバチにキレた顔でそう怒鳴られた。

10/24/2024, 3:44:07 AM