『たとえ間違いだったとしても』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『たとえ間違いだったとしても』
矢を抜いて痛むのならそのままにしたい矢もあるのです
君が好き。
中学生の頃、そう感じて、自分から告った。
後悔はしていない。
高校生になって、学校は離れたけど、まだ別れていない。
お互いに好きと言い合える関係。
もし、あの時、告っていなかったら、私はこんなに幸せじゃない。
君に言ってよかった。たとえ間違っていたとしても。
たとえ間違いだったとしても。
間違いだと、初めに気づいた瞬間、初めて間違いになる。それからが過ちなんだと思う。
人間、鈍感だったり、無頓着だったり、案外なんにも見えていないモノだから、途中で気づく事って意外と多い。だけど、その、やっと気がついた瞬間から取る行動が、その人の人間的な根幹なんだと思う。
僕はいつも一歩遅い。あっ、と気がついた時にはその顔が歪んで、悶えて、怒って、そして無になる。君は優しいから。そんな僕に何も言わない。けど、その瞬間に僕の過ちがまた増える。
私は空を向く度に涙が滲む。あぁ、今日も一日が過ぎてしまった。何も成さず、何も学ばず、何も進まなかった事へ打ちひしがれる。自分とあなたの大きさを比べては狼狽し、またひとつ虚勢と嘘が背に増える。
いつかは必ず気づいてしまう。それは自分が聡いからでも、醜いからでもなく、道徳心とやらに溢れている訳でもない。
自分の中の楽園の、谷の奥に住む己が、気が付いているから。たとえば、間違いだったとしたら、と。問う度に増える過ちに、どう向き合えば良いんだ。
自分で言うのもなんだが、強迫的なまでの生真面目の相で損ばかりしてきたと思う。
間違いが許せかった。人生においての失敗を避け続け、成功者になった。
二十代の敏腕社長の座は、おおよそ囃し立てられ担ぎ上げられたが、人が散るのは速かった。
神輿が傾いて経営が傾いた。金を借りた。利子のみが膨らんだ。破産手続きをしてみた。が、とんと返せる金額ではなかった。
――首を吊った。
俺は何を間違ったのか。失敗を割り切れるほど失敗をしなかったから、人生最大の汚点を消化しきれないのだ。ラムネを吹きこぼしたことすらない男が被る失敗にしては重すぎた。
男は失敗はすればこそ、人生で犯した間違いは一つだけだ。
自ら命を絶ったこと。これが全てである。
しかし、たとえ間違いだったとしても彼はプライドを抱え込めたことに歓喜するだろう。
無けなしの人生におけるプライドを。
【たとえ間違いだったとしても】2024/04/22
手を脱臼しました(手抜きです)
「たとえ間違いだったとしても、後悔なんかしない」
そんな台詞を何かで読んだ。
多分漫画か何かだったと思う。
私はその台詞の力強さと、言った人物のまっすぐな、自信に満ちた瞳に怯んでしまったのを覚えている。
――そんな筈あるか。
そう思ってしまった。
私なんか後悔だらけだ。
間違ったことそれ自体にも、間違って、誰かに迷惑をかけたり傷つけてしまったことにも、未練と後悔の念ばかりが積もっていく。
後悔しないと言い放つその自信はどこから来るのか。
間違えたことを悔やんで、悩んで、それでもその選択しか出来なかったことをずっと背負っていく。
フィクションはフィクションだから、夢みたいな台詞も許されるのだろう。
END
「たとえ間違いだったとしても」
たとえ間違いだったとしても
私があなたを愛したこと、
あなたが私を愛したこと
たとえ間違いだったとしても
ここに、その気持ちが
残っていること
それが全てだと
私は、そう思います
愛し愛された、その時間は
きっと間違いではなかったと
そう、信じたいのです
それがわたしの幸せだから
どうしても考えてしまうから。
あの時、他の選択をしていたら
いまとは違う世界線があったんだろう。
どうしても夢を見てしまうんだ。
何が正解かなんて
分からないけれど
もう少しだけ
貴方のそばにいたかったの。
「たとえ間違いだったとしても」
たとえ間違いだったとしても
本気で貴方を想ってるし、
本気で可愛いと思ってるし、
本気で愛おしいと思ってるし、
本気で嫉妬するし、
ずっと私だけのものでいて欲しい。
あなたの匂いが大好き。
なんて、そんな風に回想してしまうのは、私が盲目で現実を見えていないのかな?理想の恋愛観を、あなたに対して思っているハズだと、勝手に思い込んでいるだけ?
でも、たしかに確実なのは、
当時の恋人との約束を照れくさそうに話すあなたの目を見て本気で落ち込んだこと。
私の事を愛おしそうに見つめてハグやキスをしてくれたあなたを前に、余計大好きになってしまったこと。
恋というより愛や依存に近いものな気もするけれど、とりあえずあなたのことがずっと大好きなのはホント。
世の中のカップルは、恋というより愛や依存に近いけどやっぱり凄く大好きだという関係性も、多くあったりするのかな?皆はどんな気持ちで人と付き合って居るんだろう。
たとえ間違いだったとしても
今の言葉…聞き間違いかな…たった今、あなたから告げられた、ワンフレーズ…
キミが好き
真っ赤な顔のあなた…
唐突過ぎて、混乱する私
嬉しさと、信じられない気持ちが入り混じり、うまく言葉に出来ない…本当は、ドキドキが止まらなくて、暴走しそうなのに…でも、一方では、間違いだったら…って聞き返すのが怖くて…
でも…仮令間違いだったとしても、この一言が、何よりも一番の宝もの…
たとえば、
乗る電車を間違えてまったく知らない
土地へ到着したとしても
自動販売機のひとつとなりの飲み物を
押してしまったとしても
画面で見るよりてろてろで
うすぺらい服が届いたとしても
なんだ、思ったよりよかったじゃーんと
思えれば
たとえ生まれてこなければ、と
誰も知らない涙をこぼした夜があっても
誰にも変われないわたしの道だからと
すこしでも歩いていけるだろうか
たとえ間違いだったとしても
人生には分かれ道があると思う。
それは時には2本だったり、もっと多かったり、
進んでみたら行き止まりだったりもするのだろう。
僕が立たされていたのは、まさしく
人生を大きく左右する分かれ道の手前だったのだと
今となってはそう思う。
***
「最近裏でテロ集団が動いているらしい」
クラスで一番影響力のある、いわゆる"一軍"、
カースト上位のオオノがそう言った。
声が素で大きく、授業中ともなると一層目立ったため
教師に名指しされ、おどけながらオオノは謝る。
しかしそれで話すことをやめるわけではなく、
こそこそと、友人と話の続きをし、僕は興味本位で
耳を立てる。
どうやらビル破壊など物理的な破壊を目的とした
テロ集団ではなく、インターネットの隙間をかいくぐり悪さをする方の、テロ集団だそうだ。
さらに聞き耳を立てていると、そのテロ集団のうちの
1人が昨日捕まり、情報が漏れたことによって瞬く間にインターネット上でテロ集団の存在が知らされてしまったらしい。
どんな情報が漏れたのかまでは分からないにしろ、インターネットを使って悪さをする人たちが、インターネットによってその存在を最高速度で知らされてしまう羽目になるなんて、皮肉だな。
そう思っていると、話すうちに声が大きくなってしまったオオノがまた教師に叱られ、問題を解かされていた。
***
その夜、興味本位で僕は自宅のPCで例の件を調べた。
ネットの住民は仕事が早く、もうまとめサイトまで作られている。
サイトの項目は大きく4つに分かれていた。
今回のことの発端。テロ集団の規模。その集団が目的としていると思われること。また構成員の年齢層。
どうやら今回情報が漏れた原因は仲間割れらしい。
それも報酬額などではなく、目的に対する意見の不一致。
物理的なテロ集団においてはそういった思想の違いによる不一致は起こり得るのだろうが、
このようなインターネット犯罪においては皆、データを人質とした身代金目的だとばかり思っていたため、意外だと感じた。
読み進めると、集団の規模は小さく、
また目的は歪んだ世の中に罰を与えることらしい。
こういった犯罪集団の思考は自分たち=正義であり、それをかざせば何をしても許されるのだと思っている節があるように思う。
大層な目的だなと思いながらスクロールし、手を止めた。
この集団の構成員は、ほとんどが高校生らしい。
自分と変わらない年齢の子たちが世を罰しようと
集まって、計画を立てている。
そのことが僕にとっては驚くべきことだった。
***
サイトの内容はここで終わりだが、ページはまだあり
なんとなくスクロールすると、ポインターが変わり、
クリックできる位置があることに気付いた。
あまりにも怪しい匂いを醸し出しているそのボタンを
僕は押すか押さないか、迷っている。
ネットに関する知識は最低限のものだが、それでもこういったサイトのボタンを無闇に押さないことは今どき小学生にだって分かる。
分かっていても、もう止められなかった。
【それが、間違いだったとしても】
「君を奪いたくても」
好きになる順番とか、理由とか、そんなこと考えたこともなかった。
気がつくと、それは棲みついていて根を張っていたから。
出会ってしまったこと、それが原因だったのかもしれない。
子供の頃に出会っていたとしても、きっと好きになっていたと思う。
好きになるのに理由なんてない。
誰かが言うその意味がやっとわかったけど、わかりたくなかった。
なぜ、あんなヤツと君は付き合っているのだろう。
奪ってしまえるのなら、奪ってしまいたい。
だけど、奪えるような君でいてほしくないとも思う。
それでも、万が一の機会を伺っている自分に嫌気が差す。
────たとえ間違いだったとしても
たとえ間違いだったとしても僕はまた貴方に会いたい
こんなチグハグの文章に納得してしまう
あの時の僕の気持ちを今の僕は共感できない
たとえ間違いだったとしても
あの子は私を見詰めていた。
哀れなモノを見るような瞳で。
あの子の手にはナイフが握られている。
綺麗に研がれたそのナイフには、
一点の曇りもなかった。
あの子は、私を助けようとしているのだろう。
この汚れきった世の中に絶望し、
過去の過ちと後悔に雁字搦めになって、
日々呻き声を隠して生きている私を、
その手に握られた、刃によって、
解き放とうとしているのだ。
あの子の手に握られたナイフは、
私の身体に吸い込まれるように、
突き立てられた。
そして、
あの子は、泣き笑いの様な笑顔を浮かべた。
私の身体を、あの子の手を、辺りの床を、
私の罪の赤色が、染めていく。
私は泥人形の様に崩れ落ち、
次第に五感が失われていく。
私はあの子に、微笑みかけた。
『ありがとう』という言葉は、
声にはならなかった。
あの子の刃を受けたこと。
それが、たとえ間違いだったとしても、
後悔はしない。
たとえ間違いだったとしても / 2024.04.22
縋るように伸ばした手の先で、
君が「しょうがないなあ」と笑っていた。
この想い、許されないのは分かってる
それでも言ったのは僕のエゴ
【たとえ間違いだったとしても】
たとえ間違いだったとしても
(本稿を下書きとして保管)
2024.4.22 藍
虹がかかった
天気予報は当たらなかった
天気予報さえ当たらなかったのだから
たとえ間違いだったとしても
虹の方に歩を進めた
進んだ先には 虹じゃないなにかが
待っているかもしれないから
全てを捨てて、あなたを選んだ。
それがたとえ間違いだったとしても、僕は僕の心に背くことができなかった。
何度も何度も、あなたの夢をみる。
僕に呼びかけるあなたの、その絹のような声が、僕の心を絡め取って離さない。
きっと僕にも、悪魔の角が生えている。
あなたと揃いの黒い角。
後悔しているかい。
あなたは笑っていた。
ええ、もちろん。
僕も笑っていた。
間違えて、その次も間違えて、あなたの望む結末に辿り着いた。
せめて僕を連れて行って。
何も感じない世界まで。
生きる。たとえこの生き方が間違いだったとしても。何を知ることも、見ることもなく、ただ生きもせず死ぬことは、己が許さない。
地を這い泥を啜り血を吐いても、それでも死が己を救うことはない。己が己を赦さぬ限り。己を赦せぬ悲劇に浸り続ける限り。
いつの日か己を、この己をも赦せたら、その時こそ真に死ぬことができる。
胸を張っての凱旋となろう。