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自分で言うのもなんだが、強迫的なまでの生真面目の相で損ばかりしてきたと思う。

間違いが許せかった。人生においての失敗を避け続け、成功者になった。
二十代の敏腕社長の座は、おおよそ囃し立てられ担ぎ上げられたが、人が散るのは速かった。
神輿が傾いて経営が傾いた。金を借りた。利子のみが膨らんだ。破産手続きをしてみた。が、とんと返せる金額ではなかった。
――首を吊った。
俺は何を間違ったのか。失敗を割り切れるほど失敗をしなかったから、人生最大の汚点を消化しきれないのだ。ラムネを吹きこぼしたことすらない男が被る失敗にしては重すぎた。
男は失敗はすればこそ、人生で犯した間違いは一つだけだ。
自ら命を絶ったこと。これが全てである。
しかし、たとえ間違いだったとしても彼はプライドを抱え込めたことに歓喜するだろう。
無けなしの人生におけるプライドを。
【たとえ間違いだったとしても】2024/04/22
手を脱臼しました(手抜きです)

4/22/2024, 3:12:39 PM