『お祭り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お祭り。今年は、何年ぶりかに、夏祭りに行った。普段は、最近、冬の祭りにしか行けてなかったから。しかも、今年は、友達とでは無く、愛する彼氏兼未来の旦那と💕だからか、いつもより、体も心も暑く感じたし、いつもより楽しめた♡明日で遂に付き合って半年♡そして、来月は、2人でプール💕心から愛する彼氏と付き合えた今年は、例年より、楽しみも幸せもいっぱいだ。これからも永遠に貴方の隣にいたい…今のままの私じゃ、駄目かな…?こんな私じゃ、貴方の隣、努まらないかな?それでも、永遠に貴方の隣にいたいのです…例え、周りが何と言おうと、私達は、私達だし、周りの話に呑まれたくは無い。だって、私達には、私達の人生があるから…来年からは、もっと、貴方と、イベントに沢山行ったり、今よりもっと、沢山の2人だけの思い出を作っていきたいなぁ…
喧騒。囃子。提灯。
至る所に人間がいて、そのだれもが笑顔で、幸せそうで、きっと心から祭りを楽しんでいる。──ああ。
うれしいなあ。よろこばしいなあ。きみたちが、とってもかわいくて。きれいで。素敵に着飾って。この祭りを祝ってくれて。
きみたちにとっては、ひと夏の思い出に過ぎないのでしょう。惰性で続く風習なのでしょう。本来の祈りを覚えてる人間は、きっともう、いないのでしょう。
それで良い。それで良いのです。きみたちの営みを、繁栄を、幸福を垣間見ることができたなら。私はそれだけで報われるのです。
笑顔。歓声。喜色。
ああどうか、きみたちの、またこれからの一年に──幸の多からんことを。
それだけを、この社の奥底から、ずっとずっと願っているのです。
お祭り
涼しげな和の装いで鯔背な姿
あなたの隣で夜風を感じ
微笑みを交し歩こうか
ジメッとした梅雨が明け夏になっていく。
暑さに酔いしれて馬鹿になって羽目を外したくなる。
でもそんなに事を思っても中々出来ない。そういう友もいない…
錯覚でも何でも良いから自分も夏を感じたい。
そうだ、お祭りに行こう!
夏の長い日中を経て夜を迎えた町はまだ昼間の熱を伴ったまま。そんな熱気で溢れた石畳を歩く人々の間を縫うように下駄を鳴らしながら早足で抜ける小さな影。浅葱鼠の浴衣に柔らかな紺鼠の兵児帯を合わせたまだ小学校低学年程に見えるその少年は、舞うように人混みを通り抜けていく。
屋台沿いから少し逸れいくつかベンチが設けられた所謂休憩所の区画で呑気にたこ焼きを頬張りながらその姿を認めた少女は、思わず感嘆の声を漏らした。
「あの子凄いねぇ」
「どの子?」
「ほらあの子。今かき氷屋の前らへんでグレーっぽい浴衣に紺か黒かの帯してる」
「……そんな子いる?」
「小さいからなぁ」
ほら今お面屋さんの前にいるよ。少女はそう言葉にしようとして、こちらを見つめる狐の面と目が合った。子供に人気のアニメキャラクターや特撮ヒーローのお面が並ぶ屋台を背に、少年は先程までの流れるような動きが嘘のように静かに佇んでこちらを見つめていた。
直接目の見えないお面越しでも確証があった。今、目が合っている。
浴衣姿で屋台の白熱灯の灯りを背にそこに立つ少年はいやに幻想的で。狐の面も相まって随分と絵になっていた。
その狐の面が微かに上にずらされ現れた口元が悪戯に笑う。そっと小さな手の人差し指がそこに当てられた。
「その子まだいる?」
友人の声に意識を引き戻された少女は、少しの逡巡の後に静かに首を振った。
「……ごめん。もういないみたい」
「そっか。その子、なにが凄かったの?」
「んー…………ナイショ」
「なにそれ」
呆れる友人に謝罪を返し、ふわふわと兵児帯を揺らしながら軽やかに人混みへと消えてゆく背中を見送る。
そう、内緒。ただの野狐か御使い狐か。もしかしたら神様、はたまた別の何かかは知らないけれど。
お忍びを邪魔するのは、野暮ってものだ。
/お祭り
【お祭り】
それを見た瞬間、心臓が止まるかと思った。
「どうかな、変じゃない?」なんだ、この天使は。
恥じらう赤い頬が白い肌に映え、まるでりんご飴のよう。
なんで浴衣姿ってこんなに可愛いのだろう。
「ぜ、全然。変じゃないよ」可愛すぎて、むしろ目に毒。
でも素直に褒められないから意気地なしなんて言われる。
今日だって、君を誘ったのは僕ではなく友人だった。
口だけで誘う勇気のない僕に焦れて、声をかけてくれた。
おかげで夢のような時間を過ごせることになった。
君が受け入れてくれた理由はわからないけど、今はいい。
今日を楽しみにしていたという君の言葉を僕は疑わない。
来てくれただけで嬉しいから、別にお世辞でも構わない。
君は意外と活発で、いろんな屋台に興味を示した。
射的も型抜きも自信満々だったけど失敗。
何食べようと選んだかき氷で見事に青くなった舌を出す。
無邪気に笑う君は楽しそうで、僕も子供みたいに笑った。
はぐれないように、と言い訳をして手を繋ぐ。
手汗が心配だとか、僕より温かいなとか。
そんなことを思いながら、つい早足になってしまった。
だから君に言われるまで、足が痛いと気づけなかった。
罪悪感でいっぱいの僕に、君は優しい言葉をくれる。
「私こそごめんね」って。君が謝る必要などないのに。
屋台の通りから離れ、人通りの少ない場所で座って休む。
その時、大きな音と同時に、夜空に鮮やかな花が咲いた。
「たーまやー、とか言っとく?」君が悪戯っぽく笑う。
その笑みに射抜かれて、また鼓動が早くなる。
「言っとこうかな」返事ではない、気持ちの話。
どうせ花火の音に掻き消されて聞こえないだろうけど。
お祭りについて書くことあまりないなあ。なぜならお祭りにはあまり行ったことがないから。というのも人混みがあまり好きではない。けれども数少ない経験の中でお祭りについて印象的だったことは以下のことです。
すなわち初めて付き合った彼女と行った七夕。付き合って1,2ヶ月で七夕の日を迎えたのだが、その時初だったこともあって、なかなかうまくしゃべれない僕がいた。2,3時間デートしてたんだけど喋ったのが2,3言ぐらい。まぁそういう風にした結果は1ヶ月後くらいにふられたっていう感じ。
2つ目の思い出としてはこれも七夕の思い出だったんだけど、それもまた違う彼女との思い出で彼女の浴衣に肉のタレが着いちゃったという思い出。それで彼女がひどく悲しんでいたのを見て僕も少しいたたまれない気持ちになったというなんとも言えない思い出。まぁそんなこともあったんだけど、その彼女とはフランクに話せる関係で続いたので結構楽しい時期が続いた。
祭りまた行きたいなあ。非日常だよね。ハレとケを大事にしたい。
何百年も続く
伝統のお祭り
神様を敬い
神様に捧げる祈り
いつからだろうね
お祭りは
神事からイベントに変わっていった
夜空に打ち上げられる花火も
屋台のりんご飴も
子どもたちがワクワクする
イベントになっていった
平和なのかもしれない
船乗りだった頃の話。給養員は甲板掃除を終えると夜食のお結びを握る。30個あまりの高菜結と胡麻結びがラップをかかえて並んでいる午後8時。給養員は作り終えるとすぐいなくなるもんだから、船幽霊かなと思う。我らの深夜ワッチがおわる午前3時。お祭り騒ぎが始まる。食卓に30個余りの握り飯がない。通路を覗くと、航海長が口をもぐもぐしながら歩く航海長を見た。皿の上には3つのおむすびが乗っている。それを運用長。本当のお祭り騒ぎが幕を上げた
祭ってさ、
うん。
興業なの?慣習の維持装置なの?それとも、
ちょっと待った。
なに?
あんた、また面倒なこと考えてるね。
考えるのに建前を使えるほど器用じゃないよ。
.....。でもさ、それ、祭の楽しさをばらしちゃってるというか。
うん。だから君に話してみた。
うん?
いい加減なこと言ってきれいな部分を見せあうだけの相手じゃない、ってこと。
君も大概たらしこんでくるね。嫌いじゃないけど、案外ベビー級な――愛情表現するんだね。
愛情表現いうなよ。
そういうのを愛情表現っていうんだよ。いや、だから嫌いじゃないのさ。
恥ずかしくなってきた。もういい。この話題中止。ああもう、手を握るな。
君と初めて来たお祭り。
家族と来たときは感じなかった気持ちの昂り。
君もりんご飴みたいに頬が赤く染まっていた。
君と見た花火は世界一輝いていた。
真夏の猛暑日
僕は今日亡くなった大好きな祖父と幼い頃 毎年行っていた家の近くの神社で行われるお祭りに来ている。
祖父が亡くなって以来行けていなかったお祭り。ところが中学の頃 出会った友達の尋と毎年来るようになった。
今日僕がこのお祭りに来ている理由も尋と遊ぶ約束をしているからだ。
尋とは中学の頃よく放課後も遊んでいたが、高校が違うためや、忙しいのもあり遊ぶ頻度は落ちていった。それでも毎年のお祭りは絶対に会う約束をしていた。
いつもの鳥居の前で。
神社は賑わい、普段人が居ないのが嘘のように思えた。
僕がお祭りの雰囲気に浸っていると、後ろの方から「仁」と僕の名前を呼ぶ声がした。
振り返ると紺色の甚平姿の尋が手を振っていた。
尋の姿を一見して今日に気合いを入れていることは一目瞭然だった。今日のお祭りが楽しみで、という考えではないかと予想した。
「甚平なんて新鮮でいいねお祭りっぽいよ」と僕が言うと
「いやぁ〜久しぶりに仁に会えるし、来年受験だから夏祭り楽しみたいじゃんだから気合い入れてきちゃってさ。」と。
大体予想は的中した。
淡い夕焼けに屋台の赤い光が映える時間帯
僕たちは久しぶりの再会で思い出話をしながら屋台の通りを歩いた。
鳥居からまっすぐ長い参道にそって多くの屋台が並んでいる。焼きそば屋、わたあめ屋、ラムネ屋、射的屋…
尋がラムネを片手に近くのベンチに腰掛けて「そう言えば」と近況報告に話題を変えた。
ラムネを1口飲み「仁は神様はいると思うか」と話し始めた。
僕は突然の哲学的な質問に驚き回答を悩んでいると尋がこう続けた。「俺の友達は将来の夢とか進路とか聞いてもてきとうに答えるやつで夏の進路相談もてきとうに済ませるようなやつだったのに、こないだ急に学校帰りに神様に会ったとか言い出して俺に熱く夢を語ってくれて今進学する為に勉強めっちゃしてるんだよ。夏バテとかなのかなって…あ、バテてはいないか?」
きっと覚悟ができたから今自分にできることをやろうって前に走れる。
僕も見習わなければ。きっかけはなんであれ行動に移さないどダメだ。
変われない。
「僕も変わらないと。」
自省していると。近くの焼きそば屋の方から大きな音がした。反射的に振り向くとそこには倒れる鉄板と少女があった。
周りが騒然とする。
僕は走って向かった。
体が勝手に走っていく。少女は火傷をしていた。辺りの状況から熱々の鉄板が落ちてきて火傷をしたと考えた。鉄板が重いことも他の怪我の可能性も考え、救護テントに少女を運び手当をした。幸い火傷以外の怪我はなかった。お礼をしたいと名前を聞かれたが、お気持ちだけで充分です。と言い残してその場を後にした。
その間 尋は屋台を元に直してくれていた。
いつも僕が突っ走って行くのを止めずに何も言わずに協力してくれる尋。
彼が、彼こそが頼れる人間であり、人のために行動できる人間だと思う。
僕とは違う。僕は優しい訳では無い。本当の人助けはできない人間。そう考え込む僕に
「仁はさ昔からすごく優しくて、頼りになってヒーローみたいだな。さっきも無心で助けてただろ?やっぱりじいさんのヒーローの念が仁に宿ってるんだな」と尋腕を組み感心したように言った。
「優しくないよ。ただ利用されて!面倒事を押し付けられるだけで…僕がもっと頼り甲斐のあるしっかりした人間できてたら。僕のせいなんだよ。」感情が押さえられずに声を荒げて、泣き出しそうになりながら話す僕に冷静で力強い声色で「仁は悪くない。」と言ってくれた。
僕は涙が止まらなかった。
ずっと悩んでいたこと。辛かった。
「変わらなくっていい。仁がやりたくない事はやらなくっていい。仁が助けたいと思った時に助ければいい。義務にしてひとりで背負い込まなくっていいんだよ。面倒事を押し付けてくる方が悪い!」
尋は力強く僕を励ましてくれた。
肯定してくれた。
もう空は深い青
打ち上げ花火と屋台の光
涙で光露と電色が混ざり僕の視界は万華鏡だった。
3話 ※今までのを見て頂けるとさらに…
お祭りは人がたくさんいるイメージだが、人がいないお祭りもあるのだろうか。だとしたら、ちょっと行ってみたいかも、なんて。
その理由が他人があんまり好きじゃないから、だけなのは、ちょっと重症かもしれない。
風物詩
まるで蝉の様な
長い準備と一瞬の閃光
その輝きは戦士に勇気を与え
まるで蝉の様に
一斉に求愛する
その賑やかさはまさしく夏だ
※お祭り
お祭り
夜の闇に光がぽつぽつ灯り始める。
静けさが耳に痛いほどだった道も、
笑い声や、話し声がほら、また一つ二つ。
賑わう声を横目に、進んでいくと
先には赤い「門」
そこを潜れば何があるんだろう?
好奇心に負け「門」を潜った。
先にあったのはこの世とは思えない風景。
人の形をなさない生き物たちのお祭り。
見たこともないものや、食べ物
話をしてみると、自分たちと何も変わらない者たち。
怖いものは怖い。
悲しいことは悲しい。
楽しいは楽しい。
そんな当たり前の感情も同じだった。
楽しい時間が過ぎていく。
終わりの時間が近づいていく。
この「門」を引き返せば、きっと終わりが来るだろう。
この時間は、たった一度の気まぐれが起こした奇跡。
本当は交わらない二つの世界が交わり、
そして、離れていく。
寂しい。
けれど、例えもう2度と会えないとしても。
きっと今日笑ったことも。勇気を出してここを訪れたことも。
私は忘れないだろう。
みんなは忘れないだろう。
「門」を振り返っても、何もない。
遠くから聞こえる音楽も、賑わいの音も、
その全てが、一つのお別れを知らせる。
少し切なさを残す。そんな夜にお話し。
〜お祭り〜
これは昔むかしのお話
山の麓の名もない小さな村に
真面目で働き者の農民たちが暮らしていた
来る日も来る日もせっせと働く姿は
まるで働きアリの様
そんな農民たちも年に一度羽目を外す日がある
そう、お祭りの日だ
普段は真面目な農民たちが
踊り、歌い、笑っている
いつも農民を見守っていた山の神様も
その豹変ぶりに大笑い
あまりにも楽しそうだから
こっそり人に化けて紛れ込む
紛れ込んだのはどうやら神様だけではないようだ
茂みの方から人に化けたキツネも1匹
神様とキツネは顔を見合わせニンマリ
一緒に跳んで回って踊ってみる
あまりの楽しさに我を忘れ踊っていると
農民たちが驚いた顔で踊りを止めている
夢中になりすぎてしまった
神様もキツネも本当の姿に戻っていたのだ
慌てた神様はキツネを抱き上げると
雨を降らせた
農民が気を取られている隙をつき逃げ帰る
その雨は恵の雨となり
それ以降農作物が豊富に育つ村として豊かになった
農民たちは社を建て
その脇に神様の遣いとしてキツネの彫刻を祀り
年に一度のその日を
豊作を願い感謝する大切な日とした
せっかく買ったチョコバナナは、食べ方が下手すぎて、
串からすっぽ抜けて地面に落ちてしまった。
ヨーヨーも、はしゃぎながら何度も手に叩きつけるうち、
ゴムが切れて、コンクリートの上で破裂してしまった。
思えば、随分容量の悪い祭りの過ごし方だったように思う。
転勤族で、そのうち住んでいた地域も新興住宅地 だったりした関係で、地元の祭りというものにイマイチ縁がない。
唯一、住んでいた家の傍でそれなりにしっかり行われていたのが、北海道某所の祭りだった。商店街で行われていた。
失敗ばかりの祭りだったが、とても楽しかった。
金魚すくいは1匹もすくえなかったが、おじさんに、1匹袋に入れてもらって、家で大切に育てた。
その後名古屋に引っ越すことになって、その金魚は同じアパートに住んでいた方にお譲りした。熱帯魚や爬虫類を沢山飼っていて、快く引き受けてくれた。
先日、ふと気になってその商店街について調べた。
店の並びも随分変わって、なんだか外観も小洒落ている。
この商店街には、小学校時代の同級生の家が雑貨屋を営んでいたはずだ。あの店はまだあるだろうか。
お祭り
橙色の丸が連なる暗闇の中で,声はさざ波のように揺らめいている。遠くで誰かが笑い,それに誘われるように周りの声が耳をすり抜けていく。
300を超える日にちの中でたった3日。寂れた町が生き返る夢のような時間は,いつの間にか人に呑まれてしまった。2年,6年,3年と時を重ねて増えた思い出と人の記憶。
屋台を過ぎて,人を見て,かつての記憶を煮詰めたような場所を出る。
彼は数学が得意だった。彼女は誰もかなわないほど走るのが速かった。あの子はいつこの町に帰ったのか。そこにいた同級生がかつてわたしを笑った声はどこまで付いてくるのか。
全てを忘れて踊り明かす泡沫の灯りはただ暗闇に貼り付いて,途方もない記憶を呼び戻しただけだった。
【お祭り】
お祭りの夜は22時以降には外に出ないこと、って。神様が来ちゃうからって出して貰えないって。去年、お祭りの夜に22時以降外に出ちゃった隣の家の子はさらわれちゃったんだ。でもあの時あの子は探しに行くって言ってた。じゃあ、私も探しに行かなきゃって、何故か思ってしまったの。外へ出て一分。
「今年は君か。すぐにお友だちのところに連れて行ってあげる。」
神様なんかじゃなかった。この街から助け出してくれる不思議ななにかだった。
お題《お祭り》
風の言の葉で歌う涼やかな旋律。
それが、人の子を呼ぶ。
カラカラ廻る朱い風車。
青い狐の青年と人の子である、小さな娘。
――拾わなければよかった。
今さら後悔するのはずるいのだとわかってても、もう遅い。憂鬱で悲壮ただよう青年に娘は、風車を指差し楽しげに言った。
「あかい風花きれいだねぇ」
「……風花は、そういう意味じゃないだろう」
「えー? 風に廻る花だよ。ほら」
カラカラ……。
「まあ、たしかに」
綺麗なものだけ集めた、祭り。あやかしも人の子も――結局は好きなのだ、美しく儚いものが。
迷わぬように、その小さな手を引いて、青年は果たしてこの娘が帰れるだろうかと見つめた刹那――目が合った。
「いいの。この夢が終わらないのなら、それでも。だってまだ、お兄ちゃんと一緒にいたいから」