喧騒。囃子。提灯。
至る所に人間がいて、そのだれもが笑顔で、幸せそうで、きっと心から祭りを楽しんでいる。──ああ。
うれしいなあ。よろこばしいなあ。きみたちが、とってもかわいくて。きれいで。素敵に着飾って。この祭りを祝ってくれて。
きみたちにとっては、ひと夏の思い出に過ぎないのでしょう。惰性で続く風習なのでしょう。本来の祈りを覚えてる人間は、きっともう、いないのでしょう。
それで良い。それで良いのです。きみたちの営みを、繁栄を、幸福を垣間見ることができたなら。私はそれだけで報われるのです。
笑顔。歓声。喜色。
ああどうか、きみたちの、またこれからの一年に──幸の多からんことを。
それだけを、この社の奥底から、ずっとずっと願っているのです。
7/28/2023, 10:55:07 PM