~私の名前~
光が差し込んで
カーテンがヒラヒラと揺れている
殺風景なこの部屋で私は産まれた。
看護師さん達は
部屋の中を歓喜という明るい声や顔で
私の方を見た
喜ばれることは
嬉しいことだ。
けれど
何かが違う。
何か物足りなくて
暖かくもない
看護師さんは
安心した顔の他に
悔やむ顔を私にみせた。
私の隣りが心地よくない
看護師さんは
「大丈夫だから」というだけ
産まれて数日で
外の世界に出れることを知れたが
私を迎えに来たのが
若くもない
老夫婦だった。
老夫婦は
涙を浮かべながら言うのだ。
「お前だけでも
生き残って本当によかった」っと…
大きくなってから
教えてもらったんだけど
私の本当のママとパパは
私が産まれる直前
第1子だったから
頭が回らず
とにかく私のことを
健康第一を優先して
車を運転してたらしい。
そしたら…もう
私の親は情けないよ
自ら信号無視だってさ
笑っちゃうよね。
けどね
私は毎日手を合わせることも
忘れてはないよ。
私にしてくれた
最後の親の務めを
私は忘れない。
じゃあ行ってくるよ。
私は新しい苗字になっても
親2人が残してくれた
名前のまま
共に過ごしていきます。
~神様だけが知っている~
私は勢いよく走った。
段々と近づいてくる例の屋上に
そこには立ち入り禁止のマークがあろうとも
スピードは落とさなかった。
扉を開けると
黒髪の優しいそうな男の子がいる…のだが
それは表面だけである。
男は言う
「おせぇーよ」
生意気な口調が
私をイライラさせる種になるけど
そこがまた
私の性癖にささるのだ。
「ごめんっ!」
私は謝るフリをしても
笑いながら許してくれる
爽やかな笑顔が私の好きになった
理由でもありキッカケだ。
「買ってきたか?」
『もちろん!』
「おっ!これこれ!!」
『好きだねぇ~!』
「うん…大好き」
私は顔を赤らめた…
パンの話なのに貴方から聞く
大好きという言葉は私の心をドキドキさせる。
「なんだよ
気持ち悪い顔しやがって」
私は自分のアホずらに
嫌気がさしてしまった。
男は笑いながら
「本当にブサイクだな~!」
『失礼よっ!!』
「そうですか~」
私は用が済んだので
教室に戻ろうとしたが
声で私を止める。
「え?食っていかないの?」
『逆にいいの?』
「いいんだよ」
私はドキドキしながら
隣へ座った。
『い…い天気だね』
「ん?曇りだけど」
『そ…うだね!』
「お前どうした?」
『え?』
「体調悪いんじゃね?」
『そう?絶好調だよ!』
男はジロジロ
私のことを見回す。
「ふーん」
っと言いながら
後に言葉を繋げる
「やっぱり帰ろうぜ」
『ダメでしょ』
「大丈夫っ!」
男は私の腕を引っ張り
階段を降りる。
私は嬉しくなり
心の中で思った。
神様、、、
私はこの幼なじみを好きになっても
いいんでしょうか
とね
良いか悪いかを決めるのは
私だけではない
今後の幸せは
神様に託すとします。
これからの将来は
神様だけが知ってるかもね
「ん?」
『ううん…なんでもないよ』
ね!神様!
私は幼なじみの手を
強く握りしめたのだ。
~この道の先に~
「あぶないっ!!!」
俺の声でビックリしたのか
猫が奥深く茂みの中へ
潜り込んでしまった。
最近動物が
危機感もなく道路へ
飛び出してるのを見てると
心からハラハラする。
けれど
何事の無かったかのように
毎回俺に甘えてくる。
野良猫のくせに。
けれど他の時間帯に
見てみると
俺だけにでは無い
子供から老人にまで甘えてる。
「特別じゃないんだな…」
しかし俺に気づいた猫は
やはり他人ではなく
俺にスリスリ甘てくるのだ。
仕事用のスボンが
毛で汚れてしまう
みんなに愛されているからこそ
保護なんて無理なのかもしれない。
そう思って
俺は仕事に行く道を
ゆっくり歩いた。
猫が鳴いている…
段々と大きく
ん?大きく?
俺は振り向くと
しっぽを左右に揺らしながら
着いてくるのではないか!
「何してんだっ…!
元に戻りな?危険だよ!」
早口で説明しても
相手は猫なのだ。
心配していると
猫が先頭を突っ走った。
仕事なんで
どうでもよかったのだ
俺は無我夢中に走り
猫の後を追った
やはり潜り込むのは
いつもの茂みの中
小さな子供が
ギリギリくらいだと思う。
けれど少し待ってみると
俺でも入れる大広場に
猫が出ていくのが分かった。
それを見失わないように
急ぎ足で走った
そろそろ息の限界だと
思ってる頃
猫が落ち着いたと
思ったら
着いた場所が
ある一軒家だった。
なんというんだろ
なんだか今風でもなく
昔風でもない
懐かしい香りがする
建物だった。
そこに猫が合図を送る
そしたら聞こえる
いつもより高めの鳴き声が
俺は猫を
2度見してしまった。
「お前…雌だったのか!」
と声を出すと
家の中から
女性が顔をのぞかせた。
「最近産まれたんですよ!」
俺は人見知りなせいか
会釈しか出来なかった
「って言う話は
後にしませんか?」
俺は恥ずかしくなり
クッションへ顔を埋めていると
俺の膝へ猫がたむろってきた。
「お前のおかげだよ
俺にこの道を案内してくれて
感謝しかないよ」
そしたら
初めて俺の顔を見て
高めの声で
泣(鳴)きわめくのだ。
~日差し~
「暑っつ!!」
俺は外出してるのにも
かかわらず大声で発してしまった。
「んだよ…くそ暑いな」
通りすがりの人を見ると
今から畑に行くであろう
老夫婦には帽子。
ベビーカーを押してる
母親は日傘。
みんな暑さをしのぐ物を
身につけている。
俺ではというと
何も身につけていない
「みんなより偉くね」
誰にも聞こえないように小声で呟く
けど俺も人間だ
耐えられない時だってあるんだ
っと思いながら1歩前へ出ると
目の前が真っ暗になり
顔付近にはもう
コンクリートがあるのが
薄々気づいていた。
目を覚ました頃には
知らないベットの上で
安静にしていた。
扉の方へ目を向けると
小さな子供が2人ほど見ていた。
俺はビックリした
こんな身体の大きい俺を
子供二人で運んだのか…
子供はニコニコした顔で近づいてくると
「お兄ちゃん!外は危険だよ」
っとまるで
熱中症になるから危険と言ってるみたいだけど
身体を見てみるとそうは
言ってられなかった。
「お母さんいる?」
子供たちは首を横に振った。
けどすぐに
いつものニコニコ顔で
「遊ぼ?」
多分この子達は
あまり外に出たがら…いや
外に出ては行けないんだと
俺は恐る恐る
「なんの遊び?」
子供達は
「モデルさん!」
なるほど…
俺は恩返しのつもりで
遊ぶことを許可した。
子供たちは
俺の話を聞かず
ずっと何かを語っていた。
「モデルさんはね!
いつもキラキラしているところを歩くの!
でもママがそんなのダメって…」
これは母親なりの
厳しさなのか鈍さなのか分からない。
子供で熱中症になるのは
危険なリスクがあるから外へは出さない
逆にモデルが夢であるから
太陽をライトみたいに捉えると
どこまででも歩いて行ってしまう。
だからなのか?
と不思議に思っていると
女の子は外へ出るように合図した
母親が周りにいないってことは
ただの俺が外に出した不審者にあたる。
子供達は
目をうるうるさせながら
扉へと指を指す。
俺は呆れながら
外へ散歩という名の
お出かけをした。
けど俺の解釈が
全く違かったのだ。
俺は日光のことだけを気にしながら
歩いていたので
後ろの人には気づかなった。
右手と左手には
強く握ってあった手が
どんどん弱くなっていく
俺は後ろむくと
父親であろう人だった。
なるほど
母親が残したかったことは
子供たちを守る
最後の約束事なんだと。
俺の考えが甘かったせいで
犠牲にしてしまった。
しかし俺も
意識が朦朧とする。
これは熱中症なのか?
訳の分からず
倒れてしまった。
ハート数100以上
ありがとうございます🎶
飽き性の自分が
こんなのにも『続けられる』のは
皆様のお陰ですっ!ありがとうございます!!
~窓越しに見えるのは~
私が密かに楽しみにしているものは
よく遊びに来てくれる男の子のことだ。
訳あって
入院三昧をしているのがこの私
けれどもっと楽しみにしているのが
よく窓の方に置いていってくれる
『ある花』の事
1本目は
少し嬉しくて毎日
届いてもいいなって心をくすぐられていた。
しかしその花たちは
1本ではなく1日1本 毎回届くように
置いていってくれていたのだ。
届かない日なんて
なかった。
私は1年超しても
入院している。
母親からは
「ごめん…ね
だしてあげられるお金が無いの…」
その言葉を聞いて
私は反論など出来ずにいた。
「私はここまで生きれて幸せだよ」
母は声を震わせながら
泣いている。
私は今年の夏までにしか
生きれないらしい。
時間はあっという間に過ぎていた
18歳を迎える私に
また花が届いていた。
今度は1輪ではなく
薔薇で143本…
私は意味をまだ
理解していないのに泣いてしまった。
多分 いつもの男の子が…いや
男性が私に送ってくれたんだと
感謝の意味を込めて泣いている。
私は
初めて見る顔に驚きを隠せない。
その顔は希望に満ちているのだが
どこか悲しそうな顔をしている。
手元には薔薇で
何か問いかけているのだが
意識が朦朧として話が聞き取れない。
夜中の0時になった途端
私は静かに永遠の眠りについた。
男の子は
最後に薔薇1輪をブーケの中に挿した。
そしたら完成する
薔薇で144本の束が
俺が伝えたいことは
最後に叶うはずだったこと
144日間
毎日窓辺に置く花の意味を
理解してくれてたら
俺は…いや君も
幸せだったのかなと
微笑みながら手を合わす。