さっくん

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~窓越しに見えるのは~

私が密かに楽しみにしているものは
よく遊びに来てくれる男の子のことだ。

訳あって
入院三昧をしているのがこの私

けれどもっと楽しみにしているのが
よく窓の方に置いていってくれる
『ある花』の事


1本目は
少し嬉しくて毎日
届いてもいいなって心をくすぐられていた。

しかしその花たちは
1本ではなく1日1本 毎回届くように
置いていってくれていたのだ。

届かない日なんて
なかった。


私は1年超しても
入院している。
母親からは
「ごめん…ね
だしてあげられるお金が無いの…」

その言葉を聞いて
私は反論など出来ずにいた。

「私はここまで生きれて幸せだよ」

母は声を震わせながら
泣いている。

私は今年の夏までにしか
生きれないらしい。

時間はあっという間に過ぎていた
18歳を迎える私に

また花が届いていた。

今度は1輪ではなく
薔薇で143本…

私は意味をまだ
理解していないのに泣いてしまった。

多分 いつもの男の子が…いや
男性が私に送ってくれたんだと
感謝の意味を込めて泣いている。

私は
初めて見る顔に驚きを隠せない。

その顔は希望に満ちているのだが
どこか悲しそうな顔をしている。

手元には薔薇で
何か問いかけているのだが
意識が朦朧として話が聞き取れない。

夜中の0時になった途端
私は静かに永遠の眠りについた。

男の子は
最後に薔薇1輪をブーケの中に挿した。
そしたら完成する

薔薇で144本の束が

俺が伝えたいことは
最後に叶うはずだったこと

144日間
毎日窓辺に置く花の意味を
理解してくれてたら

俺は…いや君も
幸せだったのかなと
微笑みながら手を合わす。



7/1/2022, 1:24:21 PM