NoName

Open App
4/4/2026, 10:52:29 PM

蒼い血潮の返しを浴びて、
震える両手で抱きしめる。

何をしている───。

脳に響くは己が定め

人ならざるは斬らねばならぬ。
そう刻まれた、絶対の諚。

油断をするなど、あってはならぬ───。

奴らは死すらも、越えてくるぞ───。

繰り返される警笛が、
思考の曇を晴らさんとする。

わかってる。

傷だらけの己の身は、
それが敵だと理解している。

…だからだろうか?

背筋を駆ける、鋭い悪寒。

小さく震える空気の揺らぎ、
その音の根が聞こえる前に。

振るった刀が、敵を断ち切った。

それでいい───。

そう呟いたのは誰であったか。

血だまりに。
穏やかな笑顔が、
ひとつ、転がっていた。

4/3/2026, 12:00:25 PM

ひらりひらひら桜舞う。
雨に打たれて、日に焼かれ。
春の陽気にふるえた桜が、
先にさきにと、生き急ぐ。

逃してなるか───!

そんな心で、カメラを手に、
カシャリと音を、弾ませる。

色はかんぺき
形もカンペキ。

それでも何か、足りていない。
あと一つだけ、何かが足りない───!
思わず、くしゃりと握ったそばから、
予備のフィルムが転がり落ちる。

───ね、落としましたよ…?

そんな優しい音色と共に。

細い手のひらが、画角を遮る。
フッと息抜き、
笑顔をともに、視線を上げて…

「あぁ、ありが…」

……そこに居たのは花の精。

桃色の服をふわりとさせて。
小さく小首を傾げてる。

なりふりなんて、かまいやしない───。

差し出された手を、勢いのまま。
それでも優しく握りしめる。
視線は鋭く、瞳のなかへ。
まっすぐ、まっすぐ思いを込めて。

「一つだけ。頼まれてくれ!」

───はい。

そうして撮った花の写真は、
『一つだけ』
とは、いかなかった。

4/2/2026, 11:16:01 AM

あなたに大切なものはあるかしら───。
お金?友人?それがなんでも構わないのだけど、
それに塁が及ぶのを想像してみて?

どう?怒りが湧いた?
それとも、心が冷めてしまったかしら。

次はその逆───。
手離しても構わないものをイメージして…

あら、眉をひそめて…
あなたには難しかったのかしら。
いいわ、目を開けなさい?

なんで、こんなことを聞いたのかって?

ふふふ。
あなたが、あんまりにも大切そう食べてるから。
ちょっとイタズラしにきたのよ。

あっ、こら、もう。叩かないで!
ちゃんと返すわよ、おっかないわね…

あら、一つくれるの?
嬉しいけど、やめた方がいいわ。

なんでって…

ここでわたしがもらったら、
あなたのものが、減ってしまうじゃない───。


4/1/2026, 1:47:02 PM

やぁやぁ、そこの男の子、
こんなところでどうしたのかな?

足をケガしてうごけない───?

どれ、ボクに見せてごらん?

おやおや、ウソはいけないよ。
ケガどころか、すり傷ひとつないじゃあないか。

魔法使い───?
いやいや、ボクはただのマジシャンさ。

そうだ、少年。
ちょっと手品を見て行かないかい?

え、急いでるから見て行けない?
それまた、なんで。

流行り病で、薬が無くて。
お医者さんを駆け回ってる?

それなら、まぁ。
しょうがないね。

でもさ、少年───。

エイプリルフールだからって、
ウソはいけないよ。

だって、そんな薬。
そこの薬屋で売ってるじゃないか。

3/31/2026, 1:38:27 PM

贈り物には、いろんな想いが込められている。

有名なのは指輪だろうか…
他にもバレンタインのチョコなんてものもあったか。

どれも俺には縁が無い物だ。

だから、目を疑った。

ボロボロの道具箱、
いつかの自分の名残りの中から、
溢れ出てくる小さな贈り物。

折り紙の鶴に、萎れたクローバー。
セミの抜け殻に、きれいな石ころ。

どれもみんな、小さな幸せのおすそ分け。

思わず涙が出る。

だってそうだろ?
なんで、こんなに残ってるんだ。
なんでお前は、残してたんだ。

そんな自問自答すら、
馬鹿らしいと笑えてくる。

浮かんだ顔が証拠だろうよ───。

そう、口だけ悪態をついて。
ぼこぼこ凹んだ、えんぴつを握る。

まずは、何からはじめようか…

拝見…からじゃ、堅苦しい。
久しぶり…じゃ、馴れ馴れしい。

あぁ、でも───。
締めは決まってるんだ。

これからもどうぞ、お幸せに───。

ってな?

Next