カランと氷がグラスを揺らす。
去年のままのカレンダーを今更外して、
あの日仕舞った瓶を傾けて、
味気なさに眉をひそめる。
こんな味だったんだ───。
今更になってそう気づく。
どうしてだろう、
この味に恋して、始めた飲みなのに…
ロクに味すら覚えてなかったらしい。
グラスが揺れる。
机の上に並べたスマホが、
逃げるように動くのを見て、
ため息と共に手を伸ばす。
仕事かな───。
妙な安堵が心を埋める。
疲れて帰れば美味しいはずだ、
忙しければ味も忘れる。
そうしてスマホを手に取って…
あ───。
甘味がじんわり広がった。
それを味わうことすら忘れて、
慌てて羽織に袖を通す。
後に残ったのは、
飲みかけの瓶と暗い部屋。
止まったままのカレンダーは、
奇しくも、今日の日付を示していた。
5/7/2026, 10:48:57 PM