よつば666

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12/6/2024, 8:15:35 AM

お題『眠れないほど』

 萌香は昼食を食べ終えてリビングから私服に着替える為2階にある自室へ向かった。
着替え終えるとベットの上に転がり––––。

萌香「少しだけ休憩したら……課題の残りしよう……」

1日目の補習で出された課題が終わらなくて、宿題になってしまったのだ。

ドアをノックする音と共に母親が御飯ができたわよと呼びに来てくれた。萌香はそれに答え、眠い目を擦りながら1階へ降りてリビングで夕食を食べている。

萌香の父親「萌香。随分眠そうだな」

萌香「……うん。あれ?今日パパ休みだっけ?」

萌香の父親「やだなぁ。パパ朝から居ただろう。見えてなかったのかい?」

萌香「えっ??えぇ……っと」

朝は、仕事に行くマミィと朝食を食べて、それから……最寄りの駅まで車で送ってくれて、その時パパはまだ……仕事で会社に、ん?家に居た?萌香は、朝の出来事を思い出しながらパパの存在を探したが会っていない。萌香の頭の中はパニックでオーバーヒート状態だ。母親は混乱しきっている萌香の様子を見て困った顔で萌香の父親を諌めた。

萌香の母親「パパ、冗談はその辺にしてあげて」

萌香の父親「悪かったよ。久しぶりに帰って来れて、一緒に食事することなかったからつい。萌香、ごめん。本当はパパさっき帰ってきたばかりなんだ」

萌香「もぅ!!パパァ〜!?」

父親の話が嘘だと知った萌香は幼い子供のように頬を膨らませた。小さい頃から父親は冗談ばかり言って困っている萌香の姿を見るのを楽しんでいた。

萌香の父親「お詫びに、面白い話をしてあげよう」

萌香「なになに?どんな話?」

萌香の父親「パパが中学生の時電車のホームにある公衆電話で実際に起きた話を……って萌香どこに行くんだ!?」

萌香は手を合わせてご馳走様と言って食べ終わった食器をキッチンの流し台へ持っていきリビングから出ようとしていた。

萌香「その話、前に聞いた。怖いお話でしょ!萌香、自分の部屋に帰る」

萌香の父親「ありゃぁ。怒らせちゃった。もぅ高校生だから平気だと思ったんだけどなぁ」

萌香の母親「無理よ。萌香、お化けや怪談話すっごく苦手なまま変わらないわ。旦那(あなた)の所為で」

萌香の父親は都市伝説や怪談話が好きで会社の人や友人、時には家族にも話ていた。そのせいで萌香は父親が苦手である。幼い頃に聞かされた怪談話で布団に入ってもなかな眠れないほど怯えたことがある。

萌香「パパの怪談話本当にヤダ。ちょっと思い出しっちゃたよぉ。明日も学校あるのに今日眠れるかな。……ん?学校!?あぁぁーーーっ!忘れてた〜!?」

萌香は課題の宿題を思い出しベットから慌てて起き上がり机に向かい、必死に宿題をするのだった。

End

12/5/2024, 9:34:11 AM

お題『夢と現実』

夏期補習1日めが終わって、家に帰ってきた萌香。
自室に向かわずリビングに置いてある、ソファベットの上で横になり夏の暑い日差しにやられた体を冷房で冷やしていた。

萌香「あつ〜い、お腹空いた〜」

と言ってもお手伝いさんや、執事がいるわけでもましてや未来の猫型ロボットなんて現実にはいるわけがないのですぐに美味しい食事がテーブルの上に用意されることはない。それでも、冷蔵庫には母親が作ってくれたお弁当がある。萌香は気だる体を起こしてそれを取りに向かい、電子レンジという素晴らし家電製品に感謝しつつ温めボタンを押した。萌香はレンジの中央でクルクルと回るお弁当箱を眺めながら呟く。

萌香「電子レンジって人の夢と希望が現実になった機械だよね。これを最初に発明した人は偉大だなぁ」

萌香の言ったことは電子レンジに限ったことではない。この場に真珠星(すぴか)や委員長が居たらきっと
こういうのかも知れない。

『いや、それ以外にももっとあるだろう!?』

End

12/4/2024, 2:50:10 PM

お題『さよならは言わないで』

 幼い頃から父親の仕事の都合で何度も引越しや転校が多かった。私(わたし)はそれが嫌だった。友達ができて仲良くなっても1年、早ければ3ヶ月でその友達と別れることになるんだ。

小学校2年生の春、母親が嬉しそうに私達兄妹(きょうだい)に言った。

母親「お父さんの仕事、今度は長期滞在かも知れないわ」

真珠星(すぴか)「本当に?」

源星(りげる)「信用ならねぇな」

母親「本当よ。お父さんを信じてあげて」

源星「そう言って、何度も俺らを裏切って来たじゃねぇか!?あのクソ親父は!!」

走って玄関に源星は向かう。母親の引き止める声も聞かずドアを開け、そのまま外へ出て行った。真珠星はその場で泣き崩れる母親を横目に兄(源星)の後を追いかけ外に出た。源星はすぐに見つかった。アパートの目の前にある。砂場とブランコしかない小さな公園のブランコに座っていた。真珠星はそっと隣に立って源星の顔を覗き込むようにして声を掛けた。

真珠星「お兄ちゃん、み〜つけた!」

真珠星の満面の笑顔を見た源星は、心の中でずっと押さえていた気持ちが溢れ、言葉にならない声を押し殺して泣いてしまったのだ。

源星「……うぅっ」

兄の泣き顔を初めて見た真珠星は、後ろに回りぎゅっと抱きしめ優しい声で話す。

真珠星「次、転校する時は『さよならは言わないで、また会おう』ってクラスの皆んな言って別れよう」

泣いて気持ちが落ち着いたのか、鼻水をずるずると啜りながら

源星「あ“あ“……そうだな」

真珠星は源星が元気を取り戻したと理解して、勢いよくブランコを後ろから押した。そして––––

真珠星「家(アパートの部屋)まで競争〜」

と言って家に向かって走り出した。負けるまいとブランコから降りた源星は真珠星を追いかけて行った。

End    

12/3/2024, 1:21:24 PM

お題『光と闇の間で』

 「世の中(現代社会)には光と闇がある。人々(私達)ははその間(はざま)で生きている。
学校生活においてもそれは当てはまるだろう。
仮りに【光】を司る生徒会とするならその逆を司る【闇】は風紀委員会だろうか。
ではその間(はざま)は一般生徒なのかそれとも我々教師なのか」

とブツブツ独り言を言いながらピ◯ソに似た教師が自分の席に座り頭を抱えながら悩んでいた。そこへ夏目◯石に似た男性教師、鷲崎(わしざき)が声を掛けた。

鷲崎「また悩み事ですか?八分儀(はちぶんぎ)先生」

ピ◯ソに似た教師こと八分儀は些細な事でも深く悩んでしまうのだ。

八分儀「はい。先ほど私も鷲崎先生と同様に1年の夏期補習生徒、補習クラスB組の監督をしてまして、その時補習に来ていた生徒が私に「光と闇の間」は何かと問われまして……」

鷲崎「なるほど、して先生の答えは?」

八分儀「それが……すぐには何も答えられませんでした」

鷲崎「まぁ、難しい質問ですからね」

八分儀「はい。その生徒私の答えがあまりにも遅いので、他の生徒に同じ質問をしていました」

鷲崎「他の生徒は何か答えましたか?」

八分儀「はい。光と闇は【政治】その間は【お金】だと答えていました」

鷲崎「なるほど。いろんな考えありますね」

八分儀「そうですね」

鷲崎「その内容、夏休み明けの職員会議に出してみますか?」

八分儀「え!?それはやめませんか。私、今以上に悩みそうです」

八分儀と鷲崎は鞄から弁当を取り出して昼食を食べ始めるのだった。

End

12/2/2024, 8:28:32 AM

お題『距離』

夏季補習は午前中で終わる。教科時間にして3時限程度だ。一人の教師が一つの教室を監視する。
補習の課題は赤点(40点以下)を取った教科よって違う為個別で配られる。余談だが、萌香達がいる空き教室の振り分けは総合計点数で決まれられた順位である。

萌香達がいる補習A組は大神と樺本(かばもと)との会話、それに伴って急遽教師の変更により他の補習組と比べて大幅に時間が削られた。

萌香は代わりの教師より本日分の補習用紙を受け取る。

萌香「多い……これ今日中ですか?」

代わりの教師「そうだ。終わるまで帰れんぞ」

萌香「そう、ですか」

萌香の隣から声が聞こえる。どうやら萌香を呼んでいるらしい。

大神「なぁ、なぁ。子猫ちゃん」

萌香「あ、あたし?」

大神「そうや。自分や、あのさ日本史の教科書持ってへん?」

萌香は驚いて思わず大声を出しかけたが、すぐに自分の口を塞いだ。まさか隣の席に運命の人がいるなんて、思わなかった。あまりにも近い距離だったから気づかなかったのだ。萌香は鞄の中を探してみた。すると日本史の教科書が入っていた。しかし萌香は日本史は赤点を取っていないのだ、どうやら別の教科書と間違えて持って来てしまった。

萌香「はい。どうぞ」

萌香は大神に日本史の教科書を貸した。

大神「ありがとう。助かったわ。子猫ちゃんは俺に教科書かして大丈夫なん?」

萌香「に、日本史は大丈夫。あたし別の教科と間違っって持ってきたみたいだから」

大神「そうなんや。もし課題の中に忘れた教科書あったら言うてな、休み時間に取りに行くから」

萌香「ありがとう。その時はよろしくね」

大神「おぅ。任しとき〜」

萌香は心の中で––––。

『今、運命の人と会話して少しだけ心の距離が近づいた気がする』

と思うのだった。

End

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