よつば666

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1/17/2025, 9:15:40 AM

お題『透明な涙』

 大神小真莉(おおがみこまり)はポロポロと透明な涙を流しながら晩御飯の冷やし中華を食べていた。

健太(けんた)「何もなくことないやろ。明日には帰るって兄貴言ってたし」

小真莉「そうやど……でもぉ〜((泣))」

ずるずると冷やし中華を啜る。ついでに鼻水も啜っていた。涙いて少し目が腫れる、その姿を兄貴に見せてやりたいと心の底から思いながら健太は黙々と晩御飯を食べていた。すると母親が笑顔で小真莉に向かい話かけた。

母親「小真莉ちゃん。泣くか、食べるかどっちかにしなさい。健太くんと一緒に作った晩御飯が美味しく食べられへんやないの」

ピタリと小真莉は泣くのをやめ、透明な涙は枯れた。
笑顔の裏の母の顔が怖さが数分毎に増しているのを小真莉は肌で感じるのだった。

End

1/16/2025, 9:42:00 AM

お題『あなたのもとへ』

 大神から『ごめん。間違ったわ(笑)』と謝罪のメールが送られて来てから数時間経った日の夜。
萌香は晩御飯を食べ終えて勉強机に向かい夏休みの課題のプリントを広げて嘆いていた。

萌香「英語難しいよぉ〜。パパが仕事に行く前に教えて貰えばよかったぁ。せっかくパパが課題『手伝ってあげる』って言ってくれたのに……あたしったらまたパパが怖い話すると思い込んで断ってしまったよぉ。……素直に「教えて」って言えばよかったぁ〜」

今更嘆いても仕方ない。萌香の父親は子供の時に仲良くなった外国の友達がいる。その子とその親に英語を習ったことがあるので英語は得意らしい。だから萌香は今すぐにでもあなた(パパ)のもと(仕事場)へ行けるならいきたいと思うのだった。

End

1/15/2025, 5:34:03 AM

お題『そっと』(『あたたかいね』の続きの話です)

 1時間後大神が船星(ふなぼし)の食べた食器を下げに2階の部屋を訪れた。コンコンとドアを叩く。返事がない。寝ているのだろうかとそっと部屋に入る。

大神「船星〜。部屋入るでぇ」

予想通り船星は寝ていた。……が、何やらうなされているみたいで時折『うぅっ』と唸っている。
大神は船星の額に触れた。熱い。

大神「熱あるやんか!冷えピタ!買ってきたスーパーの袋の中にあったわ。ちょー待っててや。取って来るさかい」

ささっとサイドテーブルから小鍋と豆皿等の乗ったお盆を下げ、1階の台所の流し台へ置き小鍋の蓋を開けた。船星は具材は全てたいらげていた。強いていうなら出汁は少し残っていたが大神的に許容範囲で満足げだ。小鍋に水を張る。後で洗おう。今は一刻も早く冷えピタを持って行かねばならない。

冷蔵庫の扉を開けガサガサとスーパーの袋を取り出し、冷蔵庫の扉を閉めた。取り出したスーパーの袋からから冷えピタを持って2階へ駆け上がる。
船星の部屋のドアを開け、静かに船星の側に近寄る。
ハァハァと呼吸が荒くなっている。近くにタオルがなかったので、ティッシュで額の汗を拭う。そして冷えピタを1枚箱から取って透明の薄いシートを剥がし、青色のジェルのついた粒々が肌に触れるように船星の額にそっと貼る。
寝ていた船星が気づいた。

船星「冷たくて……気持ちいい」

大神「せやろ」

船星に笑顔を向ける大神。船星は起き上がろうとしたが大神がそれをさせなかった。

大神「病人は寝とくもんやで!無理に起きやんでええんや」

船星「……ごめん」

大神「気にすんなや。体調悪い時くらい他人に甘えんとそうしな……。!?あかん、話暗くなる。やめや、俺、今日船星の家泊まるわ!」

船星「そ、そんな。これ以上大神に迷惑かけられないよ。それに大神の家族の人が心配するだろうし……」

船星は大神から顔を逸らした。

大神「あのなぁ。そんなん電話一本で済む話や。居場所さえわかっとら大概の親は何も言わん。それに俺の家族のことなら心配せんでえぇ。逆に病人ほっといて帰る方が親に怒られる(どやされる)わ(笑)」

大神は苦笑いをして船星の部屋をあとにした。そして1階へ降りて台所の流し台へ向かい、食器を洗う。洗い終わるとGパンの後ろポケットから携帯を取り出して家の電話へかける。

大神「あぁ。おかん、俺。天河(てんが)。今日さ、友達の家に泊まるわ。……うん……そう。なんや体調悪いみたいやから看病して明日帰って来るわ。小真莉(こまり)には上手いこと言うといてや。ほな」

End

1/14/2025, 5:00:09 AM

お題『まだ見ぬ景色』

 自分の部屋でベットを背にして床に胡座(あぐら)をかいて携帯の受信メールをぼーっと眺めていた。
大神は自身が継母(母)宛に作成し送信した相手が子猫(萌香)ちゃんであることを返信で分かり、大して本文を読まずにさっさと返信し、正しい相手(継母)にメールを送信後、落ち着きを取り戻した大神は萌香からのメールを読み直していた。

萌香『あたし……“まだ“大神君のお母さんじゃないよ。小真莉と健太って誰?』

大神「“まだ“ってどういうことやねん。なんか気になるなぁ。……とりあえず聞かれとることだけ返すか。それに延期しとったイルミネーションの開催期間も迫って来とるしついでに連絡入れとくか」

大神は服装や髪型、話す言葉でチャラく見られがちだが、律儀なとこがあるそれに、約束は守るタイプなのだ。

『To 子猫ちゃん  From 大神天河
小真莉(こまり)は妹で健太(けんた)は弟やで。ホンマに間違ってごめんな。あと延期にしとったイルミネーションのやけど8/4〜8/6のどれかで行かへん?友達何人でも誘ってええから!ほな、返信待ってるわ」

大神「これで【送信】っと!」

萌香が抱くまだ見ぬ景色を大神が知るのはもっと先の話である。

End

1/13/2025, 8:35:16 AM

お題『あの夢のつづきを』(♡が1,000を超えました!ユーザーの皆様ありがとうございます🥰)

 日が沈み外は真っ暗だ。見上げる空には星の瞬きと色鮮やかな光のイルミネーションが野花が咲く小さな丘を幻想的な雰囲気にさせる。丘の上にはピンク色のハート型のライトが灯っていた。萌香はそのハート型のライトの前で目を閉じて何かを待っていた。すると目の前に,突然大神が現れ萌香の手を取り丘の上でくるくると急に踊り出した。

萌香はベットから上半身を起こし––––。

萌香「大神君はそんなことしない!!」

と言って目が覚めた。そう、さっきまで見ていた光景は萌香の夢だった。

萌香「踊らなければいい夢だったのに……。もう一回寝たらあの夢の続きをみれるかな」

萌香は再び夢の中へ行こうとしたが完全に目が覚めてしまい、二度寝は出来なかった。萌香はベットから起き上がり1階のリビングへ向かう。壁にかけられたデジタル時計に目をやると時刻は【9:45】だ。萌香はそのまま目を下に下げ、壁にかけてあるホワイトボードにも目をやった。母親は2時間以上も前に仕事に行き、帰りは夕方だ。父親は散髪に出掛けて戻りは11時過ぎ頃と書かれている。

萌香「今、家にあたししか居ないんだ。寂しいなぁ」

と呟き、自分の部屋から携帯を取りに行く。その時携帯に1通のメールが届く送信者は大神。
萌香は名前を見ただけで胸がドキドキしていた。まさかあの夢の続きを現実(リアル)で体験出来るのかな。

萌香「そういえば【延期】になってから日にち決まってなかったし、そろそろ連絡きてもおかしくないよね」

期待を込めて受信メールを開きメッセージを読むと––––。

『おかん?買い物帰りにスーパーかコンビニで小真莉(こまり)と健太(けんた)がアイス買うて来てやってモナカ入りのバニラのやつ。よろしく〜🍦』

萌香は何度も読み返した。やはり明らかに宛先が間違っている。萌香はどう返事しようか悩んだ。その結果こんな文章を大神に送った。

萌香「あたし……まだ大神君のお母さんじゃないよ。小真莉と健太って誰?」

受信した大神は慌てて萌香に謝罪のメール『ごめん。間違ったわ(笑)』と送信するのだった。

End

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