イブリ学校

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10/10/2023, 4:32:39 PM

 貧しい村の教会に彼は生まれた。彼の父親は隣国の戦争に駆り出されて死に、母親は彼を生んですぐに敵国の兵士になぶられ殺されてしまった。質素な暮らしに彼は辟易していたが、彼は優しい神父や自分とおなじ境遇の子供たちとの暖かくのどかな生活が好きだった。ただ、たまに血の匂いのする軍人や兵士が物資を目当てに訪れてきて、その度彼は人を殺す人間たちに吐き気がした。

 寝苦しい夜だった、眠れず目を瞑っているといきなり教会の扉が轟音とともに吹き飛んだ。破られた扉から銃を持った三人の敵国の軍人がおし入り動くものすべてに鉄の嵐を浴びせた。彼はベッドの下に隠れながらその様子を怯えて伺った。破裂音と光が発生する度に赤い何かが飛び散り、昨日までしゃべっていた友達が変形し、たおれていった。子供の阿鼻叫喚が響く中、軍人の「弱者救済」という叫びと笑い声が頭にこびりついた。すべてが終わり、彼は何も考えられず教会を出ると、外の壁に神父の死体がはりつけにされ脇に馬鹿にするようにスプレーで「弱者救済」と書かれていた。

 神なんてどこにもいないそんな事を考えながら当てもなく森の道を彷徨った。森はすぐに暗くなり、彼はお腹をすかせたまま倒れ、眠った。夢の中で教会でのみんなとの暮らしを思い出し彼は泣いた。その時、何かいい匂いがし彼があたりを見渡すと、明かりが少し離れた場所に見えた。近づくとそこには、あの地獄を作り出した三人の軍人のうち二人が、焚き火を囲むように眠っていた。すぐに彼は逃げようとしたが、火にかかっているシチューを見てしまった。彼の空腹はとっくに限界を迎えており、今食べなければ明日は動けない気がした。明日死ぬなら今死んでも同じか、彼はそう思った。彼は意を決して、静かに火に近づくと軍人たちの顔が照らされた。瞬間、彼はあの地獄で笑っていた顔を思い出し恐怖するとともに怒りが湧いた。みると、寝ているすぐ脇に気持ちの悪い光を放つナイフがおいてあった。彼は自分の感情を抑えられなくなり、そっとそのナイフを持ち上げると軍人の汚い首の上で構え、渾身の力と勢いで刺した。刺した瞬間、軍人の体はしめられる動物のようにびくっとしたあとに血の咳を吐いた。彼は首を思いっきり刺し押さえつけたが、咳の音でもう一人は起きてしまった。彼が血の付いたナイフを首から引き抜くと、軍人は何が起きたのか気づいたらしく悲鳴を上げ腰を抜かしながら、自分の装備の方へ這った。しかし彼に一瞬で押さえつけられできるだけ死なないように何箇所も刺され軍人は死んだ。彼は「弱者蹂躙」そう叫びながら笑った。

 彼は二人が完全に死んでいることを確認した後、一心不乱に火にかかった暖かいシチューを食べた。きれいな白いシチューは輝きを放ち、色とりどりの野菜の旨味が心地よく口に広がった。特に歯応えのある肉は噛めば噛むほど肉汁がドロドロと溢れてたまらなかった。軍人の血が手にベッタリとついていたが美味しすぎて止められなかった。食べ終わった瞬間、いきなり彼は地面に押さえつけられ首にナイフを当てられた。それはもう一人の軍人だった。軍人が二人しかいなかった時点で彼にはこうなることが予想できたが、もうどうでも良かった。殺されるのを待っていると、軍人は彼に二人の軍人を殺したのはお前かと聞いてきた。そうだと彼が答えると軍人は笑い、彼を軍の訓練生にした。彼は訓練中あらゆる科目で史上最高の成績をおさめ、一流の軍人となった。それからの彼はあらゆる戦場で活躍をし、その度に莫大な報奨を授かった。彼の暮らしは誰もが羨むような裕福なものになった。

ある戦場に行く途中、物資を補給するため教会によると。多くの子どもたちが楽しそうに広場で遊んでいた。懐かしむように子どもたちを見ていると、一人の子供がやってきて言った。
「おじさん軍人?」

10/9/2023, 11:22:37 AM

夏が終わり、少し冷えた道を少し距離をおきながら私と彼は一緒に下校していた。
彼は、何かを言いたげにこちらをチラチラ見ていた。
私は自分から謝るのが尺で無視をした。
少し大人げないと思ったが、意地を張ってしまった。
勝手にプリンを食べた罪は重い、しかも1個ずつ売られてる高い奴
謝りに来たら許してやろう、そう思った
けれどいくら待っても彼から話しかけてくることはなかった
待っている間、私は段々と怒りが不安に変わっていった。
こんな事で喧嘩して、子供だと思われたかもしれない。
もし彼がこのまま何処かへ行ってしまったらどうしよう。
冷たい風が頬をすり抜けるたびに、不安が頭に浮かんだ。
私は絶えられなくなって振り向いた。
瞬間、私は抱きしめられた。
何が起こったかわからず上を向くと、彼は不安げにこちらを向いていた。
そして、彼は一言
「昨日プリン食べて、ごめん。許して。明日付き合って一年だからプリン買って一緒に映画観よう」
と言った。
私は彼の胸に顔を埋め、
「いいよ」
そう言った。

お題忘れてた
↓自分メモ明日書く
弱者蹂躙
弱者救済
貧しい村の教会

10/8/2023, 2:58:21 PM

僕は生きることに疲れてしまった。

 ある日僕は、とある洞窟のダンジョンに置いてあった宝箱を見つけた。僕は仲間たちを呼ぼうか迷ったが、いつも自分の事を子供扱いする仲間たちの顔を思い出し、やめてしまった。うひひ、これで僕だけ最強装備ゲットだぜ。
そんなくだらない思いで僕はこの宝箱を開けてしまった。

 「いや~宝箱見つけたけど何も入ってなかった」
あの後僕は宝箱を開けたが中には何も入っておらず、結局僕は仲間のもとにふらふらと帰ってきた。そんな僕を見て、賢く口うるさいモンク、怒ると怖い魔法使い、いつも優しい僧侶は全員呆れ顔を浮かべてそれぞれ叱ってきた。僧侶は嫌がる僕を座らせ診察魔法を唱えると不安そうな顔をした。
「この子、呪われてる」
彼女のひと言に、みんなの顔は険しくなった。急いで僕は教会までみんなに担ぎ込まれた。しかし僕の呪いは解除することができず理由を聞くと、どうやら僕には自分の状態をすべて元の状態に戻す呪いがかかっているようで、呪いを解いても呪いのある状態に戻ってしまうからだった。

 僕は、嬉しかった。この呪いを活かせば僕は実質不死身で、どんなモンスターにも勝つことができる、そう思ったからだった。しかし仲間たちは皆悲しそうな顔をしていた。僕にはその理由がわからなかった。

 それからの僕たちは敵なしだった。向かってくるパーティーもモンスターもすべて僕の不死身の体で特攻を仕掛け、注意の逸れた所を魔法使いとモンクが一掃した。勝利を収めるたびに、僕はボロボロになり、仲間たちの心配そうな表情は深く顔に刻まれていった。

 そんなことが続いたある日、モンクが死んだ。病死だった。モンクは最後に一言「もう戦うな」と僕に伝えてきた。モンクが死ぬ瞬間に立ち会った仲間の二人はベッドの脇でずっと泣いていた。その横で僕は、自分の異常に気づき部屋を出た。それは、父親のような存在であったモンクの死に僕は涙の一つも流せなかったからだった。それどころか悲しみすら湧き上がってこなかった。その原因はすぐに思い当たった。

『元の状態に戻す呪いが前より強化されて感情すらも元に戻してしまっている。』

心拍数が一瞬上がったがすぐに抑制されてしまった。やはりそうだ。

 しばらくして、僧侶が冒険者を引退する事を伝えてきた。理由を聞くと僕のボロボロになる姿に耐えられなくなってしまった、モンクの死を見て死ぬまでにやりたいことができただかららしい。僕は何も感じず了解を伝え彼女を見送った。感情を失ってから精神的なストレスで僕は酒をよく飲むようになった。感情の発露がストレスを減らしていたという事がよくわかった。いくら飲んでもすぐに元の状態に戻され、その度に僕は酒の量を増やした。魔法使いは酒の量が増える度に僕を叱り、僕はその度彼女と喧嘩をした。彼女は僕を見て悲しそうな顔で泣いていた。

『そんなに辛いなら、なんで僕に会いに来たりするんだ。あの僧侶のように何処かへ行ってしまえばいいのに。』

僕はそう思った。

 魔法使いが寿命を迎えた。ベッドの脇で僕は一人シワシワになってしまった彼女の手を、あの頃と同じ自分の手で握った。あれから呪いが強まり自分の体の成長は止まってしまっていた。死に際、彼女は「体に気をつけて、お酒は飲み過ぎちゃだめだよ」そう言った。「心配しなくても僕はもう不死身だ」僕はそう言った。彼女は悲しそうに笑った。

 魔法使いの墓の前で僕は彼女のことを思い出していた。最後まで彼女は僕の心配をしていた。思えば、僧侶もモンクも最後まで僕の心配をしていた。何かが胸に込み上がりそうになりすぐに抑制された。なぜあんなにみんな僕を心配していたのか、僕が呪いを受けたときなぜあんなに悲しそうな顔をしたのか、今の僕なら分かっていた。

 その時、僕は誰かに似た声で後ろから呼ばれた。回想を邪魔され不愉快になりながら振り返ると、そこにはヨボヨボになった僧侶が立っていた。驚き、何も言えないでいると僧侶は「モンクに頼まれていたものです、飲んでください」と言い僕に薬瓶を渡してきた。怪しみながら僕はそれを受け取った。急過ぎないかと思い会話をしようとしたが耳が遠くて何も聞こえていないようだった。少し躊躇したが、自分が不死身なのを思い出しやけになって飲み干した。瞬間、頭に痛みが走ったかと思うと胸に何かが込み上げてきた。吐き出そうとしたが何も出ず、代わりに嗚咽と目から何かがこぼれた。
涙だった、止まらなかった。
僧侶を見ると泣いていた。
仲間との思い出が蘇った。
ともに旅をし、笑い、怒り、そして泣いた。
しかし、どんなときもお互いを思い合った。
モンクが僕に戦うなと言った理由、魔法使いが僕を心配した理由、呪いを受けたときみんなが悲しい顔をした理由は

すべて僕の成長を願ってくれていたからだ。

僕はもう限界だった。膝をつき、魔法使いの墓に頭をこすりつけ、泣き喚いた。僕はみんなの思いを無駄にしてしまった、そう思うとまた泣いた。みんなと一緒に死にたいそうつぶやきそうになったとき、僧侶が優しく僕の背中を擦ってくれた。

生きなければ、生きて成長しなくては、僕はそう思った。

 それから僕の成長を止めていた呪い、もといすべてをもとに戻す呪いは消え去り、まもなく僧侶があの世へ去った。彼女は最後、「体に気をつけて、長生きしてね」そう言った。僕は「強く生きるから心配しないで、今までありがとう」そう言った。

 そして今、僕は冒険者の指南のしごとをし、若い芽を育てている。
「先生、どこが悪いかわかりますか私の剣」
「踏み込みが甘いな、あと一歩踏み込んでから切るようにしなさい」
僕は指導をしながら、木下で汗を拭きつかの間の休息を取った。


10/7/2023, 1:40:10 PM

友達の作り方を聞かれた。
私が幼稚園の年少の担当をしていたとき、生徒にこっそりと耳元でそんな事を聞かれた。それは、可愛い質問だったが中々にシビアな質問でもあった。なぜならば、私自身友達の少ない学生生活を送ってきたからだった。私は悩んだ挙げ句、無難に「お昼休みに遊びに誘ってみたらどうかな、例えば一緒に泥団子作るとか」そう答えた。それを聞いた、その子は不安そうな顔を浮かべながら「じゃあ先生もついてきてお願い」そう言った。かくしてその子と私の友達泥団子でゲットだぜ作戦は始まった。

いよいよお昼休みに入り、まず初めにその子はいつも砂場で遊んでいる男の子を誘いに向かった。私から見ても、泥団子に誘うにはナイスチョイスだと思った。しかし、その希望は一瞬で砕かれ、その子はトボトボとこちらに帰ってきた。理由を聞くと、「砂はそんなに甘くない、今日はひとりでお城を作るから無理」と言われたらしい。職人だった。確かに毎日砂場に完成度の高すぎる建造物が建っていたが彼の作品だったようだ。大誤算で泣きそうなその子の頭を撫でながら私は「プロ意識の高い子もいるから仕方ないね違う子を探してみようか」そう言った。

次にその子が狙いを定めたのは、意外にもいわゆるムードメーカーの人気者の男の子だった。私は大人しい子にターゲットを絞っているのかと思っていたが、どうやらその子は冒険家のようだった。その子が人気者の男の子と話していると何やら会話をしたあと、人気者の男の子はボールを抱えその子の腕を引っ張ってを連れて行こうとした。それを見て私はよかったと思っていると、なにやらその子は「助けて」と言いたげな顔をこちらに向けてきた。私は「頑張れ君ならできる」という意味で親指を立てたが、その子はまるで死刑宣告でもされたように首を横にふった。私は仕方がないので話を聞きに行くと、ドッチボールに誘われたが運動は苦手で無理ということだった。人気者の子には悪いが怪我があるからドッチボールはまた今度誘って上げてほしいと言い引き取ってもらった。すまない優しい人気者君、私は心の中で謝った。

その子は何か燃え尽きたような顔で遠くを見ていた。私は一言「ドッチボールもやってみたら案外楽しいかもしれないよ、怪我って言っちゃたけど」そう言って、その子の頭を撫でた。そうしていると、なんだか昔の自分と重なって見えて最終手段である先生とお団子作ろうか、を言いそうになった。その時、「先生」と声をかけられた。見るとそこには、女の子が二人なにやら泥だらけの手で立っていた。どうしたのと聞いてみると「お団子を一緒につくろう」ということだった。絶好のチャンスだと思ってその子の方を見ると、私の影に隠れてしまっていた。その子はすっかり自信をなくしてしまっていた。ここで変わらなければ私のようになってしまうかもしれない、そう思った私は、心を鬼にしてその子の背中を押し「先生用事あるから、この子と一緒に作ってあげて」そう言った。その子は不安げにこちらを見上げ、二人の女の子は文句有りげな顔でこちらを見ていたが、しぶしぶ三人で泥団子を作りに向かった。

職員室から三人の様子を見ていたがなにやら、破壊と創造をくりかしているらしく、仲良く笑ったり悲鳴を上げたりしていた。とにかく友達に成れたようで私は安心しながら職員室で一人昼食を食べた。

10/6/2023, 2:19:53 PM

腐ったゴミの匂いが漂うマンホールの下、排泄物の流れる流れる通りの横道を抜けた先に彼の家はある。彼の親は彼が物心をついてすぐに、街のギャングに借金の返済ができず見せしめとして殺されてしまった。彼はそれから一人で暗い地下に身を潜め日雇いの仕事をしながら細々と暮らしていた。

絶望に満ちた生活だったが、彼には希望があった。それは街のハズレに売られている笑顔がきれいな奴隷の少女と話すことだった。彼は仕事が終わるとすぐに彼女に会いに行き、その日あった面白い話や拾った本に書いてあった物語を聞かせてあげた。彼女も彼が来て楽しい話をしてくれることを心待ちにしていた。そんな彼等だったがお互いの過去のことは名前も何も知らなかった。お互いに、過去に何かを抱えていることを身なりや状況から察して、気を使っていたからだった。それでも彼等は心の中で通じ合っているのを会話の中で感じていた。ある日彼は彼女に言った。
「僕がもっとお金を貯めて君を買うよ」
彼女は、いつもよりも嬉しそうな笑顔で
「ありがとう、待ってる」
そう答えた。

お金がいる、彼はその思いに取り憑かれたように、毎日必死に働いた。重労働でできた痣や傷が治らないうちに、働いては新しい傷を作ることを繰り返し、彼の手足は毎日血にまみれていた。そんな段々とボロボロになっていく彼を見た彼女は、泣いてしまった。そして、
「もういいよ、自分の事を第一に考えて、自分の体をもっと大切にしてあげて」そう彼に告げた。彼は「もう少しで溜まりそうなんだ、君を買ったらきっと自分を大切にする」そう約束した。

そして、彼の貯金は奴隷を買えるまで溜まった。お金が溜まったとき彼の身体は傷跡のない部分がないほどボロボロの体になってしまっていった。しかし、それでも彼は構わなかった、彼女と一緒にいられるなら。

彼がお金を持って彼女の下まで行くと、彼女は太ったギャングに引きずられながら運ばれていた。買われてしまっていた。必死にギャングに取り繕うも取り合ってもらえず彼はギャングの仲間に取り押さえられてしまった。彼は悔しかった。もし自分が金持ちっだったなら、こんなことにはならなかった、そう思った。彼女は最後取り押さえられた彼に
「私の名前はリエラ、ありがとう」
そう言って引きずられていってしまった。

過ぎた過去を思い出しながら、彼は整然とした部屋の大きな椅子に腰掛けた。目の前の机にはいくつもの怪しげな契約書が並んでいた。ノックの音がして彼は入れといった。そして太った男が部屋の中に入りいきなり「奴隷売買の件ですが…」そう言ってきた。彼は「奴隷はやめろといったはずだ」そう怒鳴った。





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