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3/21/2025, 9:42:35 AM

以下、更新しました。
▶130.「透明」


131.「君を探して」目が( ⌯᷄௰⌯᷅ )ショボショボながらじわじわ執筆中

〜136.「手を繋いで」保全中

3/20/2025, 9:08:03 AM

以下、更新しました。
▶126.「秘密の場所」
▶127.「嗚呼」
▶128.「願いが1つ叶うならば」
▶129.「星」「終わり、また初まる」


130.「透明」書き始めました。

〜135.「大好き」「どこ?」考え中です。

3/18/2025, 9:47:22 AM

追記:本日投稿はスキップします。
お題「大好き」は次回盛り込み予定です。


当日配信のお題に追いつくのは叶わぬ夢なのか…?
諦めたら本当に間に合いません。

126.「秘密の場所」
執筆難航中。

134.「叶わぬ夢」保全中

3/17/2025, 9:49:03 AM

▶133.「花の香りと共に」
132.「心のざわめき」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
---

ヤンは、目の前が真っ暗になるような心地であった。

80年以上も経って突然起動した装置。
その中に収められていたメカ。

そして、メカと一緒にいた青年‪✕‬‪✕‬‪✕‬。

ホルツ課長が予想していた、あくまでも予想と分かってはいたが、
‪✕‬‪✕‬‪✕‬と、装置から見つかった手紙に書いてあった____という人物は何らかの関係があるのだろう。ヤンもそう思っていた。そうでなければ、どうして山奥の施設にたどり着けると言うのか。

しかも、✕‬‪✕‬‪✕‬がナトミ村に来ていたことは事実だ。

それなのに、どうしてここで繋がりが切れてしまうのか。


(どうして…)

自分が立ち向かっているものの底知れなさに、ヤンは周りを気にする余裕もなく途方に暮れていた。


「ジーキ様、ヤン様には何か事情があるようですな」
「そうだな」
ジーキの返答に、村長は胸を張って言った。
「ひとまず新しいお茶にしましょう。それで落ち着かれませ」


そうして少しの時間の後。
ヤンにとっては永遠にも感じただろうが。
村長の手によって目の前へ置かれた茶からは、柑橘の香りが漂っていた。

「これは村の名物、オリャンの皮を使ったお茶です。どうぞ」

「…ありがとうございます…」
爽やかな香りに誘われ、自然と手が伸びる。
大きく息を吸い込めば、その香りが肺いっぱいに満たされる気がした。
湯気をのぼらせ揺れる水面を眺めながら、少しずつ口に運べば胃に温かいものが入って、ゆるゆると緊張のほぐれていくのが分かる。
ふと横に視線を流せば、書類を端に寄せて同じように茶を飲むジーキ課長がいた。しかしその表情からは動揺も何も伺えず、平然とした顔をしていた。


「村の話し合いでも、行き詰まって皆が暗い顔になることはよくあるのです。そのような時に、このお茶はよく効くんですよ」
「とても良い香りですね」

「でしょう?あとは、これですね。オリャンのジャムです」

クラッカーにポってりと乗せられた、ツヤツヤとした黄色。

「え、ええと…」
「はは、まぁ騙されたと思って」

酸っぱすぎて食べられないと噂のオリャンの実。
ヤンは間違ってもむせないようにと息を止めて一息に口の中へ運んだ。

「ん?甘い…」

酸味はある。だが、噂に聞くよりもずっと弱い。
「オリャンの酸味は、熱を加えると弱くなるのですよ。よろしければ、好きなだけ召し上がってください。まだまだありますから」

皿に山盛りのクラッカーと、
オリャンのジャムは最初に食べた果肉のみと皮入りのものと2種類。
それからお茶のお代わりが入ったポット。

村長はそれらをテーブルに置き、書類を回収した。
「部外者には話しづらいこともあるでしょう。しばらく私は席を外します。窓は開けますが、中庭に面しているので外までは届きません。家の者にも近寄らぬように言っておきますので、ご心配なく」

「お気遣いありがとうございます」

「いえいえ、それでは」

ドアが閉まるまで見送ったヤンは、
大きなため息をつきながらソファにもたれかかった。

「はぁー、私はまだまだ未熟者だ」
「そうだな」

それきり二人は無言になり、時折ガラス瓶にスプーンが当たって音が立つ以外は、ぽりぽりとクラッカーをかじる音だけが部屋に響く。

大きく開けられた窓から、中庭に植えられたオリャンの花の香りが届く。

しばらく花の香りと共に、ぼんやりと咀嚼音に耳を傾けていたヤンは、ふと気がついた。
「ジーキ課長」
「なんだ」
「ずいぶん食べますね?」
「それがどうした」

ハッとソファから体を起こすと、山盛りだったクラッカーもジャムも目減りしていた。

「ちょ、ちょっと!私の分まで食べないでくださいよ!」
「食べないのが悪い」
「いやいやいや!食べます!食べますから!」

皮入りのジャムはほろ苦くて、ヤンは頭のもやが晴れていくような気がした。

「クラッカーの塩味がクセになるな」






(腹が膨れると、それまで難題だと思っていたものが何とかなるような気がしてくるから不思議だ)

指に付いたジャムをペロリと舐めとったヤンは、空っぽになった皿と瓶を眺めて、そんなことを思った。

「いい顔になったな。これからどうするつもりだ」
「そうですね…」

‪✕‬‪✕‬‪✕‬に絡む問題を解決することは、
今いるナトミ村と軍との間で生じている軋轢にも影響を与えることができるかもしれない。

町に昇格させて税金を高く取りたい軍と、それを拒否してきたナトミ村は、
しばしば小競り合いを起こしていて、今は‪✕‬‪✕‬‪✕‬を争いの中心に置いて噂に噂を重ね合う泥沼試合の様相を呈している。

「私は、あの小さくも消失した技術満載のメカが喪われることだけは避けたい。その為には、‪✕‬‪✕‬‪✕‬の正当性を証明しなければなりません。____へ繋がる手がかりがない今は、他の局員について調べたいと思います」
「分かった」


応接室から廊下に出ると、端の方で待機していた村長が駆け寄ってきた。

「村長、ご協力ありがとうございます。それに、お茶もジャムもおいしかった」
「それはようございました」
「ジャムとクラッカーは村だけで消費しているのか?」
「そちらでしたら観光客向けに土産物屋で販売していますよ」
「今すぐ買ってくる」

情報を聞いたジーキはくるりと玄関の方へ向き直り、そのまま去っていった。

「村長、聞いてもよいでしょうか」
「旅人さんのことですね?」
「お見通しでしたか。はい、そうです。なぜ味方に?」
「軍への反抗心もありますがね。オリャンを好いてくれるからですよ。単なる洗濯の道具ではなく、ね」

「そうでしたか…またこの村に来る日があるでしょうか?私は彼に会わなければならないのです」

その言葉の真意を確かめるように、村長はヤンの顔をじっと見つめた。
ヤンも目をそらさずに見返した。

「分かりました、お教えします」
やがて、ふっと目を伏せた村長は言った。

「彼は、次の冬にまたこの村へ来ると言っておられました」

3/16/2025, 9:27:29 AM

▶132.「心のざわめき」
131.「君を探して」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
---

「なんだお前さんらは」
戸を叩いて出てきた初老の男は、訪問者を見て嫌そうな表情に変わった。
王城支給の制服を見て軍を連想したせいだろう。

「ナトミ村の村長とお見受けします。私は技じ「帰れ」
「なんだとじじ「あなたはちょっと黙ってください」

ヤンはジーキ課長を後方へ押し退けて、戸口にいる男に向き直る。

(軍がナトミ村にかけている圧力を考えれば仕方ない。でも諦めない)



ナトミ村村長との交渉は、こうして始まった。



「私たちは王城から来ましたが、軍とは関係ないのです」
「そんなもの信じられん」

ヤンは何とか理解を得ようと言葉を尽くす。

「ここに来た目的はですね「聞きたくもない」

村長が家の中に引っ込もうとするので、ヤンは慌てて戸を掴んで阻止する。


「どうしても知りたいことがあって来たのです」

めげない訪問者に、村長が鼻白む。

「出生記録だ。85年前に20歳だった____という人物がいるか調べたい」

いつの間に距離を詰めていたのか、
その瞬間を狙ったようにジーキ課長が口を挟んだ。
強い威圧感に村長が怯む。
ヤンが逃さず畳み掛ける。

「村に危害を加えるつもりは毛頭ありません。お願いします」
「…出生記録、それだけですな」
「はい」

「分かりました、応接室に案内いたします」






ヤンたちが応接室に通され、しばらく。

「お待たせしてますじゃ」
「問題ない」

村長が持ってきたのは、ナトミ村の出生記録であった。
「85年前で20歳ということでしたからな、念の為110年前までお持ちしました。何分古いものですから、なにとぞ」
「委細承知している。安心しろ」
上着の内ポケットから手袋を取り出して嵌めたジーキ課長は、資料に取り掛かった。その手つきは繊細そのもの。慎重に、しかし迷いなく優しく。無言で目を走らせる姿は静謐ですらある。

「彼は資料の専門家です。ご安心ください」
「あ、ああ…」

村長の様子に、ヤンは多少の信用は得られそうだと感じ、ホッと一つ息をついた。
そのため息を勘違いしたのか、村長は慌てたように言葉を継いだ。

「あいや、これは失礼を。改めまして私はナトミ村の村長をしておりますオラと申します。よろしければお名前をお聞かせ願えますか」
「こちらこそ失礼を。目的を果たせそうだと思ったら安心したのです。私は技術保全課のヤン、彼は軍事記録課課長ジーキです。ナトミ村の現状は力及ばずながら存じているつもりです。気になさらず」
「ヤン様にジーキ様、その寛大な心に感謝します。お茶も出さずに無礼を致しました。少し失礼を」

ひと言断った村長は席を立ち部屋の外に出ると、少しして戻ってきた。

「突然訪ねたのはこちらです、どうか構わず。それより、外のオリャン畑は実際に見るのは初めてですが、素晴らしいですね」
「見てくださいましたか、ありがとうございます」

(このままできればもう少し情報が欲しいな)
そんな思いでヤンが村長と世間話をしていたところに。

コンコン、とノックの音が響いた。
村長が立ってドアを開ければ、おそらく村長の妻だろう初老の女性が丁寧な所作でワゴンを運び入れる。彼女はヤンとジーキ、村長の前にそれぞれ茶を配膳すると一礼をし、ワゴンはそのまま置いて部屋を出ていった。ワゴンには茶入れ道具一式も乗せられている。

「お急ぎのこともあるでしょうが、まぁまぁ、まずは飲みなされ」
「いただきます」
ヤンは勧められるままにカップを手に取り口をつける。ジーキは茶の存在を確認すると、そっと遠ざけてから書類に戻った。

「おいしいです、ありがとうございます」

(さて、どうするか)

ここで急いではいけない。
ヤンは今一度自分を戒めた。





「おい、無いぞ」

それまで黙々と作業を進めていたジーキ課長から声が上がったのは、
ヤンが2杯目の茶を飲み始めた時だった。

「無いって。まさか、そんな」
「村長。移住記録、それから死亡記録はあるか」
「はっ、急いでお持ちします」

その緊迫した様子に、村長はすぐさま要求に応じてくれた。
しかし、どの記録にも____の名前は無かったのだった。

「村長、他に住人に関する名簿はないな?」
「はい、これが全てでございます」
「出生記録は、その人間の存在を証明する重要な書類だ。不記載は許されない。そうだな?」
「はい、村の歴史を表す大切なものです。代々厳重に管理しております」


「ヤン。____は、この村の者ではない」



廃棄済みとされた機械が動き、
いるとされていた人間がいない。
ヤンは、この一連の不可解な状況に心のざわめきを嫌というほど感じていた。






パチパチ…

今夜も人形たちは野宿で焚き火にあたっている。
特にナナホシは、人形のよりも炎に近い距離にいた。

「火の粉に当たらないように気をつけて」
「分カッテル」

ナナホシの、ひとつ星が少なくなった紺色の甲殻。
それを見ていると、人形の思考領域はざわ、ざわりと不意に波打つのだった。
人形は、そのざわめきが正常な状態ではないが、だからといって故障しているわけでもないということは理解していた。
しかし、その現象が一体何なのかは理解できなかった。

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