猫宮さと

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7/15/2024, 11:06:07 PM

《終わりにしよう》
住宅地の道路沿い、人の背よりも高い生け垣の前。
大通りから外れた場所の為か、人通りもない。
その生け垣を背に、緊張のせいか面持ちを固くした彼女が立っている。

「やれやれ。もう時間も惜しい。これで終わりにしましょう。」

感情を乗せず語りかけ、僕は彼女の方へ銃を向けた。
身じろぎ一つしない彼女。その覚悟を決めた表情を見つめ、僕は引き金を引いた。

銃から発せられた光芒が、彼女へ向かう。
そして、僕は銃口を持ち上げる。
すると光芒は彼女の目の前でスッと上へ登り、弧を描いて彼女の頭上を通り生け垣向こうへ着弾した。

その着弾地点から響く、男の悲鳴。
上手く仕留められたようだ。

「やった!!」

途端、固めた表情を綻ばせ彼女は大喜びした。
しかし、まだ油断は出来ない。

僕は素早く生け垣の向こうに周り、銃創を負った男を確保し、縛り上げた。
そして手配しておいた部下達を呼び男を軍へ連行させた後、生け垣の庭の主の家へ赴き、謝罪と、修繕の費用は軍へ請求してほしい事を伝えた。

「ふぅ…。」

ここ最近で一番の緊張から開放されながら門を出ると、念の為付近を警戒していた部下の傍から彼女が破顔して駆け寄ってきた。

「ありがとうございます!やりましたね!さすがです!」

そのはしゃぎ様は、今まで犯人に狙われ、振りとは言え銃を向けられていた者とは思えない。
豪胆にも程がないか。

「いえ…貴女が助かってよかった。久々に緊張しましたよ。もうこんな事はしたくはありませんね。」

彼女の豪胆さに煽られ、率直に答えてしまった。
が、許してほしい。
何せ彼女は、このとんでもない作戦の発案者なのだから。

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それはある日、彼女の下へ届いた一通の手紙から始まった。

内容を掻い摘めば、僕と手を切り自分の元へ来い。要求を飲まない場合は僕へ危害を加える。という物だった。

ただ、手紙には他の誰にも見せるなという事だったが、彼女はそもそも監視対象で、僕の自宅から本部の僕の私室までずっと共に行動している為、手紙の存在自体を内密にする事自体が不可能なのだ。

このように根本の計画が杜撰だった事もあり、当然手紙の内容は僕も把握する事になる。

正直、僕もいい気分はしなかった。営利誘拐など以ての外である。僕の目の前で彼女を狙おうなど、いい度胸だ。
しかし僕は仮にも政を行う立場だ。このような要求をほいほい飲むわけにもいかない。
僕の中の異なる二つの意見の間で葛藤していると、横から彼女の呟きが聞こえてきた。

「…ふふ…テロリスト許すまじ…。」

気のせいか、目が据わっていないか?
思わぬ彼女の一面に面喰らうも、政務の時刻が押し迫っていたので、彼女を私室に残して僕は仕事に赴いた。

が、僕は彼女の行動力を舐めていた。

政務が一段落し戻ってくると、喜色満面の彼女から提案が出た。

「まずはこの手紙の指示通りに動いて、犯人を撃ち取りましょう!」

手順としては、僕と手を切り出ていく振りをするので、指定された場所である先程の生け垣の前に犯人をおびき寄せる。
そこに現れた犯人を僕が銃で撃つ、といったものだった。

予想の斜め上の発言に目眩を覚えたが、また畳み掛けるように飛んできた内容が、

「もう既に安心できる部下の方一人に協力してもらえるようにお願いしましたから!」

…いる。確かに一人、口も固く仕事内容も申し分無い、敵対勢力に属していない事を確認済みの部下が。
この短期間で僕の人間関係を把握したのか。にしても素早過ぎだろう。

あまりの状況に脳内が混沌とするのを何とか押さえ付けていると、扉からノックの音が。
入るように指示をすれば、件の部下が入室してきた。
僕が帰ってくるこの時間を見越して待ち合わせていたそうだ。彼は、僕が了解すれば作戦に協力するという話らしい。
そして既に他の人員も、誘拐対策の緊急訓練として中止の可能性も含めて伝令、配備を終了しているとか。
確かに実地訓練に関しては今はこの部下に一任してあるが、仕事が早過ぎだろう。

要するに、僕の預かり知らぬところで舞台は整っていたわけだ。

僕としては、このような卑劣な手段に訴える輩を断固として許すわけにはいかない。
が、個人的には女性を囮にしての逮捕劇というのは性に合わない。
それを伝えたところ、彼女からは

「テロリストの要求を飲むのも野放しにしておくのも間違ってると思います!」

という力説が返ってきた。何か思うところはあるようだ。
血気盛んなのは勘弁してほしいが。

僕は助けを求めるように部下の方を向けば、

「貴方様が悪に手を染める者を放っておくとも思えませんでしたので。」

と、しれっと返してくる始末で。

まあ、率直に言えば腸が煮えくり返る思いではある。
ただ、彼女を囮に使いたくないだけだ。
それ故に躊躇っていると、

「大丈夫です!銃撃が放物線を描くあの技を使えば絶対に成功しますから!」

と、曇りのない真っ直ぐな瞳でそう断言されて。
部下もその横でしたり顔で頷いて。
結局その場は押し切られてしまい、彼女は犯人へコンタクトを取り、部下は『訓練』の実行を伝えに走った。
そして、冒頭に至るわけで。

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それにしても、本当に上手く行ってよかった。
失敗すれば彼女が犯人に連れ去られる可能性や、まして僕が誤って貴女に銃弾を浴びせてしまう危険性もあった。
即断即決即実行が犯人を油断させるに最適だったとは言え、もうこんな危ない橋は渡りたくはない。

そんな僕の思いとは裏腹に上機嫌の彼女。
怒りを感じているわけではない。単純に疑問なのだが。

「…結果として成功しましたけど、自分の身に及ぶ諸々の危険を考えなかったのですか?」

その問いをストレートにぶつけてみた。
すると、暫しきょとんとした顔でこちらを見たと思えば、透き通るような笑顔で彼女は言った。

「あなたの事、信じてますから。」

信じてる。
その一言に、心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受ける。
彼女は闇の者、監視対象の筈なのに、その響きは甘やかで懐かしく。

だからこそだろうか。
作戦実行時の緊張と強張りが頭に強く蘇った。
もしも失敗していたら、どうなっていた事か。
つい乗せられてしまった自分に深く反省をしつつ、彼女の肩に手を置いて僕は懇願した。

「お願いですから、このような無茶はもう終わりにしてくださいね。」

7/14/2024, 11:02:26 PM

《手を取り合って》
「信じています。」
全ては、この一言から始まっていた。

旅の最中にキーアイテムが盗まれたのではと騒ぎになった時、僕は自分が疑われるのではないかと酷く怯えた。
幼い頃から何かあれば「お前のせいだ」と詰られてきた経験が重く伸し掛かったから。

仲間の一人は、僕を信用していないと言ってきた。
無理もない。術で操られていたとは言え、前科があるからだ。
だから僕は、その仲間の心に住んでいる彼女に藁にも縋る思いで聞いてみた。

「やはり僕のことを信じられませんか?」

こんな僕を、彼女は信じてくれていた。
何ひとつとして根拠などなかったろうに、一息の間も置かず答えてくれた。

本当に嬉しかった。
この一言を支えに、今まで歩いてきたくらいだ。

そして彼女は、こちらに顕現してなお、僕を信じ抜いてくれていた。
僕自身は、彼女を闇の者と疑ってしまったのに。

疑われる苦しさをよく知っているはずの僕が真っ先に彼女を疑ってしまった。それは後悔してもし切れない。
彼女はしかし、疑われても僕を信じることを諦めないでいてくれた。
僕が苦しさで立ち止まった時は、必ずその手を差し伸べてくれていた。

僕は、そんな彼女と共にありたい。
長い人生を共に歩んでいきたい。

彼女が暗闇で躓いた時、傍らで支え続けたい。
彼女に何か遭ったなら、何はなくとも駆け付けたい。
僕に不慮の事故が遭った際、真っ先に知らせが行く人であってほしい。
貴女が僕を信じてくれたように、僕は貴女を信じ抜くと誓います。

そんな願いと誓いを込めて彼女の小さな手を握れば、俯き耳まで真っ赤になりながらそっと手を握り返してくれた。

7/14/2024, 12:03:57 AM

《優越感、劣等感》
他者をいたぶり、貶める。そんな残酷な行為は後を絶たない。
人間はおろか、賢いとされる霊長類や穏やかそうなイルカですら集団で残虐な行為にすら及ぶ。
他者より優位に立つ事で、幸福感や優越感が刺激されるのだろう。
そして、その刺激による快感を覚えた者は、また更なる刺激を求めて他者をいたぶる。
加害者達の優越感と引き換えに、被害者には劣等感が降り積もる。
それはあたかも豪雪地帯の雪のごとく、積もっては冷えて固まり、また降り重ねられる。

かつての彼の心は、まさに被害者のそれだった。

旅の最中に大事な物が紛失し、それが盗難ではないかとされた時。
彼は、誰かを疑う事はしなかった。
ただ、自分は盗みに手を染めてはいないと。

「やはり僕のことを信じられませんか?」

彼はあの時、相棒の中の私にそう問いかけた。
「信じてますか?」ではなく。

自分で自分が信じられなかったんだろうな。直前に祖国の者から掛けられた術に操られ、もう一つの大事な物を奪わせられたから。

そして、彼は幼い頃から家族に虐げられてきたせいか、自分は何はなくとも疑われる立場にいると無意識に思い込んでいる。
その無意識は、長い間彼の中で幾度も降り積もり冷え固まってしまった雪のようで。

冷え切った心は、思考の芯も冷え固まらせる。
それでも彼の元来の心の暖かさと芯の強さのおかげで、優しくも力強く前を向き歩いている。
彼のそんなところを尊敬してるけど、時々ふと見せる苦しそうな様子に歯がゆくなる。

相棒の心の中にいた私は、姿が見えない事からかなりの人達に存在を疑われてきた。
でも、あの時彼…あなたは私の名前を呼んでくれた。淀みなく、まっすぐに。

私を信じてくれたあなたを、私は信じた。だから一も二もなく答えた。

「信じています。」

あなたの事を、心から。

あの時迷いなく答えた想いは、あなたの傍にいる今はなお強くなった。


例えあなたが自身を信じられなくても、私は未来永劫あなたを信じ続ける。
何があっても、かつての相棒すら敵に回しても、私はあなたの味方であり続ける。
他者の歪んだ優越感と引き換えに降り積もったあなたの劣等感は、必ず私が取り去ってみせる。

行き過ぎた優越感は驕りにもなる。
だけど、堅実なあなたは絶対にそんな事にはならない。
自らの苦い経験を糧に、どこまでも優しく誰かを守れる人だから。

だから、冷え固まった雪が少しでも溶けて流れていきますように。

7/12/2024, 12:57:48 PM

《これまでずっと》
近い。
何が?
あ、はい。私と彼との距離が、です。

空の上で生死の境に立たされた時。
空の上なのに立ってるの?とか言わないでね。
彼が、私を命がけで助けに来てくれた。
私を…抱きしめて、闇の者じゃないって認めてくれた。

物凄く嬉しかった。もうこのまま死んでもいいくらい。
これを言ったら、彼に怒られそうだけど。

で、その日以来なんだけど、彼との距離が近いのです。

物理的に。

朝は私の目の前までわざわざ来て挨拶。
食事はテーブルの都合上変わりはないけど、私の椅子の背を引いて座るまで離れない。
支度のために部屋に戻るときもしっかり隣について来る。

今も道を歩いてるんだけど…腕が触れそうなほどに近い!

嫌じゃない、もちろん嬉しい!
けど、あまりの供給過多に頭の回線は焼き切れるどころか蒸発しそうです。
パンクする!助けて!どうすればいいの!

これまでも一緒に歩いて本部まで行き来してたけど、2Lペットボトルが入るくらいのスペースは空いてた。
何をするにしても一定の距離を置いて、彼は私に接してきた。
これまでは監視のための同居だったし、彼の性格上それが礼儀と心得ての行動だったんだろうな。
それでさえも、私は物凄く嬉しかったのに。
傍にいられて、話が出来る。あまつさえ一緒に住んでいる。
それだって隕石に当たる、ううん、宝くじ1等が当たるよりもとんでもない幸運だったのに。

それなのに!この距離感!!

確かに抱きしめられた…事もあるけど、それとこれとは話は別!!

しかも、キラキラとエフェクトが掛かりそうなほどニッコニコな笑顔!!
破壊力があり過ぎるんですけど!!もう素敵過ぎる!!

いつもなら何気ない会話を交わして行く道も、今日はお互い無言で。
私はこの状況に緊張し過ぎて、ずっと足元近くを見て歩いてる。
夏の日差しも暑いけど、それ以上に頬が熱い。

それでも伸し掛かる緊張に負けてちらと彼の方を見れば、キラキラをパワーアップさせて微笑みかけてきて。

破裂しそうな心臓。燃え盛る頬の熱は、首や耳を伝って全身を巡り。
恥ずかしさと照れくささからまた視界を足元に戻せば、頭上からはくつくつと笑い声。

知ってはいたけれど、私は絶対にこの人には敵わないんだろうな。

7/12/2024, 12:30:09 AM

《1件のLINE》
あー、疲れた。
5限までみっちり講義があった今日は、移動も含めて本当にバタバタした日だった。
当然今日までのレポートが大量にあったし、出された課題も。やってもやっても終わらないな。
帰ったらまずは洗濯機回しながら発達心理学のレポートの確認しておかないと。
明日はバイトもあるから早めに寝ておきたいんだけどな。

溜め息を吐きながら寿司詰めの満員電車に詰め込まれる。
ぎゅうぎゅうに押し潰されながら今夜の予定を考えていると、ポケットのスマホがぶるぶると震えた。
この震え方はLINEだな、とロック画面の通知を見た。

『今はまだ 眠れ 
 時は 未だ いたれん』

え?何これ?意味分からないんだけど?

しかもアイコンは夜の森に浮かぶ月で、名前は絵文字の月。
私こんな人と繋がった覚えないんだけど。自動追加もID検索もオフにしてるのに。
うわ、何怖過ぎるでしょ。

背筋がゾッとするような恐怖に見舞われて、最寄り駅で降りたら即座に月のアカウントをブロックした。
今は潜り抜けて友達追加出来るようになってるのかな、本当に気持ち悪い。

怪しいアカウントを消したけれど、心に残る恐怖を押さえ付けながら、頼りなさげな街灯を辿って自宅へ急ぐ。
最後の角を曲がろうとしたその時、スマホがぶるぶると震え始めた。今度は通話だ。
誰だろう、とロック画面を開くと、夜の森に浮かぶ月のアイコン。

どうして?さっきブロックしたはずなのに?

あまりに不可思議な状況は、理解の範疇を超えている。
そのせいかな、何故だろう。心の中から恐怖が消えている。
それどころか、むくむくと好奇心が湧いてきた。

いつもなら絶対に取らないであろう、未知のアカウントからの通話をオンにする。
いったいどんな相手が掛けてきてるのか。

「…もしもし?」

スマホを耳に当て応答する。
まず聞こえてきたのは、音だった。

ザ…ザザ…

いわゆる砂嵐。
こっちの電波は申し分ない。そうなるとあっちの電波状況かな?
にしても、ここまでの砂嵐はそうそうないけど。

耳に付く音に眉根を潜めていると、やがて微かにだけど声が聞こえてきた。

「……くは……ここ……います……叶う……会いた……」

知らない男の人の、柔らかく優しい、それでも強く希うような声。

知らないはずなのに、聞いたことがないはずなのに。
どうしてか、ひどく心惹かれる懐かしさ。
声の主を求める想いが、魂の奥底から滾々と湧き出てくる。

不思議な想いに胸を鷲掴みにされたかと思えば、頭の中がぐらりと揺れ、一瞬視界が暗転する。
倒れる!と身体の芯に力を入れて目を瞬かせれば、そこは先程までいた自宅への夜道ではなかった。

黄金色のパイプのような金属で出来た建造物。
その建造物の至る所から吐き出される煙。
道路は補正されてはいるけど、歩道と車道の区別もない。
道行く人の服装は、何だろう。女の人はクラシカルなドレス? 男の人はシルクハットや羽付き帽子を被り、マントやチュニックを身に着けてる。
自動車なんて走ってない。電車なんか通ってない。
コンビニ? 何それ? といった感じの街並み。
ここはどこなの?

その黄金色に圧倒されていると、また視界が暗転。
私は、元いた道路に戻っていた。

それに安心して曲がり角を曲がると、通りの奥の街灯に照らされて立っている見知らぬ男の人が私を見てた。

まず目に付いたのは、見たこともない服だった。
モーニングとフロックコートの中間のような、背中部分の腰から下が長めの、硬めの素材で出来たジャケット。
肩にはまるで鎧の肩当てのようなパーツが同素材で付けられてる。
ボトムスは普通のスーツのようだけど、膝から下は金色の硬質な脛当てを装備してて。
腕には同じ金色の腕輪を袖の押さえに付けている。

そして目に入ったのは、その表情。
凄く整った中性的とも言える顔は、寂しさで曇っていて。
スッと通った鼻梁の下にある薄い唇は、何かに耐えるように引き結ばれていて。
細い眉は悲しそうに寄せられて、涼やかな目から放たれる視線は乗せきれないほどの切なさで溢れていた。
男の人にしては長めの髪が、風にさらりと揺れる。

さっきの通話の声は、この人のものだ。
根拠はない。それでも確信できる。
この人は、かけがえのない人だ。

彼を見た私は、無性にそちらへ行きたくなった。
知らない人のはずなのに、心が引き寄せられる。
慰めたい。悲しみを取り除きたい。笑顔にしたい。

声にならない願いを口に含みつつ身体を前に出そうとしたけれど、足は動いてくれない。
その瞬間、目の前を車が一台通り過ぎていった。

そして気が付けば、そこには誰もいない街灯がぽつりとあるだけだった。

今のは何? 幻?
額に手を当てて呆然とする。
そうでしょう? だってあんな街並み、見たことがない。
今やスマホで色んな情報が手に入る。それこそ世界中の都市の画像も自由に閲覧できる。
それなのに、あんな街並み見たことない。

あんな男の人だって…見たことない。

なのにどうして、こんなに胸が苦しいの。
会いたくて会いたくてたまらないの。

今まで経験したことのないやるせ無さを持て余しながら、私はスマホの通話記録を見つめていた。

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