イカワさん

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5/31/2025, 2:12:50 PM

俺の好きなあの子はあの人が好きらしい。

あの人はあの子のことが好きらしい。

お互いその事には気づいてないらしい。

つまり両片思いってやつ。俺の入る隙なんざない。

この恋愛ストーリーでは俺はモブBってとこだ。


アイツがあの子に告白したらしい。

ついにもどかしい恋が実ったんだと。

あの子の笑顔が夏の向日葵みたいに輝いている。

……特にアイツの前では。

世界中の画材を集めてもあの子の幸福は描けないだろう。

相思相愛、おしどり夫婦の2人だが、嫉妬深いわけじゃなかった。

だから、この俺がまだ入ることができた。…モブとして。

あの子に一日一言話しかける。

少しずつ少しずつ話す距離を縮めていく。

あの子の目は茶色がかっていて、なんとも言えない透明感。

ずっと見ていたい。

短くで少し跳ね気味の髪をフワッと撫でる。

「花びらが付いてたよ。」と言って。

桜色の頬の君を見つめる。その時間が幸せだった。

距離が縮まって、ついにあの頼みごとをしてみた。

「よかったら家に来ない?」

あの子はLINEを確認して、

「いいよ。初めてだから楽しみだな〜。」

と、ふわりと笑って答えた。

予定表を睨んで決めたこの日。

有意義な時間にしてみせる。

あの子は緊張しつつも家に上がった。

すぐ自分の部屋に導いてホットミルクとクッキーを出した。

可愛い。

ミルクを一生懸命に冷やしてちびっと飲んでいる。

クッキーも少しずつ。一口が小さくて可愛い。

何を食べても美味しい!と目を輝かせてくれる。

ホットミルクが空になって。

打ち解けて、空気があたたまった。

安心しきったのか、あの子はウトウトし始めた。

「無理して起きなくていいんだよ。
       泊まっていけば良いしね。」

布団をかけてあげると、すーすー寝息をたてはじめた。


…やっと寝てくれた。

このために親が家に居ない日を待っていたのだ。

眠いはずなのに、ウトウトしながらも俺の話に相槌を打ってくれた。

きっと不思議な味だったホットミルクも笑顔で飲み干してくれた。

どこまでも愛おしくて可愛い。

やっぱり諦めなれない。

ぽかぽかのあの子の指を使ってスマホのロックを解除。

あの子は日記をつけている。

素早くスワイプして目に内容を通す。

「よし…間に合った!」

まだこの子は綺麗なままだ。今だけアイツに感謝だ。

まず、写真を撮る。

慎重に服を脱がせる。無防備に寝ちゃって、可愛いなぁ。

手足を紐で縛る。

口には布をかませる。

これで準備は整った。

上半身も堪能したいけれど、それは後々。

ローションをお湯に溶いて、ほぐしてあげる。

あ、目が覚めたの?大丈夫だよ。ほら冷たくないでしょ?

痛くもないでしょ?俺なら痛いことはしないからね。

そんなに怯えないでよ。怖くないからね。

暴れても無駄だよ。君の力じゃ無理でしょ?

……こんな時までアイツの名前出すの?

今は俺の指に集中してくれないかな。

ほら気持ちよくなってきたでしょ?正直になりなよ。

声出して良いんだよ。苦しいでしょ?

あ、出たね。気持ちよくなっちゃったんだね。

俺のも咥えてもらおうかな。

歯立てないでよ?手出るから。

んっ…はは、出しちゃ駄目だよ。ちゃんとごっくんしてね。

ふぅ、じゃあそろそろ…。

あぁ大丈夫だよ。痛くはしないよ。はーい力抜いてね。

暴れないで。乱暴したくないからさ。

ほらっ…入ったよ。キツイね。大丈夫慣れてくるよ。

もう痛くなくなったでしょ?ほら泣かないで。

ちゃんと集中して感じてよ。動くよ。

え、何?ゴム?着けるわけ無いでしょ。

妊娠しないんだから。勿体ないじゃん?

っ…締まったねぇ。ココが良いところなんだね。

もっと突いてあげる。

おっ、また出たね。そんなに良かったの?嬉しい。

あっ、うっ、俺も出るっ…受け止めてね。いくよ。

はあっ…ふふ…は〜、最高。

…まだ泣いてるの?悲しい?

初めてがレイプなんて悲しいよね。

でも、彼氏より俺のほうが上手いよ?絶対。

ね?気持ち良かったでしょ?何回もイッちゃってさ。

そろそろ外も暗くなってきたね。どうする?泊まってく?

帰るの?まあそうだよね。

ふふ…ちゃんと洗うんだよ。

お腹壊しちゃうかもしれないからね。


帰宅準備早いね〜。

あ、因みに動画撮ってたからね。

ふふ…そんな顔も可愛い。

明日も家においでよ。断ったら…分かるよね。

じゃあね。帰り、気を付けて。

また明日。

5/31/2025, 9:19:52 AM

「可愛いね。たっくん。」

「なんだよ、う、うるせぇな。てか、もうその呼び方辞めてくんねぇ?タクって呼べばいいだろ。」

そんな事言ってるけど僕知ってるよ?

君、恥ずかしくなると耳が真っかっかになっちゃうんだよね。

まあ、そういうところも可愛いんだけどね。

「…とにかく!行ってきます!!」

「え、どこに行くんだい?」

「と、ともだちと…ボーリング!」

本当に分かりやすいんだから。嘘だね。

「へぇ、ボーリングか。誰と行くの?」

「そんなんお前に関係ないだろ!もういいな?行ってくる。」

ドアがガチャリと閉められる。

「…ふぅん…そっか。」

本当はどこに行ってるのかな〜?GPSの行方を確認する。

家の近くのコンビニを横切って、左に曲がる。

それから真っすぐ進んで3番目の曲がり角で右折。

あ、止まった。信号かな? 

ふふふ、ちゃんと待つんだね。偉い偉い。

また進みだした。

真っ直ぐ、次に右折。真っ直ぐ…真っ直ぐ進んでーーー。

「着いた…かな。」

ここはーーー

「へぇ…」

同級生の家かな…?こんなに仲がいい子がいたのか。

「でも、"ともだち"ではないんだもんね?」

恋人か?それとも脅されてるのか?それとも他に何か…?

まあ…とにかく隠し事をしているのはわかったね。



ここ最近、帰りが遅い。 

"防犯"のために盗聴器を追加しよう。

今日も帰りが遅い。

まず位置を確認。

「…あの家だね。」

そして音。

「性別は男。口振り…意外と親しい仲なんだね。」

機械に耳を密着させどんな音も逃さない。

少し高めの物を買って良かった!ノイズが少ないね。

『今日も来てくれてありがとう。』

『いや、俺が来たかっただけだし。…逆に迷惑じゃないか…?俺…。』

『むしろ来てくれて感謝だよ!親共働きで淋しいからさ』 

『…ほんとお前は良いやつだな』

『ありがとう。それに学校じゃあこんな事出来ないからね』

『あっチョット。せめてベッドまで待てって!』

『え〜いいじゃん。ソファあるし?』


肌の粟立ちを感じた。吐き気がする。

トイレに駆け込む。

全てを吐ききらなければ、憎悪、嫌悪、絶望。

空になるまで嗚咽を繰り返した。

黒く渦巻いた感情の中に、僅かに高揚も含まれていた。

「…ゔっゴホッ、ハァハァッ…はは。

男いけちゃうんだね。」

興奮に身を捩らせる。

「ははっ、しかもネコちゃんか〜。」

「間違ってなかったよ。諦めなくて良かったよ!あぁ、息子よ!パパは嬉しいぞ!こんな立派に育ったちゃって!」

「……でも…ちょいとお人好しが過ぎるんじゃないかな。

馬の骨に体差し出してさ。

ねぇ…ダメじゃないか。汚れてしまうよ。

ああ、パパが綺麗にしてあげるからね。

愛しい息子よ。」

3/16/2025, 1:37:55 PM

「ただいま。貴方、今いい?」

「あぁ勿論。」

「実はね、花を買ってきたの。沈丁花って言うのよ。」

薄い桃色と白色の見慣れない花だ。

「とても良い香りがするね。」

「そうなの。店員さんに一番香りが強い花をって頼んだのよ。」

「なるほど。本当にいい香りがするよ。さて、何処に飾ろうか。」

「寝室にしない?アロマみたいになりそうだし。」

「いいね。早速置いてこようか。」

「あ、あとこの花、"幸福の香り"って言われてるのよ。今の私みたいね。貴方がいるから毎日が幸せよ。」

「ぁ,僕もだよ。」

「じゃあ、寝室に置いてくるわね。」





「お邪魔しま〜す。ゴム持ってる?今日は奥さん帰ってこないんでしょ?1箱ほしーなー。」

「あぁ、あるよ。あ、帰ってこないけども泊まりはなしだからな。万が一、な。」

「はいはい!わかってます〜。そんなこと期待してません〜。」

「…もしかして一晩中だと思ってた?」

「なっ、…そ、そうですケド。」

「じゃあ、1 秒でも長く気持ち良くなろっか。」

「や〜ん早い〜。」

女を布団に押し倒す。

手首を固定し、服に手を掛ける。

と、女も俺の服を脱がし始める。

……甘い香りがする。沈丁花だ。

……幸せの香り、か…。

「な〜に、じぃっとしてんの〜?」

起き上がってキスを求めてくる。

抵抗せずに唇を重ねる。

微かに開いた唇の隙間に舌を忍ばせる。


——あぁ、甘い香りがする。この女の香水だ。

3/8/2025, 11:47:56 AM

「ねぇほら早く!こっちだよ!こっち〜!」


「意外と遠いね。昔、こんな何処まで来てたんだね〜。」



「………昔のことじゃん。それに…バレてないし。」

「…まだ怒ってるの?

でっ、でも!!あの時は、しょうがなかったじゃない…?」




「あ、ほらここの橋。覚えてるかな。大変だったよね〜。

丁度雨の日だったからさ

泥と水と…血でドロドロになりながら渡ったよね。

…それでここの水で洗ったよね。

まあ大体雨で落ちてたけど。」



「……そろそろだね。どの木か覚えてる?

私はねハッキリ覚えてるよ。あの木。

なんかメッチャ育ってる感じしない?

…栄養になってんのかな。」



「川の水で綺麗になったけど結局、

穴掘る時に汚れちゃったよね。

あ、スコップは別の木のとこだよね。

あ、ほらこれだよ。」



「………掘り返してみる…?

ハハハ冗談!そんなにおびえた顔しないでよ〜。

…見たくないに決まってるでしょ。」


「………誰にも言ってないよね?

私?言うわけないでしょ。

この話は墓まで持ってくつもりだっちゅ〜の!」



「…てかさ、そのカバン何は入ってんの?

まあ、予想はできるけどね。

だってこの場所に行こうって言ってきたのアンタだもん。

びっくりしたよ?まあ…覚悟はしてたけどね。」


「……そのごめんね。色々嘘ついて。傷つけて。

でも、しょうがなかったのもあるから

…そこは理解して欲しい。許してとは言わないからさ。」


「でも最後に言ったことは守れそうだね。

墓場まで持ってくよ。秘密だもの。」


「最期にしゃべりすぎちゃったかな。

あ、あとバレないようにしてよね〜!

アンタ正義感強いんだから自首とかもダメよ。

アンタも墓場まで持ってって。」


「まあ、こんなこと言う必要もないか。

痛いのは嫌だから。一発で終わらせてよ〜!

…アンタもね。」

3/6/2025, 8:28:28 AM

「周りをぐるりと見てみなさい。どう思ったかね?」

博士はふと手を止めて僕に聞く。

こんなやり取りは慣れっこだ。

博士は暇なときはいつもこうして僕に同じ疑問を投げかける。

デジャヴって奴だ。

「ほれ。」

…拒否権はないようだ。大人しく周りを見回す。

「なんか、不思議な物がたくさんあるなぁ…と。」

「ふむ。例えばどれが不思議なんだい?」

「……これ、とか。」

指を向けたのはずっと前から気になっていた大きなクリップに鳥の遺伝子を配合させたような、気味の悪いもの。何に使うのだろうか…触れたくもない。

「これか。」

「ぁあ……」

後ろには眼球モドキまでついているのか!

「博士、これは何なんですか…。」

この質問も何度繰り返されたことだろうか。

博士がすっと目を閉じる。

博識な博士の雑学込みの解説タイムだ。

……が、博士の口から得意げな「説明しよう。」は聞けなかった。

「…世の中には、知らなくても良いこともあるのだよ。」

「………そうですか…。」

これ以上は、何も聞かない。

互いに何も追及しない。

やがて静かな不規則な執筆音が沈黙を心地良いものに変えてくれるだろうから。

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