「ただいま。貴方、今いい?」
「あぁ勿論。」
「実はね、花を買ってきたの。沈丁花って言うのよ。」
薄い桃色と白色の見慣れない花だ。
「とても良い香りがするね。」
「そうなの。店員さんに一番香りが強い花をって頼んだのよ。」
「なるほど。本当にいい香りがするよ。さて、何処に飾ろうか。」
「寝室にしない?アロマみたいになりそうだし。」
「いいね。早速置いてこようか。」
「あ、あとこの花、"幸福の香り"って言われてるのよ。今の私みたいね。貴方がいるから毎日が幸せよ。」
「ぁ,僕もだよ。」
「じゃあ、寝室に置いてくるわね。」
「お邪魔しま〜す。ゴム持ってる?今日は奥さん帰ってこないんでしょ?1箱ほしーなー。」
「あぁ、あるよ。あ、帰ってこないけども泊まりはなしだからな。万が一、な。」
「はいはい!わかってます〜。そんなこと期待してません〜。」
「…もしかして一晩中だと思ってた?」
「なっ、…そ、そうですケド。」
「じゃあ、1 秒でも長く気持ち良くなろっか。」
「や〜ん早い〜。」
女を布団に押し倒す。
手首を固定し、服に手を掛ける。
と、女も俺の服を脱がし始める。
……甘い香りがする。沈丁花だ。
……幸せの香り、か…。
「な〜に、じぃっとしてんの〜?」
起き上がってキスを求めてくる。
抵抗せずに唇を重ねる。
微かに開いた唇の隙間に舌を忍ばせる。
——あぁ、甘い香りがする。この女の香水だ。
3/16/2025, 1:37:55 PM