S.Arendt

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11/17/2024, 9:29:38 AM

はなればなれ

書きたい……!時間が……!!!

アーレントの一番弟子、トランの2番目のメンバー
ユリウス・シエル・ロールズセン
27歳で世界樹に触れて本来消えるはずだった大切な人を救う魔法を使った。その作用により不老不死者になった。
自分が生き続ければ、彼に関する情報が消えない。
故に死なないで生き続ける決心をした。
その後実家の公爵家で後継者になれないこと、旅に出て世界をまわることを家族に告げる。
その場にはユリウスという名をつけた名付け親がいて……

大切な人に対するユリウスの思いや、名付け親と旅に出ることになった時のユリウスの記憶を描きたい…!

11/15/2024, 5:12:06 PM

ちりん

鈴をつけた小さなものが足元に擦り寄る

“....なに?この毛玉”

足元のそれを避けて宙に浮かぶ

みぅ、みぃ

小さく鳴き声をあげて下をくるくる回る子猫

「アーレント様、こちらは猫の子どもです。
 名はミーシャだそうです。」

そばにいた金の穂のような三つ編みの王が言う

抱き上げてアーレントの前に持ち、ほうら可愛いでしょう?
となぜか誇らしげに肉球を見せる

“んん、猫は知ってるんだけどね?
 なんで君の執務室に子猫がいるのかなって。”

「執務に追われて疲れ切ってた私に、補佐が癒しとして休憩
 の時間に戯れられるようにしてくれたんです。
 ふわふわで小さくて…とっても愛らしいですよね!」

にこにこと笑む彼にアーレントは“うんうん、そうだねぇ”と返す

三毛猫と戯れる友人を見つめて、彼が笑える今をアーレントはホッとしていた

“クランツ、君の補佐が猫を渡したのも体調を崩した君を心
 配してのことだろう。何かあれば僕にも教えてくれ、力になろう。”

「ありがとうございます。きっと、お伝えしますね。」

やらなければいけない仕事に追われる王はきっと本人が思っている以上に周りに慕われている

彼が落ち着いた日々を過ごせるように、願うばかりだ


ススキがお題だった時の王 名を「クランツ」としました:)

11/13/2024, 3:32:15 PM

これは昔の話

神様と崇められていた魔法使いと
化け物として恐れられていた力を持つ何かが出会った時の話






つんざくような痛みに似た寒さが襲う。
吹雪の中で頼りになる灯りが一つ、灯ってはいるが近づけない。
幼い魔法使いはただひたすらに灯りへと向かっていた。
己の住まう集落から少し外れた場所へ散歩に行った少年は迷った。突如見覚えのない森に入ってしまい、集落へと戻れなくなってしまったからだ。
まだ力が未熟で、己を寒さから守ることもうまくできない少年は鼻水を凍らせ、手や鼻の先が悴んで熱く感じ始める。

あまり状況がよくない。急いで灯りの方へと歩みを進める。


ギャアーーーッッッッ

灯りの方向で断末魔が聞こえた。
このまま進んでもあの断末魔の主のようになってしまうかもしれない。
だが、少年が元の道を戻っても出ることができないこの森で
頼ることができるのは一つの灯りだけであった。

………

ざく、ざくっ

少し抵抗があるがやむを得ず少年はまた歩き出す。

灯りが近づいた頃、血が滲んだ箇所を見つけた。
真っ暗な闇に染まった白い雪がじとり、と赤色がこべりついて沈んでいる。
前方を見やると掠れた声で喉から血を垂れ流しながら命乞いをする魔法使いがいた。
その命乞いはとても震えていた。
寒さによるものか、恐怖によるものか、はたまた両方か…
「お、おへはいひまふ」
口も既に寒さによってうまく開けられていない。
魔法使いの言葉はすぐに途絶えた。赤い血飛沫とともに、紫色の結晶を落として。

命乞いをされていた人物が聞く間もなく、そして躊躇いもなく男の首を刎ねたからだ。
目の前の命を奪ってもそれは動揺せず結晶、石を口へ放り込む。魔法使いの命が終わった瞬間、魔力の石となる。
それを口にするということは彼も魔法使いである。

ただ、あまりにも異質な雰囲気に少年は息を殺した。
雪に溶け込んでしまいそうな彼の見目は夜闇にいると酷く目立つ。白い服に、白い肌、柔らかに風に靡く銀髪。

集落で神様と呼ばれてはいるが、自分の目の前にいるこれが神ではないのかと…
彼の強さ、恐ろしさや美しさがそう少年に感じさせる。

ぐるん、
彼の顔が動き横を向き

少年と青年は目があった。

まずい

そう思った瞬間にはもう遅く、喉元に刃物が当てられていた。

“お前はだれ?お前もこの森を侵略したいの?無駄なのに”

感情がないような虚ろな目で青年が少年の顔を覗き込む。
寒さで凍えている少年はうまく動かすことのできない口で一生懸命に伝えた。

「この森から出たい、いつのまにかここにきていて困ってい
 ただけだ。外に案内してほしい。」

きら…きらと彼の目が光っている。
思わず見惚れて恐怖を忘れたような心地だった。

“ふぅん、嘘じゃないんだ。初めてそんなやつが来たな。”

ぱ、と刃物をしまい、呆気に取られている少年の手を掴み歩きだす。

”この森に2度と入らないでね、もう一回入ったら殺す。
 俺はここの森、集落を1000年守る契約で眠ってたんだ。“

温度感のない声色が淡々と話す。
ただ前を向き、目的地へと引っ張り続けてくれた。

”ほら、ここが出口だ。さっさと帰りな。”

「あ、ありはとう」

………寒さで口が開かない。眠くなってきているし、そろそろ死ぬ間近だろう。

“あぁ、う〜ん……脆いなぁ。お前、20分魔法かけてやるか
 ら住んでる場所に戻ったら人間に伝えろ。森が見えても入
 るなって。この森は普段は結界で隠れてるから、気にする 
 必要ない。”

ぽう、と暖かな空気に包まれる。
流石の彼も目の前の幼い命が凍え死にそうになっていることに気づき、魔法をかけた。

「ありがとう、必ず伝えよう」

つんとしているようでなんだか優しく感じる彼に向き合い、礼を告げる。
振り向くと目の前の広大な景色の中に集落を見つけた。

“さっさと行きな、もうここは閉じるから戻ってくるな。”

すぅ……

森が吹雪と共に消えていく。
一つ瞬きをすると元々そうであったように雪原が広がる。
あの寒さと鉄の臭いが夢に思える。

「帰らなきゃ、皆を心配させてしまうな。」

一歩一歩、彼は元の日常へと戻り集落で神と崇められる。
雪に覆われたこの国で、集落を加護する神と。
足跡は数秒後には雪に埋もれて森がどこにあったかなんてわからない。

また会えるだろうか

あの、月のように煌々と輝く目を持つ恐ろしく美しい存在に




それから2千年ほど経った頃に魔法舎で彼らは再会する
そのお話はまた別の機会に…

11/13/2024, 7:14:44 AM

空の上を箒で飛ぶ

友人である人間の王を乗せて、彼は上機嫌だった
王は目の前にいる御伽話に出てきた人物と慣れない光景に
好奇心だったり、少し怯えながらも景色を楽しんでいた

“どうだい?君は空からの景色を見る機会は少ないだろう?”

楽しめているといいけれど、と彼は言う

「すごく楽しいよ、世界が広く…小さなものに見えてく
 る。風も気持ちが良いし、最高だ!ありがとう、アーレン
 ト。」

“そりゃあよかった!公務中の君を掻っ攫ってきたから怒ら
 れるかと思ったよ〜。”

けらけらと笑いながら鳥と並走する速度に箒を操ってる彼に
御伽話の厳格に見えた彼とのギャップや、御伽話通りに細やかな魔法の使い方を目の前にして…王の中にあった高所の恐怖なんてものは吹き飛んでいた

自国を空から見下ろし、この場所を護っているのだと誇りに思う気持ちが強まる
より一層、民が生きやすい国にしたいとも思った

そんな想いを胸に、太陽の方を見やる
眩しさに片手で影をつくっていたらぐらり、と身体が傾いた

「!?〜〜〜!まず、い」

箒からずるりと落ちてしまった

頭から真っ逆さまに落ちていき、焦りが強くなる王
その横を同じく落ちているアーレント

「な゛、アーレント!?なにして、、」

冷たい風に喉が詰まる
げほ、と咳をしていたら彼が口を開いた

“なぁ〜に、こんなスリルもまた一興!楽しもうよ、ほら!”

何を馬鹿げた事を言っているんだコイツ!!
憧れとか置いておいて、目の前の人が放ったイカれた発言に
驚きが勝る

「はぁああああああ゛!?無理、しぬ無理だぞ流石に!!」

これには王もブチギレである

ほぅら、こっちにおいでよ

手を引っ張りアーレントの身体で王をキャッチする
共に落下している時に見えた景色は

あまりにも綺麗だった
上下が逆さまになった景色
光が足元に見え、大地が空のように見える
木々が揺らめく様も、歩けてしまいそうな夕暮れも
何もかもが美しかった

だが、木々が寸前に見え避けられそうもない状態に死を覚悟する

“大丈夫、ほらごらん?僕がいればなんともないよ”

ぎゅっと目を瞑り身体に力を入れていた王にアーレントが優しく話しかける

恐る恐る目をひらけば、ふわふわと身体が浮いていた

「は、あ……こんなことなら先に言ってくれよ…………」

そうだった、彼は魔法を使える
失念していた

“でも、楽しかったろう?
 君の目は輝いていたよ。”

ふふん、と笑っている彼を見て安堵や呆れでどっと力が抜ける

“おやおや、疲れてしまったかな?
 王宮に送り届けるからゆっくり休んでいるといい。
 また一緒に空を飛ぼう、僕の友人♪”

こんな人と友人になれた嬉しさだとか、見せてもらった国を一望できる景色
この数日、王はひっきりなしに感情が動いていた

「ああ、ありがとう…今度はお茶会でもしよう。
 庭園を案内するよ…」

疲れにより眠気が出てきた中で、おぼろげに約束をする
顔を覗き込んだ彼は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

“人間がこうやって誘ってくれるのは嬉しいことだね。
 さて、帰りは安全に運んであげようね…”

ゆらり
身体を浮かせて飛び立っていく龍は人間をのせていた

11/11/2024, 4:00:27 PM

うんと昔に、怪我をした小鳥を拾って世話をしたことがある
羽の付け根が切れていて飛ぶことが出来ない鳥だった

俺と同じだと思った

その小鳥が死んでしまった時は俺もいつか自由を知ることなく消えるのだと、そう思った

それから100年ほど経った時、ようやく自分が異常な存在であると実感した

兄王が義姉上と共に事故で亡くなり、王太子がまだ幼かったため成人するまでの代替品として即位した
およそ7年の治世ののち、王太子に王位を継がせた

それから隠居生活をして10年、現王は「叔父上は老けませんね。本当に歳をとっているか不思議なぐらいだ…」と首を傾げて言った
童顔なだけだろう、と軽く笑い済ませていた

我が国の民は寿命がそれなりに長いからだ
龍神と精霊の間に生まれた龍人族の末裔と呼ばれるだけあって、皆何事もなければ300年ほどは生きる
それでも、100年も経てば見た目は青年から少し老けていく

120歳の誕生日が近いとき、パーティーの招待状を渡しに来た甥は「叔父上は老けなさすぎです、絶対何か特殊なことがあるに違いません!!」とズイズイ迫ってくる

“まぁまぁ、病気でないのならそれでいいじゃないか。
 お邪魔します、良い場所だね。空気が綺麗だ。”

さく、さく…
甥の後ろに珍しく人が立っていた
柔らかな朝焼けを纏ったような髪と目
子守唄のように響く中性的な声
初対面なのに、ほっとしてしまうような存在
不思議な人だな…

「あ、叔父上。こちらグランローヴァ様です!
 もちろんご存知ですよね?僕たちにとってかなり伝説の
 存在ですよ!!今回叔父上のことを調べて頂こうとお連
 れしました。」

なるほど、甥のテンションが高いのはそういうことか

は?
ちょっと、おい、甥、まて

「は??」

ん?え??なんて?えーとああと、、?グランローヴァさま
グランローヴァ、グランローヴァ………

…なぜ!?
建国記に記された時から6000年は現れた痕跡がなかった、
まろぼし、じゃない幻の存在と言われていた??

甥がテンション上がるだけで済んでることに驚くよ
器がしっかりしてる、良い王だな……

「ん゛ん、げほっ……
 初めまして、グランローヴァ様にお会いできたこと
 誠に光栄でございます。
 前王のファイリアと申します。」

“うんうん、よろしくね〜。君のことはこの子からしっかり 
 と聞いたよ。結論から言うと君は不老不死だね。
 先祖返りとでも言うのかな?龍神の加護が強かったんだろ
 うねぇ。”

「「不老不死」」
「「龍神の加護」」
「叔父上が?」「俺が?」

“わ〜お、息がぴったりだね♪”

甥と目を合わせ、ただ呆然とする
不老不死ってことは死なないし、もう老けないのか
龍神の加護……そんなのが俺にあると周囲にバレたら、また王にと担がれてしまう

「  、俺はもう王としての責務を全うする気はないしこん
 なことがバレれば一生玉座に縛り付けられてしまう。
 分かるな?俺は旅に出る。今聞いたことは絶対に口外す
 るな。たまにお前や姉たちに会いに来るよ。」

決断したならさっさと行こう!甥も理解してるだろうからとりあえずさっさと行こう
取り返しのつかないことになる前に

こほん!
小さく咳払いをしたのはグランローヴァ様

“丁度良いところに同じく不老不死の者が旅をしてるんだけ
 どな〜。一緒に旅をしてくれる仲間が増えたら嬉しい
 な〜!”

こちらを見ながらわざとらしく話される姿におもわず笑ってしまう

「グランローヴァ様、もしよろしければ貴方様の旅に同行
 する許可をいただきたいです。料理や洗濯、何でもやりま
 す。」

“えっ”

ん?

“料理や洗濯……!?最高じゃあん!是非頼むよ!!”

すごい嬉しそう、良かった
握手をして旅の仲間となった俺たちに甥が近づいた

「叔父上、父上の亡き後我が国を治めてくださったこと…
 一生忘れません。姉上や弟の風除けをしてくださったの
 も、叔父上ですよね?ありがとうございました。
 叔父上とグランローヴァ様の旅路が平穏であることを
 遠くから祈っております。お元気で…」

「ありがとう、行ってきまーす!」

はっちゃけすぎたかな、と思いながらもさっと荷造りをしてさっさとグランローヴァ様と旅立った
元々こんな性格なのだ、しょうがない

“そうだ、これからはアーレントと呼んでよ。
 僕の名は蒼月 アーレント ロールズセン。
 よろしくね!気軽に話そう、ファイリア♪”

「よろしくお願いします、アーレント様。」

ふわりと軽い足取りで行くアーレント様はまるで自由な鳥のようで、ふと昔に世話した鳥を思い出した

自由だ

今の俺は自由になった
自由になることなく消えると思っていたら俺の命の炎は消えることなく燃え続けると知った
この方とこれからどこへでも行けるのだと気がついた

じわ、と目頭が熱くなる
上を向いて空を見た時、広い穏やかな空が近く感じた

俺は飛べない鳥を連れて飛べる存在になろう
少しでも見たい景色が見られるように


ファイリア ロールズセンの記憶

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