S.Arendt

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ちりん

鈴をつけた小さなものが足元に擦り寄る

“....なに?この毛玉”

足元のそれを避けて宙に浮かぶ

みぅ、みぃ

小さく鳴き声をあげて下をくるくる回る子猫

「アーレント様、こちらは猫の子どもです。
 名はミーシャだそうです。」

そばにいた金の穂のような三つ編みの王が言う

抱き上げてアーレントの前に持ち、ほうら可愛いでしょう?
となぜか誇らしげに肉球を見せる

“んん、猫は知ってるんだけどね?
 なんで君の執務室に子猫がいるのかなって。”

「執務に追われて疲れ切ってた私に、補佐が癒しとして休憩
 の時間に戯れられるようにしてくれたんです。
 ふわふわで小さくて…とっても愛らしいですよね!」

にこにこと笑む彼にアーレントは“うんうん、そうだねぇ”と返す

三毛猫と戯れる友人を見つめて、彼が笑える今をアーレントはホッとしていた

“クランツ、君の補佐が猫を渡したのも体調を崩した君を心
 配してのことだろう。何かあれば僕にも教えてくれ、力になろう。”

「ありがとうございます。きっと、お伝えしますね。」

やらなければいけない仕事に追われる王はきっと本人が思っている以上に周りに慕われている

彼が落ち着いた日々を過ごせるように、願うばかりだ


ススキがお題だった時の王 名を「クランツ」としました:)

11/15/2024, 5:12:06 PM