「良いお年を」
年が明けましたね。今日は小説ではなくお話をしたいと思います。
年明け直後、皆さんは何を思いますか?何を考え何を感じますか?
私は希死念慮に襲われていました。
年が明けて、友人に明けましておめでとうと送って、妹が初詣に行って、私は母が寝てる部屋でふと、今年やることが既に多すぎて限界を迎えました。
前までは、来年にやる。と思っていたので焦燥感は今よりは少なかったです。
ただいざ年が明けてみると、あれもこれもやれなければいけない。また今年も病気に悩まされるのか、と、色々な悩みと憂鬱さが頭を埋めつくしました。
リハビリも年金も手帳も成人式も同窓会も何もかも、考えるだけで割れそうで、今こうして気持ちを吐き出している次第です。
年を越す瞬間、私はTwitterに描いた絵を投稿するため待機して、投稿して、それで友達に連絡して……そして今です。
こんな感情で良い一年になるのでしょうか。それは誰にも分かりません。私も分かりません。
ただ、皆さんに言えることは、良い一年になりますように。それだけです。
私がうだうだ何か言っても、伝わったとしてもそれは意味が無いものだと思います。だから、私の願いを皆さんにせめてものまじないとして伝えたいと思います。
今年も無理しすぎないように、良い一年にならなくてもいいから、最悪に押しつぶされませんように。
そしてこれは私へのメッセージです。
頑張ってる自分を認めてあげる。退院時に約束したことをちゃんと、忘れないで、守って。看護師さんとの指切りを無駄にしないで。ちゃんと生きて。
これで私の気持ちは以上です。きっと皆さんはスクロールしてしまえばこの小説(自語り)には会えないでしょう。それでもいいです。少しでも、気持ちが楽になればいいなと願っております。
それでは皆様、遅れましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
「星に包まれて」
私はキラキラした星空を見るのが好きだ。今日もまた、ベランダで綺麗な星空を見ている。
手にはお母さんが買ってくれた星空の図鑑を持って、寒い中丸まって体を温める。
目の前に見える星はいつもよりはっきり見えて、少し嬉しくなって声が出た。
「綺麗だね!お母さん!」
そう言っても何も返ってこない。隣にお母さんが居ないことを今思い出した。呼びに行こうと思ってももう会えない。
今いるママは鍵を閉めて仕事に行ってしまった。私が悪いことしたから、ベランダに出した。
でも私は嫌いじゃなかった。少し寒いけど、綺麗な星空が見えるから。
お母さんとよく見た綺麗な星空。これを見ると心がポカポカして、体も温まる気がする。
その時、流れ星が見えた。
「わぁ……!」
私の頭に浮かんだのは、お母さんに会えますように。だった。
すると、星が沢山私の元に降ってきた。キラキラした星が集まってどんどん形になる。私に当たった星は、金平糖になって床に落ちた。
その星はどんどん人の形になってきて、お母さんに似てきた。
私は金平糖を拾って食べる。甘い味が口に広がる。沢山集めて、振り返ると、そこにはお母さんがいた。
「お母さん! はいこれ! 凄く美味しいよ!」
そう言って渡すと、お母さんは困ったように笑って私を抱きしめた。
暖かくて、抱きしめ返す。すると、体がふわりと浮いて、お母さんと一緒に星空の方へ向かった。
「これからは、ずっと一緒よ」
お母さんがそう言って頭を撫でてくれた。いつもしてくれたこの優しい手つきに顔がへにゃりと歪んだ。
「うん!」
私は、星に包まれるように夜空に飲み込まれた。
これからはずっとお母さんと一緒。
お星様が叶えてくれた。
ありがとう。
さようなら、ママ、パパ。
私は今、凄く幸せだよ。
「静かな終わり」
人の命は、儚く淡い。簡単に壊れてしまう。だからきっと、美しく尊いものだと言われるのだろう。そしてその終わりを迎えると、静かな微睡みに沈むのだろう。
そんなことを、歪む天井を眺めながら考える。周りに散らばる小さな粒は、私の吐き出したもので、酷く臭う。独特の香りは私に終わりを連想させる。
吐いては新しいものを飲んで、時間が経ってまた吐き気に襲われてまた戻す。そしてまた飲む。その繰り返しを何度もやって、遂に粒が尽きた。
目の前がぐるぐると歪み、焦点が合わなくなる。目が有り得ない方向を向いていることだけはわかる。
耳鳴りも落ち着いてきて、環境音が聞こえなくなってきた。
静かだ。とても静か。目の前はぐるぐると周りながら段々と暗くなっていく。たまに白い光が目の前にチラつくのは瞳孔が開いているせいだろう。
意識が遠のいて、眠りにつくように私は終わりを迎えた。
想像していた通り、命の終わりは、とても静かだった。
「心の旅路」
何を言っているか分からないだろうが、私の心はたまに旅をする。心というか、意識というか、体を置いていって色んな場所に行ったりするのだ。
例えば今、母に怒られている時とか、急にふわりと浮いた感覚がして、自分を見下ろしているように見える。そうなったらあとは簡単。海が見たいと思えば目の前には月明かりがキラキラ反射している海辺に立っていたり、都会の綺麗な景色を見たいと思えば知らないビルの上で綺麗な夜景を眺めることができる。
でもそれは長くは続かない。頬を叩かれたり、何か物を投げられたりと、何か衝撃が加わるとすぐに現実に戻ってきてしまう。
気がつけば頬がじんじんと熱を持っていて、目の前には息を荒らげた母が恨みの目でこちらを見ていた。
「(嗚呼、戻ってきてしまった)」
その後は旅に出ることなく罵詈雑言を聞き流していた。母が満足したのかそのままキッチンへと向かった。
私は部屋に戻りベッドに潜る。
どんなに頑張っても、旅に出ることはできない。諦めて目を瞑る。
体がポカポカと暖まってきて、眠気が出てくる。ウトウトとしていると、部屋の扉が開く音がした。母が入ってきたようだ。
その時、また自分を見下ろしていた。よく見てみると母の手には包丁が握られている。そしてそれを振りかぶって、母が振り下ろす。
自分が刺されているのをボーッと眺める。私の体も、抵抗することなくただ刺されて抜かれる度に反動で動くだけ。白いベッドがどんどん紅に染まっていく。
急に体がふわりと軽くなる。そこで浮いたまま体を動かせることに気がついた。前までは立ったまま動くことはできなかったのに。ただ場所を移動することしか出来なかったのに、今は自由に歩けるし飛ぶことができる。
それに、どんなに衝撃を与えられても、心は戻っていない。
毎日願っていた夢が叶ったんだ。これで好きに色んな場所に行けるし、綺麗な景色を眺めながら移動もできる。
「(やったぁ! これでやっと自由になれたんだ!)」
そう思い私はまた綺麗な景色を見に、心を旅に向けるのだった。
────次の日、とある家庭の食事時
「では次のニュースです。女子中学生の娘を刃物で複数回刺し、殺害した疑いで、母親の○○容疑者が逮捕されました。容疑者は容疑を認めており、『産むんじゃなかったと、ずっと後悔していた。もう後悔はしていない。凄くスッキリした』と述べているそうです。近所の住民の証言では、毎日のように怒号が聞こえていた。たまに物を投げたような音がした。娘の○○ちゃんは、いつも笑顔で平気そうに○○(容疑者)さんの話をしていたので、通報できなかった。と、話しており、日頃からの虐待があったと推測し、捜査を続ける模様です」
「あらまぁ、酷い母親がいたものね」
「自分の子供を刺してスッキリしたって……それに何回も刺したんでしょ? きっと痛くて苦しかったんだろうなぁ……可哀想」
「本当に、可哀想ねぇ」
─────少女は笑顔で花畑の上をクルクルと周る。
『雲の上に来てみたけど……こんな綺麗な場所初めて見たなぁ。花畑の地平線が見えるなんて夢みたい!』
そう言って、花畑に背中から飛び込む。ふわりと花弁が舞う。それを見てとても満足そうに笑った。
『私今、凄く幸せ!』
少女の背中には、うっすらと羽が生えていた。彼女はきっと、この場所で幸せを堪能するのだろう。
そしていつか────飛び立つのだろう。
「凍てつく鏡」
お母さんがくれた大切な鏡。私はそれを大事に大事に使ってきた。お母さんが私にくれた鏡以外は、全て捨てられてしまったから。
シンプルだけど母の描いたイラストが裏にあるその手鏡を優しく撫でると、心が温まる。この寒い家での唯一の温かさだ。
お母さんが交通事故で帰らぬ人となって、二年経つ。お父さんはすぐに新しい母を連れてきた。
私は、その人が苦手だった。弟と父に接する態度と、私に接する態度があまりにも違うからだ。
それでも、父や弟は母と仲良くしろと言う。私の居場所は、この家にはないと悟るには時間がかからなかった。
私は部屋に引きこもりがちになった。学校には行っている。専業主婦の母がいる家にいたくなくて、帰りも門限ギリギリまで公園でブランコを漕いで時間を稼いでいる。
帰ればすぐにシャワーを浴びて、そのまま母のいるリビングに行くことなく自室にこもる生活。
洗濯などは一応してくれるのでそこで困ったことはない。多方、父や弟にバレないためにやっているのだろう。
でもご飯だけは違う。見た目は一緒だ。だけれど、味がおかしいのだ。明らかに塩辛かったり、裏面が酷く焦げていたり、酸味が強かったりと、とにかく食べれたものじゃない。
それでも食卓に座って少し食べる。毎回大半を残して自室に戻るので父に怒られるが聞こえないフリをして部屋にこもる。
お腹がすいて眠れない。そんな日々を繰り返していた。
ある日、家に帰ると自室の扉が開いていた。
まさか、そんなはずは無い。そう思いながらも心臓はバクバクと音を立てる。
焦燥感に駆られて部屋に飛び込む。
そこには、割れた鏡と酷く笑顔の母がいた。
「あら、おかえりなさい」
珍しく上機嫌なのは、きっと私の顔を見てニタニタと笑っているのだろう。近寄って、バラバラになった鏡の破片を見て膝から崩れ落ちる。
心が冷えていく感覚がした。何かが壊れる音が聞こえたような気もする。
「さてと、そろそろお父さんが帰ってくるからお味噌汁温めないと」
そう言ってこちらを見たあと、リビングへと歩き出す。
私はそんなことを気にせず、破片に触れる。もうあの温かさは無く、ただ冷えきった鏡の破片に成り果ててしまっていた。
ロウソクに灯った小さな炎に手をかざす様な温かさはなく、凍てつく氷のような冷たさを感じた。
私は、大きめの破片を握りしめて、ボーッと眺める。
そして─────
────気がついたら、床に倒れ込んでいた。
首元から、温かいものが溢れ出してくる。その温かさを、私は知っている。
交通事故にあったお母さんから溢れ出したものと同じで、大切な手鏡と同じ温かさ。
その温かさに包まれながら、ゆっくり目を閉じる。
目からも、温かいものが溢れ出してきた。
「お母……さん……に……会える……かなぁ……」