最近の日差しがあまりにきつすぎて、サングラスを買った。日傘をさしても、下から跳ね返る日差しがすごく眩しかったのだ。
メガネ店で、色々かけてみる。どれが似合うかさっぱり分からない。お店の人に勧められたプラスチックフレームのものをかけると、なんとなくしっくりきたのでそれにする。
今度は、レンズの色を選ぶ。薄めから濃い色までたくさんある。薄めのものは、目元も見えて、怪しさ?が少し減る気がする。すると、店員さんが、「眩しさなら濃いめですよ」と言う。少しでも怖く?見えないよう茶で選ぶ。茶でも色々ある中から、肌うつりの良さそうなものを選んだ。
出来上がったサングラスをかけてみると、アレ? 思ったよりレンズの色が濃かったかな?
「これで眩しくないですね」と、店員さんがニコニコしている。鏡の中には、茶色のサングラスの人が写っている。見慣れない。
早速外でかけてみる。確かに目は楽だ。でもやっぱり落ち着かない。ショーウィンドウに映る自分の姿に、ちょくちょく驚きながら歩いている。
「眩しくて」
懐かしい場所を訪れてみる。
その場所は、だいぶ変わってしまっているだろう。すっかりきれいになった駅の改札を出て、
街並みを見る。
そこにあったはずの建物はなく、新しい高いビルになっていた。あの時の面影を求めて歩いてみる。あっ。古い商店街がビルの谷間に残っていた。見覚えがある。
一気に記憶が戻ってきた。あの辺のお店で、よく食事したはず。お茶もしたかな? 同じお店かどうかはわからない。でも、なんだかドキドキしてきて、あの時の胸の鼓動までもが、よみがえってきた。
「熱い鼓動」
気に入って買ったノートを、いつから使おうかとちょっと悩んでいる。
価格が高めで、なかなか買わずにいたが、先日、セールになっているのを見て、ついに手に入れたものだ。
買ってすぐは、お店の包装紙を丁寧に開けて、うっとりと眺めた。まだ、ノートを包むフィルムは開けず、その上から硬い表紙の感触を楽しんでみる。中を見てみる? 何だかもったいない。
でも、このまま使わないと、紙や、めくる感じ、何よりもその書き心地を楽しめない。長い間置いていたら、劣化してしまうかも。使ってこそのノート。早速、開封。フィルムを開けようとしてみる。んー。いや、まだ。他のノートもあるし、やっぱり、もう少し後にしよう。
そんな感じで、ずっとそのタイミングを逃しつづけている。
「タイミング」
はじまりの場所は、追いかけたらみつかるだろうか。急がないといけない。あっという間に薄くなってしまうから。
その姿を見ると幸せな気分になるのは何故だろう。色のグラデーションが、あまりにも美しいからだろうか。大きな放物線が明るい何かを彷彿とさせるからだろうか。めったに出合えないからだろうか。
でも、見えた時には遅くて、はじまりへは行けない。
もしかしたら、別の時には、今いる場所がそのはじまりになっているかもしれない。そこからぶわっと光が伸びている。向こう側にいる誰かからその美しい光の束が見えているのかもしれない。
「虹のはじまりを探して」
お気に入りの坂道がある。
その坂の頂に立つと、右手に線路の土手があり、ゆったりと道路が曲線を描いて下っている。
土手は舗装されてなく、季節ごとの草が生える。
昼間は、目の前にまるく広がる青い空と、草の色を楽しむ。夜は、道の脇の街頭がポツポツと灯るのがいい感じだ。特に月が見える日は、少し幻想的になる。月あかりに照らされて、土手の草や木がいつもより深い影を作る。
ふわっと漂う草の香りと、虫の鳴き声も心地よい。思わず深く息を吸う。少し軽くなったように感じる足元の、かかとに力を込めながら坂を下る。
この坂は、私のちょっとした癒しの場所だ。
「オアシス」