NoName

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3/7/2026, 6:13:45 AM

 一緒の場所にいることになった人みんなと、うまくいくということは、なかなかない。何となくソリが合わないとか、お互いに絶対折り合えないなとか思うこともある。

 でも、そこで出会えたということは、やっぱり縁がある人なのだ。一緒に過ごすうちに、そこにいるのが当たり前で、そういう人だと思って受け入れていたりする。

 そのうちに、なんだか妙な一体感が生まれている。気づいたら、けっこう強固なエネルギーで、ふわっと包まれているのだ。

「絆」

3/6/2026, 9:12:40 AM

 スーパーに行くと、二階でセールをやっていた。普段一階の食料品を買うばかりで、あまり上には上がらない。たまには行ってみようかと思った。

 エスカレーターで上がると、20%オフの、のぼりが見えた。衣料品や日用品が通路のほうまで並べられている。アクセサリーのコーナーが目に入った。コサージュや、ネックレスなどが、手頃な価格でたくさんある。

 その中の小さなブローチが気になった。パールが丸く散りばめられている。手にとると、照明が当たってパールの土台の金色の部分がキラキラ輝いている。鏡の前で胸元に当ててみた。いつものカーディガンが、ちょっとだけ良いものになった気がする。心なしか、顔まで明るく見える。

 ん、買おう。何か特別なセレモニーがあるわけではない。普段にこそ、どんどん使おうではないかと思うと、妙にうれしくなって、ブローチをレジに持っていった。


「たまには」

3/5/2026, 9:17:35 AM

 すれ違った人から懐かしい香りがして、思わず振り返った。もちろん違う人なんだけど、君からいつも漂っていた。キリッとして、さわやかな輪郭が残るその香りが、とてもよく似合っていた。

 君のことが大好きだったころ、うまく思いを伝えられなかった。いざ二人になると、妙にカチコチになって、自分らしくいられなかった。どこか無理をしていたのかもしれない。

 でも、とても魅力的だった。今はその思いがすてきな面影になって、心の奥にしまってある。


「大好きな君に」

3/4/2026, 7:38:01 AM

 雛人形をいつから出さなくなっただろうか。ミュージアムや店先で飾ってあるのを見るくらいになった。今は、精巧にできた人形や、調度品の細かい細工を楽しむことができるけれど、小さいころはどのくらい分かっていただろうか。

 それよりも、ちらし寿司や、お菓子のほうに心を奪われていただろう。この頃になると、お店に桜の香りが漂う桜餅や、お団子が並ぶ。その香りと優しい色合いに、思わず心がおどる。3月3日は、春の訪れが感じられる桜餅を買って帰った。
 

「ひなまつり」

3/3/2026, 6:25:18 AM

 家のドアの前で、鍵を出そうとする。ん? バックの定位置にない。あっと思う。訪ねた友人の家で、バックを落としたのを思い出した。その時、どこかへ転がったのかもしれない。友人は、泊まりがけで出かけるって言っていたから、もういないだろう。

 そうだ、大家さんだ。一階の大家さんのところへ行き、ドアのベルを鳴らす。あれ? いない? 部屋の灯りはついている。ちょっと出掛けただけだろうか。

 とりあえず、郵便受けがある横の棚に座って待つことにした。もし、大家さんが帰ってこなかったらどうしよう。どこかで泊まる? 悶々と考えていた。外から風が冷たく吹き込んでくる。

 すると、塀の隙間から見慣れた上着がちらっと見えた。助かった! 「あれ、どうしたの?」。小さな袋をぶら下げた大家さんの姿を見ると、全身の力が抜ける気がした。


「たった一つの希望」

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