雪を待つ
いつになったら
君は現れてくれるのかな
あの日、あの場所で交わした約束
左手の小指、重ねた指
君がいなくなってから
僕の心の時計は止まったまま
ずっと12時を指している
周りはあっという間に時が進んで季節も巡り
もう、あの冬から3年経った
想いも、冬の寒さもどんどん強くなって
僕だけがあの冬に取り残されて
「…もう、会えないのかな」
そう、冬の白い息と共に彷徨った言葉は
すっと、消えてしまった。
あれから毎日通っているこの場所
今年も、会えないまま過ぎてゆく
約束の12時を回るころ
冷たい風に吹かれて、
この場所を去る。
「……雪、降ってたんだ。」
気付けば、肩に落ちた雪が溶けていて。
また、今日も会えなかったな。
雪を待つあなたに見せたかった。
いや、一緒に見ていたかった。
そんな想いは
暗闇に溶けて無くなった。
ちょっと複雑で良く分からないかもですが、、
「あなた」は、もう死んでしまってこの世にはいないのに、それを受け入れられず、ずっと待っている、僕を書きました。雪が見たいと言って消えた「あなた」を、
僕はずっと待っているのかもしれません。でもきっと、そばにずっといるはずです。
読んでみてくださいね。
イルミネーション
赤、黄、青
僕の心に刻まれる色
今こうして感じられているのも
ここまで素敵だと思うのも
全部あなたのおかげだよ。
高校3年生の夏、
俺はあなたに恋をした。
俺の心は空っぽで
無関心で、人の心もなくて
目に映るもの全てがどうでもよかった
放課後、茜色に染まる教室
使われていないこの教室は
誰もいないはずだった。
だから、俺は毎日ここにいるのに。
人の気配がした。
覗くと、そこには今にも消えてしまいそうなくらい
儚くて、朧げなあなたがいた
「……何もかも消えてなくなればいいのに
あなたも、そう思うでしょう?」
そう言って、あなたはこちらを見る
なんて返していいのか分からなかった。
何もかもどうでもよかったはずなのに
消えてなくなればいいなんて
俺には到底思えなかった。
それが、俺が消えてなくなることを拒否するのか
あなたが消えてなくなることを拒否するのか
分からなかった。
「…それが、あなたの答えだよ。
何もかもどうでも良くたって、消えてなくなることは
きっと怖くて、辛い。だからあなたは
無関心なんかじゃないよ。きっと、優しくて温かい心を持ってるよ。」
そっか、きっと、あなたは
俺を救いに来てくれたんだろう
ありがとう、そうお礼を言おうと俯いていた顔をあげた
しかし、そこにあなたはいなかった。
このイルミネーションも、きっと、あなたがいなければ
見に来ることはなかっただろう。
こんなにきれいに映っていないだろう。
あなたのおかげで、成長できたよ。
ありがとう。
愛を注いで
新しい朝
僕の体はなにひとつ覚えてなくて
見知らぬ天井、
隣には見知らぬ誰か。
「…ね、だれっ、?」
誰かがゆっくりと目を開ける
「……ときだよ、あなたの彼女。
あなたを支えるために、ここにいるの。」
そっか、分からないけど
このひとはきっと大事な人だ。
毎日忘れてしまう僕に、
ずっとついてきてくれる人だ。
「このノート、あなたの全部が書いてあるから。」
そういって、手渡されたのは分厚いノート
きっとここに僕の歴史が刻まれている
僕の名前は…
「…くうが…?俺の、名前?」
ノートを見るたびに自分の知らない自分がたくさん出てきて
こんなことしてたんだっていう興味と
忘れてしまっている自分が憎くて
「……っ、ごめん、なさいっ、」
涙が溢れる。
きっと、この人が一番分かってる。
毎日起きたら、忘れてるだなんて
僕の辛さなんてどうでもいい
「…あなたが、幸せじゃないのなら
もうここから出ていってください、
もう、傷付けたくないんです。
自分も、あなたも。」
「……大丈夫だよ。傷付いてなんかない。
私はあなたを愛するって決めたの。
覚えてないかもしれないけどね、
あなたは私に助けてって言ったの。
ずっと孤独で、僕に愛を注いでって
辛いよ。毎日、忘れられて。
でも、その度に毎日違うあなたをみれるのは
きっと私の特権だから。気にしないで?
大丈夫だよ。好きに生きて」
この人は、きっと覚悟を持って僕と一緒にいてくれてる。
これからも、愛を注いで?
俺も、愛の全てをあなたに捧げるから。
心と心
記憶のずっと奥
もうこれ以上は進めないくらいに
深くて、暗くて。
でも、毎日夢に出てくるあなたは誰?
俺の、きっと大切で、愛しい人。
今日も、あの場所で君を待つ
今、どこでなにやってるんかな
まだ、あの場所で
俺のこと待ってたりしてくれてるのかな
あの冬、閉じ込めたはずの想いは
冬になると膨らんで
気持ちも、全部あの冬においてきたはずなのに
どうして、忘れられないのかな
時が進むばかりで
募る想いが
俺の心を締め付けるんだ
「……ねぇ、きいてる?」
「……あぁ、ごめん。」
また、やっちゃったな。
どれだけ彼女が出来ても
結局思い出すのは
あの冬置いてきた、あの気持ちだけ。
「……やっぱ、別れよっか、。
あの子でしょ?前に話してた、記憶障害の子。
あの子の話するたび、愛おしそうな顔なの、
気付いてない?どんな出会いか、どんな別れだったかは
私には分からないけど。
きっと、思い出せてないだけで、心に残ってるんだよ。温もりは。そばにいてあげたら、いつかは思い出すんじゃないの?心と心は繋がってるんだから。
愛してるなら、信じて待ってあげなよ。
楽しかったよ。さようなら。」
ほんとうにその通りだ。
こんなに傷付けてばかりで。
全てを忘れるあいつが怖くて
辛くて。
でも、きっと待つべきはあいつだったんだ。
俺が、助けてあげるんだよ。
あの場所へ、駆け出す。
いたのは、愛おしい君。
「……ねぇ、俺のこと覚えてる?」
君はきっと、覚えてないんだろうな。
困った顔で、俺を見つめる
-いや、見つめていた。
「……しょう、?」
「…っ、覚えてたの、?」
あの日、閉じ込めた気持ちが
止まっていた気持ちが
俺の心をとかした。
「…ねぇ、はなそう?たくさん、」
やっぱり、心と心は繋がっている。
ふと、俺の前に現れる人影。
見上げてみると、そこには知らない男の人がいた。
……知らないはずがない。
その瞬間、深くて、暗くて
届くはずのない記憶が
止まっていた記憶が、動き出した。
「……しょう、?」
あぁ、愛する人だ。
ごめんね、忘れてて。
これからも、ずっと。
だいすきだよ。
何でもないフリ
昔から言葉にするのが苦手で
辛いことも、苦しいことも、全部溜め込んで
気付いたら君の腕の中で泣いていて
優しく、包むように背中を撫でて落ち着かせてくれて
「…溜めるのも、悪いことじゃないよ、
言葉にするのが苦手な人だっているから。
…でも、俺にだけは話して?絶対れんの力になるから。」
そういって、いつも僕に力をくれる
今日だって、朝から体調が悪くて
いいこともなくて、ずっと落ち込んでて
でも、それを隠すのに必死で
何でもないフリして、かいに八つ当たりもして
いつも、見捨てないでくれてるのに
あんなこといったらもう離れていっちゃうんやないかって
自分のせいなのに、苦しくて。
部屋に籠って一人泣いた。
次の日は、本当は学校に行きたくなった。
でも、きっと行かないと変に思われるから
無理して、学校に行った。
1時間目から体育で、
でも来たからやるしかないなって思って
きつかったけど頑張って、でも、
「……もう、むり、」
視界が反転して、床が見えた
あぁ、倒れるんやな
そう思っても体は思うように動かない。
でも、僕の体は優しく包み込まれた
「…すみません。体調悪そうなので保健室連れてきます。」
……はぁ、また、迷惑かけてもうた
ずっと無言で、もう嫌われたんかなって思うと
辛くて、そっと腕の中で目を閉じた。
目を開けると、白い天井。
右手にある温もりは、
かいの手だった。
「…あ、起きた?体調はどう?
ただの疲労と寝不足かな、ゆっくり休んでね。
…そういえば、この子ずっと待ってたから、
お礼言ってあげてね?」
そういって、先生は仕事に戻った。
「…かい、ありがとお、」
「……ん、れんっ、?心配したんだからね、?」
「ごめん、ほんまに迷惑かけてばっかで…
何もないから、ただの疲労やし。」
「……れんの嘘ばっか、
そんなに、俺って頼りない?何でもないって、そんなことあるわけないっ、れんの、溜め込んでることも、一緒に背負いたいくらいに、俺はれんのこと守ってあげたいし、ずっと一緒にいたいくらい好きなの。俺じゃ、だめ、?」
そう、泣きながらかいは僕に言った。
やっぱ、叶わんなぁ、
かいに言えば、きっとこんなの、すぐ治るのになぁ、
ほんまあほやな、俺。好きな人にもこんな態度で、
だめやん、
「…ううん、かいはすごい頼れる…俺の、好きな人やよ、
素直になれんくて、ごめん。迷惑、かけるかなって、
それに、好きな人の前ではえがおでいたかったんよ、ごめんな」
こんな、俺のことなんて、好きになるはずない、
あぁ、これからこうやって悩みを話すのも今日で最後かな
「…れんっ、俺も、れんがすきだよ、
れんの苦しいのも、辛いのも、二人で一緒に乗り越えよう、?俺と、付き合って?」
そんなの、最初から決まってる。
「…うん、よろしくね、かい
だいすき、この世界で一番。」
これから迷惑かけると思うけど
ひまわりみたいなそのえがおで
俺の心も解かしてや
何でもないフリは、もうやめた。
」