心と心
記憶のずっと奥
もうこれ以上は進めないくらいに
深くて、暗くて。
でも、毎日夢に出てくるあなたは誰?
俺の、きっと大切で、愛しい人。
今日も、あの場所で君を待つ
今、どこでなにやってるんかな
まだ、あの場所で
俺のこと待ってたりしてくれてるのかな
あの冬、閉じ込めたはずの想いは
冬になると膨らんで
気持ちも、全部あの冬においてきたはずなのに
どうして、忘れられないのかな
時が進むばかりで
募る想いが
俺の心を締め付けるんだ
「……ねぇ、きいてる?」
「……あぁ、ごめん。」
また、やっちゃったな。
どれだけ彼女が出来ても
結局思い出すのは
あの冬置いてきた、あの気持ちだけ。
「……やっぱ、別れよっか、。
あの子でしょ?前に話してた、記憶障害の子。
あの子の話するたび、愛おしそうな顔なの、
気付いてない?どんな出会いか、どんな別れだったかは
私には分からないけど。
きっと、思い出せてないだけで、心に残ってるんだよ。温もりは。そばにいてあげたら、いつかは思い出すんじゃないの?心と心は繋がってるんだから。
愛してるなら、信じて待ってあげなよ。
楽しかったよ。さようなら。」
ほんとうにその通りだ。
こんなに傷付けてばかりで。
全てを忘れるあいつが怖くて
辛くて。
でも、きっと待つべきはあいつだったんだ。
俺が、助けてあげるんだよ。
あの場所へ、駆け出す。
いたのは、愛おしい君。
「……ねぇ、俺のこと覚えてる?」
君はきっと、覚えてないんだろうな。
困った顔で、俺を見つめる
-いや、見つめていた。
「……しょう、?」
「…っ、覚えてたの、?」
あの日、閉じ込めた気持ちが
止まっていた気持ちが
俺の心をとかした。
「…ねぇ、はなそう?たくさん、」
やっぱり、心と心は繋がっている。
ふと、俺の前に現れる人影。
見上げてみると、そこには知らない男の人がいた。
……知らないはずがない。
その瞬間、深くて、暗くて
届くはずのない記憶が
止まっていた記憶が、動き出した。
「……しょう、?」
あぁ、愛する人だ。
ごめんね、忘れてて。
これからも、ずっと。
だいすきだよ。
12/12/2023, 11:19:20 AM