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イルミネーション

赤、黄、青
僕の心に刻まれる色
今こうして感じられているのも
ここまで素敵だと思うのも
全部あなたのおかげだよ。

高校3年生の夏、
俺はあなたに恋をした。
俺の心は空っぽで
無関心で、人の心もなくて
目に映るもの全てがどうでもよかった
放課後、茜色に染まる教室
使われていないこの教室は
誰もいないはずだった。
だから、俺は毎日ここにいるのに。
人の気配がした。
覗くと、そこには今にも消えてしまいそうなくらい
儚くて、朧げなあなたがいた
「……何もかも消えてなくなればいいのに
あなたも、そう思うでしょう?」
そう言って、あなたはこちらを見る
なんて返していいのか分からなかった。
何もかもどうでもよかったはずなのに
消えてなくなればいいなんて
俺には到底思えなかった。
それが、俺が消えてなくなることを拒否するのか
あなたが消えてなくなることを拒否するのか
分からなかった。
「…それが、あなたの答えだよ。
何もかもどうでも良くたって、消えてなくなることは
きっと怖くて、辛い。だからあなたは
無関心なんかじゃないよ。きっと、優しくて温かい心を持ってるよ。」
そっか、きっと、あなたは
俺を救いに来てくれたんだろう
ありがとう、そうお礼を言おうと俯いていた顔をあげた
しかし、そこにあなたはいなかった。

このイルミネーションも、きっと、あなたがいなければ
見に来ることはなかっただろう。
こんなにきれいに映っていないだろう。
あなたのおかげで、成長できたよ。
ありがとう。

12/14/2023, 3:28:54 PM