羊が一匹、羊が二匹。羊が三匹、羊が四匹。
羊が五匹、羊が六匹、羊が七匹、羊が八匹。
羊が頭の中で飛び跳ねて、来ては過ぎていく。
羊が九匹...羊が...十匹...ひつじ、が...。
さぁ、今日も羊と共に安らかな夢の世界へ---
---二作目---
「俺なんかの心配なんてしなくていい。俺は大丈夫だから、な?」
...嘘だ。
大丈夫なら、なんで何かを我慢するような、そんな苦しそうな顔をするのか。
記憶の中のお前も、今俺の目の前にいるお前も。
...俺それに耐え切れなくなって、目の前のわいむを力一杯抱き締めたい。
もう二度とそんな悲しい顔をして欲しくないと、どうしたらお前の事を安心させられることが出来るのかと。
「.............」
わいむは何も言わない。
不思議に思って、少しだけ顔を覗いてみる。
「!」
...俺は、多分この時のわいむの顔を忘れられないだろう。
「...ッ///近い...んだよ、お前///いいから離れろ...」
この時のわいむの顔は、真っ赤に染まっていて、少しだけ幸せそうで。
そんな見た事もないあいつの表情に、見惚れて、恋に落ちたのだから。
(雑ですみません!!)
#脳裏
113作目
ゲームをする時間も、SNS見る時間も、
ダラダラする時間も、ぼーっとする時間も
一見、どうでもいいような時間に思えるけれど
その時間は、日常をすごしていく中で、必要不可欠な時間なんだよ。
---二作目---
俺の努力は、まるで儚く消えてしまうなんの意味も無い泡のように、価値の無いものだった。
だって、それはそうだろう?その努力をした張本人に、なんの価値もないのだから。
----
親に...お父様に認めてもらうために、俺なりに今まで一生懸命努力してきた。
寝る間も遊ぶ時間すらも惜しんで必死に勉強をした。必死に勉強を...したつもりだった。
...でもそれは、全て無意味な事だった。
俺が認めて貰えることは無かった。
「価値のない人間だな」と「優秀な兄をもっと見習え」と。
そう言われるだけだった。
...ただ、褒めて欲しかっただけなのに。認めてもらいたかっただけなのに。
そう言われたことが凄く悲しくて、初めて言われた時は夜な夜な一人で泣いていた。
...でもその時、気が付いたんだ。
「この努力を認めて貰えないのは、俺自身に価値がないせいなのだ」と。
全ては俺が悪いのだ、と。
そう気づいたところまでは良かった。でもそれでも、ずっと続けてきた「努力」を辞めることは出来なかった。
変わらず勉強漬けの毎日、寝る間も遊ぶ間も押しんで。続けるしか無かった。
まるで使命感のように、蜘蛛の糸のように、それは身体を締め付けて、俺を離してはくれなかった。
...そして続けたとしても、お父様に認めて貰えることは一度も無かった。
同じ言葉を淡々と言われて、説教じみた事をされるだけ。
嗚呼、俺はなんて--
無意味で、無駄な時間を過ごしているのだろうか...?
#意味がないこと
112作目
「...お前の努力は、決して無駄なものでは無いと思うぞ」
図書室で勉強会を開いている最中、突然そんな事をせいらに言われた。
「...は?」
それに対して、言われた意味がよく分からないままに変な返事を返してしまった。
突拍子も無い事だったし、本当によく分からない。
「...さっき、思い詰めているような顔をしていたからな」
そんな俺を気にすることなく、せいらは話す。
「...流石に家での事とか、授業中の時のわいむの事は分からないが...俺が見れる範囲...特に図書室でのお前の姿は、誰よりも知っているつもりだ。...分からない事を理解しようとするその顔も、俺に分からない所を教える時の優しい顔も、勉強に向き合おうとする真剣な顔も...全て。そして俺は、そんなお前を知ったからこそ、惹かれたんだ...」
そう言うせいらは、とても優しくて、まるで小動物を見るような、愛おしいものを見るような、そんな眼差しを向けてくれていて。
「だから、前みたいに。自分に生きている価値がないだとか、自分は無意味な存在だと...そんな事は思わないでくれ」
悲しそうに、眉をひそめて、そう告げるせいらを見て、目から涙が零れてきた。
...こいつは、たまに核心を突くような、それでいて優しい言葉を俺に掛けてくれる。
そして、今回も。
俺の努力には意味があったのだと、そう認めて貰えた。
ただそれだけが、すごく嬉しかった---
(内容がおかしくなってそうでごめんなさい!!)
おまけ
「あと、俺に甘えてくる時の可愛い顔とk」
「それ以上は辞めろ//////!?」
あの子は野菜が大好きで、あいつは野が大嫌い。
あの子ははホラーが嫌いで、あいつはホラーが好き。
あの子は勉強が出来るけど、運動が全くできない。
あいつはは勉強ができないけど、運動がすごく出来る。
そんな正反対の二人。何を決めるにも、何をするにも、必ずすれ違う。
...だけど、
あの子はあいつが大好きで、あいつもあの事が大好きなんだ。
その気持ちだけは、すれ違うこと無く交差する。
---二作目---
俺はお前が好きだけど
お前は俺の事なんか、どうとも思ってないのだろう?
---
家が近いのもあってか、俺とあいつは一緒に遊んだりする事が多かった。
外で遊んだり、小学校からは、出来る時は一緒に登下校したり、勉強会を開いたり。
お前にとっては、俺はただの昔からよく一緒にいる先輩。
名前をつけるなら、ただの幼なじみ。...そんな関係のはずなのに。
いつからか、俺はあいつに想いを寄せるようになっていた。
なんでもない事で俺ばっかりが意識してしまって、時にドキドキしてしまって。
...俺はどうしようもなくあいつが好きで好きで...大好きで。
...でもあいつは違う。
なんとも思ってない。
ただ俺が一方的な思いを寄せているだけ。
勝手に意識しているだけ。...たったそれだけ。
忘れることなんて出来ない、その厄介な恋心はまるで鎖のように身体に巻き付き、話してくれない。
忘れさせてくれない。
...片思いをしている時期が辛いとかなんとかと聞いたことがあったけれど
まさか片思いがこんなに辛くて...虚しいものだなんて。想像もしていなかったし...こんな思いしたくなんてなかった。
それにあいつにだって迷惑だ。幼なじみだった奴にいきなり好意を抱かれて。きっとあいつが俺の思いに気づいたのなら、きっと軽蔑するんだろうな。
...あぁ、こんな思いをするくらいなら、こんな思いをしてしまうくらいなら---
--俺とあいつは...出会わなければよかったのか?
#あなたとわたし
112作目
鋭い刃が、次々に頭上から降り注ぐ。
どんどんどんどん降ってきて。
痛い痛い、と。
辛い辛い、と。
苦しい苦しい、と。
何度言っても、何度叫んでも。
それは無惨にも降り止むことはない。
あぁ、いつになったら...この言葉の刃は、降り止んでくれますか?
どうしたら...言葉のハートは、降ってくれるようになりますか?
---二作目---
...雨はいい。
涙を流しても、誰にも気が付かれないから。
どんなに泣いても、降り注ぐ雨がそれを上書きしてくれるから。
そして同時に頭も冷やしてくれるから。
偶にこんなふうに雨に打たれて...一人ぼんやりと曇った、代りばえのない空を眺める。
全てがどーでも良くなって、辛くなって、苦しくなって、何も分からなくなった時に。
雨は全てを洗い流してくれるような、そんな気がした。
...今日の雨は一段と激しいから、より強くそれを感じられる
そんなことを考えながら空を眺めていると、突然空の色が重苦しい灰色から、青空のように綺麗な空色へと変わった。
「...やっと見つけた」
少し驚きつつ当たりを軽く見渡してみると、そこには2本の傘を差し出しているせいらの姿があった。
「...お前...どうしてこんな所に...?」
「それはこっちのセリフだ...まぁいい。取り敢えず帰るぞ」
「..................」
...まだ、帰りたくなかった。もう少しだけ、冷たく鋭い雨に当たっていたかった。
この雨に浸っていたかった。
...だから、俺は差し出された傘を受け取ることをしなかった。
「...はぁ、仕方ないな...」
そう言うと、せいらは器用にも片手で自分にさしていた傘を閉じ始めた。
...は?と思いながらそんな光景を眺めていると、突然こちらに近ずいてきて、腰を抱かれながら相合傘というものをされる。
「はッ...!?おまッ、何を!?」
「どうせ今の状態じゃ、よっぽどの事じゃない限り俺の話を聞かないだろう?だから無理やり引き込んで入れた」
「だっ、だからって...」
「...ごちゃごちゃうるさい、早くしないと風邪ひくのだから、さっさと帰るぞ...」
それに...お前が一人で思い悩んでるのは...嫌だからな...((ボソッ
「!!」
...ズルい...そんな事を言われたら...言われたら...
「!...わいむ大丈夫か」
「ッッ!?うるっせぇ!雨水だよ雨水!!」
...今は絶対に顔を見せられない...だって、今は俺の涙を隠してくれる雨はないのだから。
いつの間にか、あの激しかった雨は止み、優しい雨が空から降り注いでいた。
#柔らかい雨
111作目
物音一つしない、暗闇の中。
果てなき道を、只々歩き続ける。
ゴールなんて見えない、この先がどうなっているのかすらも分からない。
心の中に常にあるのは、恐怖という感情のみ。
怖くて、怖くて、嫌で、嫌で。
けれど、止まることは許されない。
時間ある限り、歩み続けなければいけない。
あぁ、いつになったらこの道を抜けられるのだろう。
...そう思っていたら、突然目の前に明かりが灯り始めた。
その瞬間俺は、今までに無いくらい全力で走った。
走って、走って...手を伸ばした。
希望の光に向かって。
そして、ようやく...俺はその場所にたどり着くことが出来た。
暖かい空気、幸せそうな人達の顔、綺麗な花畑。
まさに、楽園のような場所。
...あぁ、俺はこれで、やっと...”楽になれる”
---二作目---
『何でこんな事も出来ないんだ...!?』
『もう少し兄を見習ったらどうなんだ!!』
真っ暗な部屋の中に響き渡る怒号。
ドンッと言う音と共に全身を駆け巡る痛み。
...ここでもし、涙が出たのなら良かったのかもしれない。
けれど俺の身体は、見慣れた過ぎた光景に、もはや涙の一滴すら零れない。
幼少期の頃から、ずっとこの調子。
価値の無い人間と言うハンコを押され、背中すら見えない兄と比べられて。
罵詈雑言の嵐や暴力を、常日頃から受けてきた。
辛くて、身体は相変わらず痛くて。
だからと言って涙が出てくれるわけでも、救いの手が差し伸べられる訳でもない。
反抗すれば、更に痛いお仕置が待っている。
だから、ずっと我慢してきた。
最大限に足掻いて、気持ちも、感情も押し殺して。
...でも、もう限界だ。
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下から吹き抜ける、冷たい風。
正面で輝く、美しい太陽。
カランカランと鳴り響く鐘の音。
...あぁ、ここから落ちれば、きっと楽になれる。
...あの現実から逃れて、死ぬことが出来る。
正直いって、死ぬのは怖いし、出来る事なら生きていたいけれど。
こんな現実から逃れるためには、仕方の無い事。
どうせ俺が死んでもお父様は悲しまないし、別にいいだろう。
家から少し離れた、鉄橋の上。
靴を脱いで、落下防止のために付けられた柵に手をかけよじ登る。
まるで俺の死を祝福するように、そよ風が吹き、太陽の光でキラリと目の前の景色が光り輝く。
こんな時でも、世界はこんなにも美しい...そんな中で楽になれるなんて、なんて幸福なんだろう。
そんな事を呑気に思いながら。
俺は、その光に向かうように、足を進めた---
#一筋の光
110作目
...グイッ!ドサッ......
「...いっ!?...た...」
線路の上に落ちて、そのまま見るも無惨な姿になっているはずの身体は原型をしっかりと留めたまま、
また別の痛みに襲われた。
「はッ...な...んでッ...」
「ッ!お前...何やってるんだよ!?」
声をした方を向くと...そこには尻もちを着いたせいらの姿があった。
「せ、いら...どう、して...!?」
俺がそう口にした瞬間に、せいらは俺は俺の体を強く抱き締めた。
「バカっ...!わいむのばかやろう...!!もうなんでッ...!!」
徐々に抱きしめる力は強くなっていって...珍しく叫ぶように声を荒げていた。
...なんで俺は、忘れていたんだろうか。
唯一気にかけてくれていた、こいつの存在を。
「...ごめんな...せいら...」
俺はせいらの背中に腕を回した。それで掠れた声をあげた。
「...謝るなよ...バカッ...」
その時、世界が照らされた気がした