春が来て、夏が来て。
秋が終わりを迎えようとして、冬が始まろうとしている。
今日も外が暗くなり、やがて明日が来るだろう。
紅茶を片手に、満月の夜に思いを馳せる。
---二作目---
公園に一人ポツンと座り込む。
冬の朝日に照らされて、世界が煌びやかに光る。
凍えるような風が頬をかすめ、少しだけ身震いをする。
「...もう冬か...」
ボソッと呟きながら、白い息を吐き出す。
あっという間に移りゆく季節。
時の流れは、幸か不幸か、止まることなく進み続ける。
そう思うと、なんだかんだ寂しい様な、悲しい様な、そんな気持ちになる。
「...こんな所にいたのか...」
少し振り返ると、暖かそうな服装に身を包んだせいらの姿があった。
「はぁ...そんな薄着で外に出るな、わいむ」
「わりぃわりぃ、ちょっと外に出たくなってな...」
「だからと言って、こんなに寒いのにそんな格好だと風邪ひくぞ」
「ふはっ、そりゃごもっともだな」
「分かったならせめてこのマフラーくらい付けろ」
そう言いながら、せいらは自分で付けていたマフラーを取って俺に手渡してきた。
「はいはい、ありがとな」
「...ふん、付けたらもう帰るぞ」
「へいへい」
ふわふわのマフラーを首に巻き、星羅と一緒に帰路に着く。
何となく喋らずに、何となく手を繋ぎながら。
寂しい気持ちも、悲しい気持ちもない、暖かい空気に包まれながら。
移りゆく季節に流されないように、しっかりと手を繋ぎながら。
#哀愁をそそる
110作目
:あとがき:
皆様おはこんばんにちわ。
少し長いし、意味わからないところもある中、ここまで読んでくださりありがとうございます
いつの間にか、もっと読みたいの数も、1000を超えておりました。
正直いってここまでなるとは思ってなくて、すごく驚いております。
本当にありがとうございました。
--ここからは読まなくても大丈夫です--
はい、私の作品を読んでくださっている方ならもしかしたらお気づきかもしれませんが...
最近はひとつのお題につき2作品を作っているのですよ。結構前より悩むようになりましたね(笑)
...まぁそんなことは置いておいて、
今回初めて登場人物の名前を出しました!!
名前は、「せいら」と「わいむ」です。
今後はこのふたりの名前が普通に出てくると思うので...まぁ気にせず読んでくださると嬉しいです。
それでは、ここまでご覧くださりありがとうございました、
皆様ご自愛くださいませ。
ではまた明日。
笑顔な自分の顔。
愛想が良さそうな、優しそうな自分の顔。
光が反射して、キラリと光る。
--あぁ、大嫌いだ。
いい顔をする自分が。
自身の目すら騙す、自分の心が。
--本当の自分は、こんなにも醜い顔をしているのに
自分を偽る自分が、大嫌いだ。
---二作目---
朝の陽射しに照らされて、瞑っていた重い目をそっと開ける。
ゴロゴロとベットの上で悶えつつ、何とか気だるい体を起こす。
朝の支度をするために、ゆっくりと洗面所へと歩き扉を開ける。
ふと横を向き、前を向くと、目の下が真っ暗になり、口角が下がった
酷い顔の自分がいた。
あぁ、今日もか...なんて考えつつ、顔を洗って、軽いメイクをする。
最後に指で口角をあげれば--
ほら、いい顔だ。
周りに頼られる、立派な生徒会長の完成だ。
そんな感じで確認しつつ、学校へ行く準備を進める。
...俺はいつだって完璧でないといけない。
勉強も運動もできて、愛想が良くて、優しい自分でなくてはならない。
みんなに頼られる存在でないといけない。
みんなが求めているのは、そんな完璧な俺なのだから。
醜い顔をした、無表情な俺では無い。
弱い自分を見せていいのは、鏡の中にいる、自分自身だけなのだから。
...みんなが求めるのなら、俺は何枚だって、自分の顔に仮面を被る。
今までも、これからも、ずっと。
鏡の中の自分
109作目
優しく体が揺れて、その感覚で目が覚める。
「おはよう」
重い目を擦りながら起き上がると、そこにはパジャマ姿で、優しく微笑んでくるあいつがいた。
髪は相変わらず寝癖ひとつ無い空色の髪で、髪が跳ねやすい俺からしてみれば、全く羨ましい限りだ。
「...おはよう...」
俺は少し...いや結構気怠げに返事を返す。
こんな姿を他の人が見たら、きっと失望するんだろうなと頭の隅で考えつつ。
他の人には絶対に見せる予定ではなかった醜い姿を、こいつにだけは、別に晒してもいいかなと思えた。
仮面を何十にも重ねなくてもいいと思えた。
こいつは、そんな事で軽蔑したりしないと分かったから。
だから。
「...どうしたんだ、そんな顔をして」
少し笑いつつ、あいつは俺の顔をのぞきこんでくる。
「...何でもなぇよ、ほら朝の支度しようぜ」
今、俺の前に鏡なんてないけれど...きっと、いつもよりいい顔をしているような気がした。
小さい箱を手に取って、取り付けられているネジをゆっくり回す。
そこから奏でられるのは、緩やかなメロディ。
それが静寂した世界に、優しく広がる。
そんな音色をBGMに、今日も深い夢の世界へと
---二作目---
寒さに凍えるしか無かった、真夜中の冬。
どんなに布団を掛けてって、身体の寒さは消えやしなくて。
眠れず朝を迎えることだってあった。
...でも、今はもう大丈夫。
「おやすみ」
一人の寒さも、お前が居るから。
お前が、優しく抱き締めてくれるから。
「あぁ...」
もう、寒さに凍えることなんてないんだ。
「おやすみ」
今日も、いい夢が見れそうだ。
#眠り着く前に
108作目
真夜中の空を、一人眺める。
煌びやかに輝く星々に、静かに灯るお月様。
あぁ、美しいな...
何百年も変わらないこの景色。
見飽きもしない、煌びやかなこの景色。
きっとこの景色は、来年も、再来年も、ずっと続いていくのだろう。
---二作目---
永遠なんて存在しない。
『この幸せが永遠に続けばいい』
と人は言うけれど。
人の命には、必ずしも終わりが来る。
だから、願っても無駄だと、そう思っていた。
けれど、あいつと出会ってからは...そう願ってしまう気持ちが、凄くよく分かった気がした。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「ただいま」
「おかえり」
そんな言葉を毎日交わす、そんな些細な日常が、こんなにも幸せで--
「...この幸せが、永遠に続けばいいのにな」
そう願わずには、いられないんだ。
#永遠
107作目
少しボロけた、一冊のノート。
開いてみれば、そこには沢山の絵が、文章が溢れていた。
自分の思いを書き出し、具現化したノート。
さぁ、今日も夢の続きを描こうか。
---二作目---
理想郷なんて、ないと思っていた。
これから先も、ずっと比較されて、ずっと独りぼっちの
苦しい未来しか想像できなかった。
でも
「久しぶりにケーキを焼いてみたんだが、一緒に食べるか?」
あの時、俺をあの場所から引きあげてくれた。
俺を個人としてみてくれた、そんなあいつがいたから。
「...お前が焼いたケーキを食べない選択肢なんてねぇよ...!!という事で、俺飲み物用意するな♪」
「...そう言って貰えるのは嬉しいものだな。...あぁ、よろしく頼む」
今は、そんな日常が続く、幸せな未来を描きたいと思えるんだ。
#理想郷
106作目