笑顔な自分の顔。
愛想が良さそうな、優しそうな自分の顔。
光が反射して、キラリと光る。
--あぁ、大嫌いだ。
いい顔をする自分が。
自身の目すら騙す、自分の心が。
--本当の自分は、こんなにも醜い顔をしているのに
自分を偽る自分が、大嫌いだ。
---二作目---
朝の陽射しに照らされて、瞑っていた重い目をそっと開ける。
ゴロゴロとベットの上で悶えつつ、何とか気だるい体を起こす。
朝の支度をするために、ゆっくりと洗面所へと歩き扉を開ける。
ふと横を向き、前を向くと、目の下が真っ暗になり、口角が下がった
酷い顔の自分がいた。
あぁ、今日もか...なんて考えつつ、顔を洗って、軽いメイクをする。
最後に指で口角をあげれば--
ほら、いい顔だ。
周りに頼られる、立派な生徒会長の完成だ。
そんな感じで確認しつつ、学校へ行く準備を進める。
...俺はいつだって完璧でないといけない。
勉強も運動もできて、愛想が良くて、優しい自分でなくてはならない。
みんなに頼られる存在でないといけない。
みんなが求めているのは、そんな完璧な俺なのだから。
醜い顔をした、無表情な俺では無い。
弱い自分を見せていいのは、鏡の中にいる、自分自身だけなのだから。
...みんなが求めるのなら、俺は何枚だって、自分の顔に仮面を被る。
今までも、これからも、ずっと。
鏡の中の自分
109作目
優しく体が揺れて、その感覚で目が覚める。
「おはよう」
重い目を擦りながら起き上がると、そこにはパジャマ姿で、優しく微笑んでくるあいつがいた。
髪は相変わらず寝癖ひとつ無い空色の髪で、髪が跳ねやすい俺からしてみれば、全く羨ましい限りだ。
「...おはよう...」
俺は少し...いや結構気怠げに返事を返す。
こんな姿を他の人が見たら、きっと失望するんだろうなと頭の隅で考えつつ。
他の人には絶対に見せる予定ではなかった醜い姿を、こいつにだけは、別に晒してもいいかなと思えた。
仮面を何十にも重ねなくてもいいと思えた。
こいつは、そんな事で軽蔑したりしないと分かったから。
だから。
「...どうしたんだ、そんな顔をして」
少し笑いつつ、あいつは俺の顔をのぞきこんでくる。
「...何でもなぇよ、ほら朝の支度しようぜ」
今、俺の前に鏡なんてないけれど...きっと、いつもよりいい顔をしているような気がした。
11/3/2023, 11:33:40 AM