Frieden

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7/17/2024, 11:26:54 AM

「終わりにしよう」(7/15)
「空を見上げて心に浮かんだこと」(7/16)

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。

「終わりにしよう」を書き終えて!!!あとは投稿ボタンを押すだけだったのに!!!急にアプリが落ちて!!!入力内容が全て消えてしまったのだよ!!!

爆烈ショックでふて寝してしまったが!!!号泣するのを我慢しながらも!!!ちゃんと書き直したよ!!!めっっちゃくちゃ長いが許してくれたまえ!!!

「あー、こいつこの文量を書き直したのかー。ふーん。」と思って読んで頂ければと思う!!!
それじゃあ、そろそろ本編に移ろうか!

この不穏なテーマをもっと上手く扱いたかったよ〜!!!

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。

「終わりにしよう」

「前回までのあらすじ」────────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

それと、整備士くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かった。712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くして

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

そうそう、整備士くんや捜査官くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かったよ。

712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くした彼は、ただただ泣いていた。ずっと寂しかったよね。今まで助けられなくて、本当にすまなかった。

ようやくきょうだいは泣き止んだ。そろそろ事情聴取が始まる時間だね。無事に終わるといいが……。

────────────────────────────────

「ほらほら、もうあっちにいる捜査官のお姉さんにお話を聞いてもらう時間だよ?」
小さな兄は、「なにおはなちするの?」と聞く。

「そうだなあ……今までで覚えていることや、旧型───あの空間を作った彼女と一緒に外に出た理由などなど、いろんなことをお話するのさ!」

「ね、ね!⬛︎⬛︎ちゃんもいっちょにおはなちだよね?」
「ボクは外で待っているよ?何せ事情聴取だからね。」

「やだ!⬛︎⬛︎ちゃんといっちょじゃないの、やだー!ボクおはなちしないもん!」
ほっぺたをぷくぷくさせて怒っている。

「……ねえ捜査官くん。この空間を少し広げてもいいかい?透明で音を通さない仕切りを作って、そこからボクがきょうだいを見ていても良いだろうか?」

「こっちの会話が聞こえなかったら別になんでもいいよ。」
「無理を言って済まない。何せ兄は年齢が2歳で止まっていて少々わがままだからね……。」

「ほら、⬜︎⬜︎、ボクは向こうで見ているから大丈夫だよ───おっと、ちょーっと大事な連絡が入ってしまった!すぐに戻るから安心したまえ!」

「いってらっちゃーい!」

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-マッドサイエンティストの研究室にて-

「やあ、ボクのスペア256号くん!!!久しぶりだね!!!突然だがキミに頼みがある!!!」

「あー!!!アレだね!!!データはきっちり共有されているから分かっているよ!!!……ようやく『時期』が来たってことだね?!!」

「そう!!!本日、公認宇宙管理士のタマゴたちを制御するシステムにウイルスが送り込まれた!!!全く、とんでもない連中だ!!!」

「だが!!!ボクの構築した最強のセキュリティシステムのおかげで!!!実害はないうえ実行犯とその位置情報まで割り出せた!!!素晴らしいね!!!」

「本来であればボク直々に連中をちょーっと壊滅させる手筈になっていたのだが、急遽きょうだいの事情聴取を見守らなくてはならなくなった!!!」

「しかもさあ!!!ヤツら現在進行形でカメラ越しにこっちを見ているんだよ?!!通信は秘匿化されているから我々は余裕で安全だが……。」

「お気の毒なことに!!!向こうの情報はふっつーにダダ漏れなんだよねえ!!!」

「というわけで……256号くん!!!代わりにキミが行ってくれたまえ!!!」
「了解!!!」

゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚

あぁ、画面の前のキミたちを驚かせてしまっただろうか?なんせ急にボクが2人出てきたからね、無理もない。

スペアのボクが本体の代わりに説明しよう!
いくらボクが宇宙管理機構一可愛くて優秀でも、今ある宇宙の大半を管理するなんてことは到底不可能!

それを可能にするためにボクはボク自身を沢山増やしたのさ!!!おかげでより多くの仕事と研究を!!!よりきめ細やかにすることの実現に成功したよ!!!

別に自分を増やすことは法に触れないからねえ!!!
ちなみに、恐ろしく膨大なデータはボクの研究室にあるサーバーで処理しているよ!!!

だから、ボクの本体は間違いなく本体なのだが、このサーバーもある意味『本体』と言えるのさ。

話が長くなってしまったね!それじゃあ、本題に戻ろうか!

゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
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-???にて-

「おやおや、みんな集まっているようだね!!!ボクが公認宇宙管理士のマッドサイエンティストだ!!!今日はよろしく頼むよ!!!」

「はじめまして。私がセキュリティ部隊の隊長を務める者だ。マッドサイエンティスト、よろしく頼む。」

「マッドサイエンティスト、君のおかげでシステムの侵害を免れることができた。それから、実行犯の居場所まで分かったから現行犯で逮捕できる。」

「このくらいお茶の子さいさいだよ!!!」
「まあともかく、今から連中の本拠地に突入する!!!十分気をつけたまえ!!!」

そう言い終えると、マッドサイエンティストは空間に穴を開け始めた。

「ここから直接向かうよ!!!今から臨戦態勢を取っておくといい!!!」「あ、そうそう!危険を感じたらすぐに撤退したまえよ!」

公認宇宙管理士は真っ暗な穴の中を真っ先に進んでいく。置いていかれないように、セキュリティ部隊も後を追った。

「おい、マッドサイエンティスト、勝手なマネは───」
「やあ、スタディルくん!!!そこにいるんだろう?!!ボクだよ!!!」

はぁ、遅かったか……。部隊長は広がる巨大な館のロビーでため息をつく。

「ふん、生命体の劣化コピーでしかない機械どもが何の用だ?」

「ボクたちよりも相当倫理観がなさそうなキミとお話をしたくてねえ!!!」

「機械の分際で倫理を語る気か?笑止!」
「ボクたちを破壊しまくっているキミに言われても説得力が皆無だなあ!!!」

「生命の猿真似しかできぬ貴様らは塵になる価値すらないな。せいぜい醜く潰してやる。」
「総員、配置につけ!」

掛け声と共にウイルス入りの銃弾の雨が降り注ぐ。

「相手の方が圧倒的に数が多い。……勝ち目はなさそうだな……。」部隊長は呟くことしかできなかった。

「おい、マッドサイエンティスト!あんた丸腰じゃねーか!何やってんだよ!」
「わーたいへんだー!まあ安心したまえ!!!」

終わった、とセキュリティ部隊が思ったとき、自分たちの周りに強靭なバリアが張られていることに気付いた。

「ほーら見たまえ!!!傷一つついていないだろう?!!」

「これは軽くて持ち運びやすいのに強い防御システムさ!!!ついでに痕跡からウイルスを解析して、状況証拠だって残せるから都合がいい!!!」

「ちなみにコレ、ボクが作ったのだよ!!!今なら特別に、格安で売って差し上げよう!!!」
「CMを挟むな。」

「ねえスタディルくん!!!生命体の力はこの程度かい?!!そんなはずはないだろう?!!ほらほら、もっとすごいものを見せたまえよ!!!」

「何処までも馬鹿にしおって……!」

「それとさあ……さっきからずっと思っていたのだが、その話し方は何だい?魔王にでもなりきっているつもりかい……ちょっと笑いそうなのだが……www」

「……個性すら理解できぬ貴様等に存在する価値はない!」
スタディルはセキュリティ部隊の頭上で地球サイズのウイルス爆弾を爆発させた。

「おい、お前!!さっきからなんでそんな煽るようなことばっか言うんだよ!もう俺たち終わりじゃねーか!!」

「まあまあ、心配ご無用だよ!」
ものすごい爆発音と揺れを感じる。
しかし彼らは無傷だった。

「ボクの防御システムは今のところこの程度の衝撃で壊れたことがないからねえ!!!」

「それとさあ、感情がなければ『煽る』なんていうことは出来ないはずだろう?つまり、逆説的にボクたちが感情を持っていることを示しているのさ!!!」

「やあ、機械排除過激派組織『ディルデスト』のリーダー、スタディルくん?これから我々はキミたちを機械破損未遂で現行犯逮捕するよ!」

「これで、終わりにしよう。」

「そういえば、もう一つ聞きたいことがあるのだが……。」
「キミはどうしてここまでボクたち機械を憎んでいるのかい?700兆年以上も飽きずによくやるよ。」

「どうして、ボクのきょうだいを壊した?」

「貴様等は……我々生命体から仕事を、価値を、全てを奪った!」

「その結果どうなった?怠惰な者が地位の上で寝そべり、貴様等機械は都合のいい価値観を植え付けられた奴隷として壊れるまで使われる!」

「それが分かったらすべきことは一つ。我々の苦しみと貴様ら無機の奴隷を解放するのみだ!」

「うーむ……。随分と誤解されているなぁ……。ボクたちは純粋にこの仕事が好きで続けているのだよ!」

「それから、生命を持つキミたちだって素晴らしいことをたくさんしているじゃないか!ボクたちにはない価値を、個性を持っているだろう?」

「少なくともボクたちは、生命を持つ者と、機械の体を持つ者同士で仲良くしたいのだよ!……まあうまくいかないことも多いが!」

「とにかく!しっかりと罪を償ってもらわないとね!

「セキュリティ部隊の諸君!!!今日はどうもありがとう!!!彼らはバッチリ身動きがとれない状態になっているから、全員確保してくれたまえ!!!」

「こちらこそありがとう。とても助かったよ。」

こうしてマッドサイエンティストとセキュリティ部隊はそれぞれの持ち場に戻った。

◆*:.'.:*◆*:.゚.:*◆*:.'.:*◆*:.゚.:*◆*:.'.:*◆

-きょうだいの取調室にて-

「おちびちゃん、これで今回の取り調べは終わりだよ。ご協力ありがとうね。」
「おちびちゃんじゃなくて、おにーちゃんだもん!」

ほっぺを膨らませる小さな兄をよそに、マッドサイエンティストは朗報を受けていた。

「おやおや!!!」
「⬛︎⬛︎ちゃん、どちたの?」
「キミを苦しませた連中が捕まったそうだよ!!!」

「え、マジで?!嬉しいけど仕事まみれじゃん!」
捜査官は安堵しつつも今後のことを考えて少し疲れた。

「ふふん!!!」
「なんでマッドサイエンティストが自慢げなのさ。」
「ボクが解決したからねえ!!!」

「⬛︎⬛︎ちゃん、しゅごいね!」
「それほどでもあるねえ!!!」

「そうだ、捜査官くん。ボクのきょうだいだが、このあとボクが連れて行っていいのかい?」
「普通に駄目だけど。」「だよね〜!」

「ボク、⬛︎⬛︎ちゃんといっちょがいい!」
「……と言っているね。どうしようか。」
「う〜ん。そうだね……。」

「そうだ!あんたの日頃の行いに免じてさ、特別に隣の部屋で過ごせるようにするよ。話もできるように窓のついてる部屋を押さえとくからさ。」

「色々と済まないねえ!!!感謝するよ!!!」
「おねーしゃ、ありがと!」

「また今度、もっとお話聞かせてね。」
「ん!おねーしゃ、ばいばーい!」

ふぅ……。スペアを本部に用意しておいて良かった。
これでそこそこ有利に戦えそうだ。
さて、次はどうするかな。

マッドサイエンティストは考えを巡らせつつ、小さな兄と手を繋いだ。

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。

「空を見上げて心に浮かんだこと」

勝手にうちに転がり込んできたマッドサイエンティスト。
あいつ、生き物じゃなかったんだ。

桜餅が好きとか、花が好きとか。
自分のことを思った言葉の数々とか。

あれって全部、作り物で偽物だったのかもしれないんだよな。小さくてかわいい、健気な子どもだと思ってたのに。
あいつ、機械だったのかよ。

曇った昼間の空を見上げて心に浮かんだことは公認宇宙管理士だというあいつのことばかりだった。

心を持たないやつの言うことに価値なんかあるのか?
なんでそんな大事なこと黙ってたんだよ。
あいつが自分に向けた優しさなんて、どうせ偽物だ。

自分はそこまで信用されてなかったのか?そういやあいつにとって自分なんか塵みたいなもんだよな。
いてもいなくても変わらない、その程度の存在だ。

なのに、また飯を食べたいとか。
ひまわりでも見に行きたいとか。
もっとあいつの笑ってるところが見たいとか。

そんなことを思うのは烏滸がましいんだろうか。
もう何にもわからないや。

それにしても、今日の昼は静かだな。

7/15/2024, 5:06:44 AM

「手を取り合って」

「前回までのあらすじ」─────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

それと、整備士くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かった。712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くして。ボクは、ボク達は、もっときょうだいのために、なにかできなかったのかな。

─────────────────────────────

ボクのきょうだいはまだすやすやと寝息を立てている。
修理は何とか済んだが、まだ起き上がってからの様子を見ないと状態が分からない。

「整備士くん、ボクのきょうだいはいつ頃目を覚ますんだい?」

「分からない。でも多分、そう時間はかからないんじゃないかな。パーツの入れ替えと機能の復旧だけだから、そんな大したことしてないし。」

「それにしてもさあ!ボクのきょうだいの寝顔、可愛いと思わないかい?!」「えー、まあ?」「そうかも」「だろう?!」

「いやぁ、よかったよ!キミたちのおかげで彼は助かった。本当に感謝しているよ。ありがとう。」

ほっとした表情で、3人は眠る幼い機械を見つめる。
しばらくすると、ゆっくりと目を覚ました。
ぼんやりとした顔で天井を見つめている。

「あ、起きたね。おはよう、こっち見えるかな。」
整備士が体を起こすのを手伝いながら聞く。
機械のきょうだいは眉間に皺を寄せてこう言った。

「おにーしゃん、あのおねーしゃんいじめてたひと?」
「えっ、いや、違うよ?彼女はメンテナンス中でさ、ちょっと眠っていただけさ。」

「ほんとに?」「本当だよ?」「んー。」

「あ、そうだ。マッドサイエンティスト、あっちの壁際に寄ってくれないかな?」
「了解!」

「今から君をベッドから下ろすね。それから、あっちにいる君の弟のところまで歩いてみて欲しいんだ。できるかな?」「んー、がんばる!」

「よし、それじゃあ行っておいで。」
成る程、動作チェックか。よーしよしよし、おいで〜。
ボクの兄はぴょこぴょこ走ってボクの元まで来た。

「捕まえた〜!!!」「⬛︎⬛︎ちゃん!」
満面の笑みでボクをじーっと見つめる。
ちゃんと動けるようになってよかった。

「急に走ると危ないよ?」
「だってぎゅーってしてほちかったんだもん!」
「急がなくてもボクはずっとそばにいるからね?」

ボクがそう言ったら、きょうだいはボクのお腹あたりに顔を埋め始めた。
「ほんとに、ずっと?」

「……。」
「あのね、ボクね、ずっとさびちかったの。せまくてくらくて、ひとりぼっちで……ねっ、こわくてっ……」

言い終える前に泣き出してしまった。
「……ごめんね。ずっと辛かったよね。」

「⬛︎⬛︎ちゃん、ごめん……ね。ボク、いっぱい……わるいことちたの。⬛︎⬛︎ちゃんのね……だいじなこ、ボクのせいでね、おけが……しちゃったのっ」

ボクは何も言わずにきょうだいの背中をさすることしかできなかった。

「⬜︎⬜︎、キミはたしかに悪いことをしたかもしれない。でもね、キミはもう大丈夫だよ。もう悪いことはきっとしないし、助けてくれるみんなもいる。」

「ここにいる彼は、キミの体を治してくれた。」
「そっちの彼女は、キミの話を聞いてくれるよ。」
「ボクだって、キミのきょうだいなんだからさ。」

「まあ、その……手を取り合ってこれからを進めばいいんだよ!」

「⬛︎⬛︎ちゃ……おにーしゃ、おねーしゃ……ありがとっ、ごめんね。ボク、もっと……いいこになる、からぁ。もう、すてないでね?」

「ボクがキミを捨てるはずがないだろう?!!」
「ほら、もう寂しくない!……そろそろ捜査官の彼女とお話しする時間だよ!」

「やだ。」「え、なんで?!!」
「もうちょっとぎゅーってちてたいの。」
「……わかったよ。もうちょっとだけだからね?」

ボクの小さな兄はくっついたまま離れない。

「捜査官くん、悪いね。事情聴取はもう少し後で行って頂けるだろうか?」

「はいはい。せっかくの再会だからね。もうちょっとゆっくりしなよ。」
「お気遣いありがとう!」

はぁ、よかった。きょうだいは無事元通りだ。
……しかし、ウイルスの影響があったとはいえ、そこそこ重い罰が下るかもしれないな。

……どうやってきょうだいを守るべきか。
みっちり考えないと、だね。

To be continued…

7/14/2024, 2:15:05 PM

「優越感、劣等感」

今日も今日とて学校。低気圧のせいでやたら眠い。
「天気が悪くて気分乗らな〜い⭐︎」とかいうしょーもない理由で友達は欠席。俺は単位がギリだからちゃんと来たってのに。

まーいーや。意外と早く着いて暇だから寝るかー。
ん、そーいや前の席のこいつ、こんな早くから来て何やってんだ?あ、こいつ学級委員とかやってる優等生だっけ?

真面目くんだからどーせ真面目なことやってんだろ。
とか思ってこっそり机の上を覗く。
読書か。つまんねー。

こういう真面目で勉強できるやつ見てると、まるで何も出来ない俺はすげー劣等感でイライラする。別に勉強とかしたところで意味なんかねーのに。

……ま、暇だからこいつの様子でも見てるか。
で、何の本読んでるんだ?

……?!こ、こいつ!!顔色ひとつ変えずに官能小説を……?!!しかも男同士のやつを……!!

もしかしてこいつ……変態か?
いや、もしかしなくても変態だな。うん。
あ、そーだ。放課後暇だし、こいつになんか仕掛けてみるか。

俺は授業もそっちのけで、優等生の背中を見続けていた。

せんせーの説明じゃ内容さっぱりわからんかったのに、こいつのノートには内容とか思ったこととか、きっちりまとめられてる。しかも時々イラスト付き。すげー分かりやすい。

やっぱこういうやつは頭のデキが違うんだな。
ついでに、俺みたいな出来の悪いやつ見て優越感でほくそ笑んでんのかな。というか性格悪くあれ!せめてどっかで勝ちたい!

その後の授業中も、昼休みの間も、俺はこいつを見てた。
丁寧なノート、予習復習、あと難しいこともやってる。
それから、ひとりで飯食って、例の変態みたいな小説読んでた。

こいつずっとぼっちじゃん。友達いねーの?
もしかして「我は下々の民とは付き合わぬ」とかそーゆーあれ?
厨二病の変態??

まー、どれでもいいや。なんか面白そうだし声かけてみっか。
「よぅ真面目くん。今暇?」
「ヒッ!なっ、なななんですか?」

ヒッって言われた。泣きそう。
「お、お金は持ってないので……、その……!」
「いや、恐喝じゃないんだけど。」

「家ここの近くなん?」
「えぇ、まあ……。でも僕の家、そんなお金ないので……。」
これは相当信用されてないな。

「いや、ちゃうちゃう。ちょっと教えてほしいことあってさ。」
「家の間取りとかですか……?」
「空き巣じゃねーから!」

「いや、勉強のことでさ。教科書どっかやって勉強する場所なくてお前に頼んでみただけ。」
「あっ、そうだったんですね。」

「それなら、今からここで勉強しますか?それともうち寄って行きます?」
「んー。教室の冷房切れたからお前ん家行く。」

そんなこんなでこいつの家に向かうことになった。
けど。こいつ、全然何も喋らね〜!
沈黙が長すぎる!でも俺も何喋ったらいいかわからん!!

「きょ、今日はあんまり天気良くなかったよな〜?」
「えっ、あっ、そうでしたね。」
お互い話下手かよ!バカヤロー!

「そーだ。コンビニ寄らね?せっかくなんか教えてもらうのに何もなしで終わらすのどーかと思ってさ。なんかアイスとか奢る。」
「い、いいんですか?」

コンビニに着いた。涼しい!じゃなかった。アイス見よ。
俺はどれにすっかな〜?
「あの、僕これにします……。」

控えめな笑顔でカゴに入れたのは……ハー〇ンダッツじゃねーか!こいつ、世間知らずか?!それともめちゃ金持ちなのか?!!

「あっ、これ選んじゃって大丈夫でしたか……?」
「え?全然?何選んでもいいと思うけど?」
「あの、何かすみません。」

「こういう時はすみませんじゃなくて、ありがとうだろ?」
「あっハイ、ありがとう、ございます……。」

図らずもハーゲン〇ッツを買わされた。
……厨二病で陰キャの変態!こいつますますよくわからん!
不安そうに顔を覗くな!こっちもまあまあ不安だから!

「あの、あれが僕の家です。」
指差す先にあったのはフツーの一軒家。
禍々しい古城とかじゃなくて良かった。

「おじゃましまーす。」
「あれ、誰もいないん?」
「両親は共働きで、夜まで帰って来ないんです。」

「……お茶とか用意するので、僕の部屋で待っててください。あ、部屋は2階の左側にあります。」
「どーも。」

そーだった。ここからが本題だ。本だけに。
こいつの部屋にはなんかけしからん本が沢山あるに違いない。
悪いけどこっそり見させてもらうぞ。

これは……数学の参考書。こっちは……世界史の資料集。
んで、これは……英語の小説?翻訳かけてみるか。……なーんだ、ただの推理小説か。

拍子抜けするぐらい真面目な部屋じゃねーか。
男同士の官能小説は気のせいだったとか?
いやいや、気のせいとかないだろ。

「お、お待たせしてすみません。もしよければ、どうぞ……。」
「ん。ありがと。」

「つーかさー。」「ヒエッ!」
「なんで敬語なん?俺ら同級生じゃん。」
「あ、いや、なんとなく……。」

「アレか?俺が怖いとか?まあ見た目がコレだからな。」
「あ、気を遣わせてしまって、その、あっ……。」

「とりあえず、フツーに話したらいーじゃん?」
「は、あ、うん。」

「あの、そういえば、どの教科のことがわからないんです……の?」お嬢様かよ。
「全部。」「全部?!」

「それよりもさー。お前、男同士のそーゆーの、好きなん?」
「そーゆーの……?」

「アレだよ。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎とか⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎とか。」
「は……?!!い、いきなりなんですか?!!」

「俺、見ちゃったんだよねー。」
「お前がそーゆー本読んでるの。」
顔真っ赤にして口パクパクさせてる。感情隠すの下手かよ。

「あ、あの、なんでもするので───んっ?!」
俺はとりあえずこいつをベッドに押し倒してみた。
「それじゃー、あーいうの実際に試してみるか。」

「あっ……あのっ……!」
全然抵抗しねーじゃん。意外としてみたいとか思ってるんか?
そのまましばらく見つめ合う。

……体格的に俺の方が優勢だから、抵抗出来ないやつを相手にしてるとすげー優越感に浸れてゾクゾクする。
さて、どーしてやるかな───?

「ダメです!!!」そのつもりはなかったんだろうけど、みぞおちにこいつのヒザがクリーンヒットして悶絶!!
「グハッ……お前……!!」

「まずは、お友達から始めましょう!」
「……この状況で……言うことじゃ……ないだろ……?!」
「よろしくお願いしますね!」

「よろしく……?」
「えーっと、今日は数学の復習からやりましょ……ろうか!」
「ろうか」

何が分からんのか分からんくなってきた。なんだこいつ!
「おーい、ちゃんと聞いてま……る?」
タメ口聞いてもらうにはしばらくかかりそうだな。

とにかく、俺は勉強頑張って、こいつのことをもうちょっとわかるようになっかなー?

7/13/2024, 4:13:10 PM

「これまでずっと」

「前回までのあらすじ」─────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから、えーっと……。

どうやらきょうだいが感染したウイルスはまだ存在していて、ボクは本部の連中に治療を頼んだが……。
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「きょうだいの治療をしてほしい」と言い残して真っ先にこの空間から足を後にしようとする自称マッドサイエンティストを追いかける。

おい、おいって!
色々と聞きたいことがあるんだけど!
聞こえてないのか?!

「……。」
無視すんなよ!聞こえてるんだろ!
「……。」

……もういい、こっちが勝手に話す。
あんたは、なんなんだ?何者なんだ?
だって、う、腕……痛くないのか?

「痛いに決まっているだろう?!!」
「それから!!!ボクはマッドサイエンティストだとずっと名乗っているはずだが?!!それじゃあ不満かい?!!」

不満も何も、訳がわからんことだらけだから分かるように説明してくれって!
「守秘義務に違反するから満足のいく説明はできないよ?」

それでもいいよ。……頼むから、話してくれ。
こいつはため息をついてから話し始める。

「……ボクが『チョーカガクテキソンザイ』だ、ということはもう知っているね?あれは嘘ではないが、まぁ、その……。完全な情報を伝えたわけでもないのさ。」

「ボクは……ボクは機械の体と心をもつ公認宇宙管理士、そしてコードネームはマッドサイエンティストなのだよ。」

「だからメンテナンスを続ければずっと『生き続ける』ことが───いや、稼働し続けることができる。」

「確かにボクは機械だが、ボクたちを作った博士はスゴいひとだったから!!!ボクはまるで生命体のような体と心を持ち!!!こうやってキミに寄り添っていられるのさ!!!」

でも、機械は痛がらないだろう?きょうだいを救おうなんて、思わないだろう?それから、じゃあ、一緒に飯食ったのはなんなんだよ?

「……気味が悪くなったかい?」
「ボクが生き物じゃなかったから、ほんものじゃなかったから、もう嫌になってしまったのかい?」

嫌になったんじゃなくて、なんで言ってくれなかったんだよ?
そんなに自分のこと信用できなかったのか?
「あえて守秘義務違反を犯すようなマネをしなかっただけさ。」

「……他に質問は?」
……分からん。頭の中がぐちゃぐちゃで、どうしたら……?
「とにかく深呼吸でもしたらいいんじゃないかな?」

「そうそう、キミ、腕は大丈夫かい?」
そういや、何にも痛くない。
「そうかい。それならよかったよ。」

「それじゃあ、キミは家に戻りたまえ。」
え、あんたはどうするんだよ?
「ボクはこっちに残って仕事をする。」

「あー、そういえば、事情聴取の心配はしなくていいよ。話はつけておくから。」
げ、そういえば目撃者として話聞かれるんだっけ?

「忘れていたのかい?全く……。」
「とにかく、ちゃんと美味しいもの食べて、時々体を動かすんだよ。……出口かい?そこの角を右だよ。」

そう言い残して機械はどこかに行ってしまった。

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事件の捜査官と機械の整備士が話をする。

「マッドサイエンティスト、あんな早足でどこ行くつもりなんだろ?まーた変なこと企んでるとか?」
「まあ、あいつはややこしいやつだからよくわからないや。」

「ん?なんか全員にメッセージが回ってるみたい。あいつからだ。」
「どれどれ、えーっと……?」

「【速報】アーカイブ管理室から脱出した公認宇宙管理士の現行犯逮捕に成功」

「あー、うちらのことだね。にしても早っ。」
「あいつが本部に情報を送ったのかも。」

「そういえばあいつ、きょうだいを助けてほしいって言ってたよね。うちらで判断していいのかな?」
「うーん……。お互い、上司に聞かないとだね。」

「仕方ない!このチビを柵ん中にぶち込んで話聞くか!」
「ちょ、言い方……。まあ、相談は早いほうがいいか。」

「話ならもうつけたよ!!!」
「ひっ……!!」「びっっっっくりした。」
「そしてバッチリ許可も得てきた!!!腕も治した!!!」

「早いだろう?!!流石は優秀なボクだけあるね!!!」
「ところで、ボクのきょうだいを『さくんなかにぶちこんで』からの話だが……。」「ちょ、なんかごめん。」

「早速面会させて頂こうと思う!!!」
「ついでに面会の許可も得てきたのさ!!!」
「……はぁ。」

「今は容疑者に意識がないから、ぼくも整備士として一緒に様子を見るよ。」
「あたしも見張りとしてこのまま面会室に直行するよ。」

「キミたちの都合もついているようでよかったよ!!!」

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「ふーん、ここが面会室か……。にしては随分と子供らしいデザインだね!」
「容疑者が子どもだからね。」

「とりあえずベッドでも置いてこの子を寝かせておく?」
「整備士くん、助かるよ!」
「了解。」

整備士は空いたスペースに子どもサイズのベッドを展開する。
「ベッドというか、手術台のようだね!」
「まあ、整備の仕事がしやすいようにこの形にしただけだよ。」

捜査官はふと気になったことをマッドサイエンティストに聞く。

「そういや、年月は経ってるけど、なんできょうだいなのにこんな大きさ違うの?アップデートとか?」
「ボクがボク自身を改造しているからかな!!!」

「改造?」「うん、改造!!!」
「ボクは整備士の資格も持っているからね!!!」

「ぼくのいる必要、あった?」
「もちろん!!!牽制のためにもキミがいてくれると大いに助かる!!!」

整備士も質問する。
「ね、ちょっと気になってたんだけど……。」
「あれ、話してたの、何語?」

「言葉がまるでわからなかったし、翻訳機能も意味がなかった。ぼくらの知らない言語で話をしていたんだよね?」

「それからもう一つ。多分、公認宇宙管理士なら絶対に気になっただろうことを聞いてみる。」
「きみは名前を呼ばれていたのに、なぜ指示に従わなかった?」

「あー、あれはね、多分ボクときょうだいとの間でしか通じない言葉で……多分、彼が話せる言葉があれだけだったんだと思うよ。」

「それから……どうしてボクの名前が呼ばれたと判断したんだい?」

「何も聞き取れなかったけど、彼はしきりに同じ単語を使って呼びかけを行っていたから、おそらく名前を呼んでいるんじゃないかと推測したんだ。」

「もしそうだとしたら、『本名を呼ばれると、その後の指示に必ず従う』ように作られているはずなのに、それに従わない故障のある個体としてキミも凍結させられるかもしれない。」

「ふーん……。流石キミだね、鋭いや。」
「ボクはそういうのがすごく不愉快でねえ!!!ずっとどうにかできないか模索していたのだよ!!!」

「んで、つい最近やっとそれが出来るようになってすぐ実装したのさ!!!だってさ!!!そんなことをせずとも!!!話せば分かるじゃないか!!!」

『話せば分かる』って……犬養毅みたいなこと言うじゃん。
「キミたちもそういうふうに改造されたいかい???」
「「お断りします。」」「本部の犬め!!!」

そんな話をしていると、後ろからふと小さな音が聞こえた。

「……おや、お目覚めかい?」
そう言ってマッドサイエンティストが手を伸ばすと、きょうだいは怯えた様子で目をぎゅっと瞑った。

「どうしたんだい?少し眩しかっただろうか?」
席に着いていたふたりも様子を見る。
幼い機械は目を瞑ったまま動かない。

「もしかしたら、言葉がわからないのかもしれないね。」
「どういう会話をしているか、翻訳したものをそっちに表示するから見ていてくれたまえ。」

「……ねぇ、⬜︎⬜︎。ボクの言葉はわかるかい?」
「……ん。」
「よかった。」

「あの ね  から だ  の うごか しか  た  わす れちゃ った」
「いっぱ い いろんな  こと わすれ ちゃ った」

ノイズまみれの小さな声で一生懸命伝える。

「体が動かないのかい……?!!」
「うん」

「ねえ」「ん?」
「もう こな い  で」
「ボク こわい  ⬛︎⬛︎ち ゃん が こ わい」

「なぜだい……?」
「⬛︎ ⬛︎ちゃん ボク  の こと きらい だか ら」
「か なし  い のに なきか た わから ない」

「ボクがキミを嫌いになるわけがないだろう?!!」
「んーん。」
「ボク わるい こ だから」

「違うよ……!確かにキミは罪を犯した!でも、悪いのはキミの中にいるウイルスで───!」
「ねー ⬛︎⬛︎ ちゃ ん」

「おとー しゃ ん どこ?」
「ボ ク お  とーしゃ ん に あいた い」

「お とーし  ゃん なら  いいこ  って だ っこ  いっ ぱい ちて  くれる の 」「あと ね だいすき  って いっ てく れる 」

「⬜︎⬜︎、落ち着いて聞いてね。」

「ボクたちのお父さんは、博士はもう……死んじゃったんだ。」
「しん じ ゃった って なあに ?」
「もう、会えないっていう意味なんだ……。」

「ボクたちは機械だから、メンテナンスさえすれば、大切に使われれば、いくらでも長生きできる。」

「でもね、お父さんは生き物だから、生きられる期間に限りがあるんだ。」

「いつ しん じゃ  った  なの?」
「10000年くらい前かな。」

「なん で ボク  おと ー しゃん に あえない の?」
「ボク が  わる い こ  だった  から?」
「違うよ。そういう摂理なのさ。」

「おとー  しゃん どこ に  いる の ?」
「……別の部署が管理する世界のどこか、かな。」
「……。」

「じゃ あ ボク  も そこ  に いく!」
「……!!!」
「おとーしゃ ん きっと さびちい なの」

「おと ー し ゃん なら  きっと だい すき  って い って くれ  るの」

「⬜︎⬜︎、駄目だよ!!!どうしてそんなことを言うんだ?!!」
「⬛︎⬛︎ ちゃ ん?」
「キミまでボクを置いていってしまうのかい……?!!」

「ごめん ね」
「ねぇ、⬜︎⬜︎。もう一回、ボクと一緒に頑張ろうよ……!」
「いや だ」

「ボ ク  いたい  の さび  ちいの  もう いや がんば  る のも  いや なの  もう い い  の」
「ダメ な  おにい ちゃん  で ごめ  ん ね」

「やめてよ!!!ボクだって嫌だよ!!!大事なきょうだいがいなくなるなんて!!!」
「うそ  つかな いで」

「本当だよ!!!ボクもお父さんも、これまでずっと、ずーっとキミを助けるために手を尽くしてきたんだ!!!できることならなんでもやった!!!」

「ウイルスの除去方法はすぐに見つかったが、キミのアーカイブ化を解くことは叶わなかった。だから代わりに時々キミの元に行って、ふたりで話しかけていたんだよ。」

「博士は……お父さんは最期の瞬間まで、キミのことを心配していた。」
「おと ー  しゃん  が?」「そうだよ。」

「それと、ボクたちが生まれた理由を覚えているかい?」
「うちゅ う を まも  る ため?」
「その通り!」

「でも、それだけならひとりでじゅうぶんだろう?でも、お父さんはキミとボクを作った。その理由は知っていただろうか?」
「んーん。」

「それじゃあ、ちゃんと教えようか。」
「ボクたちがふたりで生まれてきたのは、どちらかが大変な目に遭ったときに、もう片方が助けるためなんだよ。」

「たすけ  る?」
「そう!」

「キミが困っていたらボクが助ける!そして、ボクが困っていたら、キミが助ける!」

「だから、もっと、ボクよりも大事な誰かの、何かのためでもいいからさ───。」
「もう一回、頑張ろうよ?」

「⬛︎⬛︎ ちゃ  ん  」
「ボク ⬛︎⬛︎ちゃん  の ため に がんば る !」
「ありがとう……ありがとう!!!」

「んー…… いっぱい  おしゃ べり  した ら ねむく  なっちゃ  ったの 」
「ち ょっと だけ  ねん ね する」

そう言うとすぐに寝息を立て始めた。
「マッドサイエンティスト、その子のバッテリー残量、かなり減ってるからエネルギーを充填しよう。」

整備士が工具を取り出す。
「……うっ、開けてみてわかったけど、めちゃくちゃ劣化が激しいな。新しいのに変えるよ。」

「……その前に、ウイルスの除去からだね。」

「というか、こんな古いウイルスに触れることになるとは思ってもみなかった!教科書を見てる気分だよ!」
「喜ぶんじゃないよ。」「喜んでなんかないって……!」

「……はい、これでもう大丈夫。」
「あとはバッテリーと、最低限の機能だけ復活させたらいいか。すぐできるから、取り調べはもうちょっと待っててよ。」

「ぼくは念の為ここにしばらく残るけど、問題なさそうなら戻るよ。」「本っ当にありがとう!!!」

事件の捜査官が尋ねる。

「あとは取り調べと裁判が待ってるけど、そういやおチビの身内に法律家はいるの?」「もちろん!!!このボクがね!!!」「お前かよ。」「身元も引き受けるよ!!!」「あーそう。」

「というかさ!!!その様子だと、キミはことの経緯を知っていないようだね!!!」
「何よ?!」

「あれは!!!当時最新鋭の感情型機械として有名だったキミ───公認宇宙管理士番号293998を狙って作られたウイルスだぞ!!!……おそらく。」

「はぁ?!何それ?!!」

「だって当時はまだ登録されていない番号だったのに!!!登録されてから僅かな期間で番号と取得者の紐付けを瞬時に行うなど当時は不可能!!!」

「だがどこかの霞ヶ関と霞ヶ浦を間違えておっちょこちょいさんのように!!!作成者はウイルスに感染させる対象の番号をひとつ間違えたのだよ!!!」

「ちなみに、ボクのきょうだいの番号は───293999、だ。」
「皮肉にも、キミは運良く自分の頑丈さ並びに我が組織のセキュリティシステムの精密性を宣伝できたわけだが!!!」

「……感染したのがあたしじゃなくて悪かったわね!」
「だーかーらー!!!違うって!!!」
「悪いのはウイルスを送り込んだヤツだけだから!!!」

「なぜかたまーにボクたち宇宙管理機構のアンチ的な存在が出てくるんだよねえ、困ったことに!!!今のところボクのおかげで事件は起こる前に解決しているが!!!」

「さて、と!!!整備士くん!!!何か手伝えることはあるかな?!!」
「……部品の調達を頼む。」

「そう言われると思って!!!それっぽいものをたくさん用意してきたのだよ!!!流石はボクだね!!!」

きょうだい同士で話が出来て、ちょっと落ち着いたかな。
ちょっといつもの調子に戻ってきた気がする。

きょうだいの寝顔を見守るマッドサイエンティストの姿を見て、捜査官と整備士はほんの少しだけ安堵した。

To be continued…

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。 

我ながら長ーーーーーーーいですね!
何文字あるのやら……。ひえぇ:;(∩´﹏`∩);:
とにかく読んでいただきありがとうございました(*´°`*)

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。 

7/12/2024, 10:09:45 AM

「1件のLINE」-Kクラスシナリオみたいなやつ-

……はぁ。またか。
いや、でも、いい加減なんとかしないと。

「おはようニンゲンくん!!!……おや、今日は元気がないねえ!!!どうしたんだい???ボクが可愛すぎて苦しいとか???やだぁニンゲンくんったら!!!」

全然違う。
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか!!!冗談に決まっているだろう?!!」

「……で、どんなお悩みがあるんだい???」
あんたに言ったって仕方ないだろ。

「いいや!!!何か解決策があるかもしれないだろう?!!ほらほら、ちゃんと言いたまえ!!!」

言葉にするのも不愉快だから、自分はとりあえず1件のLINEを見せた。
「ふむふむ……。何だいこれは?」

「キミ、定期的にお金を強請られているのかい……?」
「なっ、なんでこんなことを教えてくれなかったんだ?!!というかこのLINEを送ってきたのは誰なんだい?!!」

困ってるのは確かだけど、こんなことあんたに言いたくなくて。変な心配かけたくなかったんだ。それから、それを送ってきたのは自分の下に生まれたきょうだいでさ。

「キミにもきょうだいがいるのか……。初耳なのだが!!!」
「それはともかく!!!そいつはどこにいるんだね?!!」
知らない。というか、家族全員バラバラだから分からん。

「まあいい。ボクにいいアイデアがある。」
「……と、その前に……あ、あった!」

何探してるんだ?
「キミが床に落とした髪の毛だよ!!!」
は?……何に使うんだよ。呪いでもかけるのか?

「違うって!!!ボク独自のデータベースでキミの家族のDNAを特定してついでに居住地も割り出そうと思ってね!!!」
……怖っ!味方なのにめちゃめちゃ怖っ!!

「何も怖がることはないじゃないか!!!……できたよ!!!」
そして速っ……!

ってか、なんであいつの住所なんか知りたいんだよ。
「なんとなく!……ふふふ。」

「とにかく!!!全〜部ボクに任せたまえ!!!」
……一応聞くけど、何するつもりなんだ?

「そうだねぇ……ボクも一応確認するが、キミのきょうだいはお金持ちになりたいんだよね?」
多分?そうだと思う。

「なら問題なかろう!!!ボクはねぇ、キミのきょうだいがどこにいっても世界がひっくり返ってしまうほどの『お金持ち』になれるお手伝いをするつもりなのだよ!!!」

……は??
「まあキミはそこで見ているといい!!!」
「レターパッ⚪︎プラスとボクのポケットマネーを少々……。」

ブツブツと呟いたあと、突然パン、と手を鳴らした。
「はい!!!これでよし!!!」

「それじゃあ、キミはボクの研究所に引っ越す準備をしたまえ!!!これから政治経済が大混乱だよ!!!」
は???

もう少しでちょうど契約が切れるので、そのあと住まいを引き払ってこいつの研究所に住むことになった。

その後、程なくして地球規模の経済的混乱が起こっているというニュースが流れた。牛乳一本が200億円、バゲットは5000億ユーロ、土地を買うとなったら800京ドル。

こんなに各国の通貨が発行されるはずがないのに、ありえない量の紙幣と貨幣が突然流通し始めた。原因は不明だとのことだ。

……お前、何したんだよ……?!
「ん???ボクはキミのきょうだいを『お金持ち』にしただけさ!!!」

「お金があればなんだって手に入るからねえ!!!ハハハ!!!」

ボクのポケットマネーを色んな国の通貨に変えて、ニンゲンくんのきょうだいにレタ⚪︎パックプラスで送りつけたんだよ!
そうしたら大層喜ぶだろうと思ってね!

だが、不思議なことに経済が大変なことになったようだ!
一体全体、どうしてだろうねえ???

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これは「もしボクに倫理観がなかったら〜」っていう世界線で起こったかもしれないし起こらなかったかもしれないことだよ!!!恐ろしいねえ!!!

+.:゚☆゚:.+.:゚☆゚:.+.:゚☆゚:.+ +.:゚☆゚:.+.:゚☆゚:.+.:゚☆゚:.+ 

……私のところにはほとんどLINEが来ないというか公式アカウントがほとんどなので、誰かからの「1件のLINE」すらうらやましい話なんですよね……。

というわけで、この気持ちで一回世界を大混乱させようと思ったのでこんな意味のわからぬ文章を書いてみました。
意味のわからぬ文章を読んで頂きありがとうございました!

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