sairo

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12/7/2025, 9:07:45 AM

きらきらと、煌めく街並みを見下ろしながら、手にした缶コーヒーに口をつける。

「苦っ……」

缶に視線を向ければ、無糖の文字。あまり深く考えずに買ってしまったことを少しばかり後悔する。
今日は朝からついていない気がする。朝食の少し焦げたパン。目の前で赤に切り替わる信号。缶コーヒー。
そして、待ちぼうけ。
小さく溜息を吐く。街の明かりが煌びやかであるのと対照的に、気分は重く沈んでいる。
連絡はない。自分から連絡してみるべきかとも思うが、何となくそれも億劫だった。

「まぁ、イルミネーションは綺麗だしな」

自分に言い聞かせるように呟いて、街の明かりを見下ろした。

12/6/2025, 8:55:49 AM

「あれ……?」

ポストに入っていた白い封筒を取り出し、首を傾げた。
切手を貼っておらず、直接投函されたことが分かる封筒。裏を見ても何も書いてはいない。
ただ自分の名前だけが書いてある封筒に、どうするべきかを悩む。
見ない振りをするべきだろうか。けれど中に入っているものが気になった。
光にかざせば、便箋が入っているのが見える。厚さからして一枚だけだろう。何が書かれているのか、誰が書いたのかが、気になってしかたがなかった。
そっと封を破り、中の便箋を取り出す。
震える指で、便箋を開いた。

12/4/2025, 10:11:06 PM

さく、さく、さくり。
音を立てて霜柱を踏みつけ遊ぶ弟を見ながら、そっと手に息を吹きかけた。
冷たい木枯らしが吹き抜け、体を震わせる。少し前までの暖かさなど欠片も抱かない風と遠い陽に、眉を下げ空を見上げた。
さく。さくり。
小さな足音。落ち葉の道を歩いた時のような、けれども少し違う音に季節が過ぎていることを感じる。
秋は過ぎてしまった。今、ここに在るのは冬なのだと、風や大地が教えてくれていた。

12/4/2025, 8:42:39 AM

手のひらに収まるほど小さな箱。
箱の中に収まる小さな貝殻に、恐る恐る指先を触れさせた。

「なんで……これ……」

忘れることのできない、過ぎた過去が脳裏を過ぎる。
青の海。青の空。白い砂浜で二人、時を忘れて遊んだ幸せな思い出。
宗が苦しくなって、箱を抱きしめ俯いた。

12/3/2025, 9:42:50 AM

窓辺に座り、暗い空を見上げる。
細い三日月が笑う星空は、どれだけ見ていても動く様子はない。
凍てつき、時を止めてしまったかのような星々に誰かの背が重なって、眉を寄せ唇を噛み締めた。
嫌なものを思い出した。視線を下ろし、暗いばかりの周囲を見つめる。星空以上に冷たさしか感じられない暗闇に重なる何かを振り切るように、音を立ててカーテンを閉めた。

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