sairo

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12/3/2025, 9:42:50 AM

窓辺に座り、暗い空を見上げる。
細い三日月が笑う星空は、どれだけ見ていても動く様子はない。
凍てつき、時を止めてしまったかのような星々に誰かの背が重なって、眉を寄せ唇を噛み締めた。
嫌なものを思い出した。視線を下ろし、暗いばかりの周囲を見つめる。星空以上に冷たさしか感じられない暗闇に重なる何かを振り切るように、音を立ててカーテンを閉めた。

12/2/2025, 9:49:58 AM

くしゅん。
小さなくしゃみと共に、毛が逆立った。

「そろそろ寒くなってきたからね」

くすくすと彼女は笑いながら、四本の尾で体を包まれる。
暖かい。逆立つ毛を丁寧に毛繕いしてくれる神使の姿の彼女は、白くてきらきらしていて、とても綺麗だった。

「さて、今度はどんな物語が聞きたい?それとも遊びに行こうか」

柔らかな彼女の声と毛繕いの気持ち良さに目が細まる。
次は何をしようか。そう考えて、ふと気になっていたことが口から溢れ落ちた。

「神使のことについて知りたいな」

神使とは、ただの役割だと彼女は言った。お役目を持った長くを生きた狐。それが自分なのだと。

「そうだねぇ。神様のお使いがほとんどかな。人間からのお願い事は、私は専門外だったし」

聞きたい?そう聞かれて、頷いた。
彼女のことが知りたい。秘密を知って前よりも仲良くなれて、なのにさらにもっとと欲しくなる。
我が儘だろうか。そう思うが、彼女の尾が優しく背を撫でて、思わず甘えるように擦り寄った。

「じゃあ、特別に教えてあげる。昔々――」

そう言って物語を語るように、彼女はゆっくりと語り出した。

12/1/2025, 6:38:08 AM

口を開き、息を吐き出した。
喉は震えない。ただ息が溢れ落ちるだけ。

「大丈夫。必ず治るよ」

優しく頭を撫でて姉は言う。それに小さく頷きを返すものの、それを心から信じられるほど子供ではなかった。

声は出ない。
きっと二度と歌えないのだろう。

11/30/2025, 9:47:27 AM

肌寒さに目が覚めた。
微睡む意識で、周りを見渡す。
まだ薄暗い部屋の中、カーテンが微かに揺れているのが見えた。
窓を開けた記憶はない。自分の他に窓を開けるような誰かもいない。
何故窓が開いているのだろうか。込み上げる疑問に、だが窓を確かめる気力はなかった。
体が鉛のように重い。気を抜けばすぐにでも瞼が閉じてしまいそうだ。
ぼんやりと、揺れるカーテンを見る。強く風が吹き込んだのか、大きくカーテンが揺れ、僅かに外が覗いた。
薄暗く、寒々しい空。葉の落ちた木。窓の結露。
きっと、外は霜が降りているのだろう。

11/29/2025, 9:22:27 AM

息を深く吸い込み、吐き出す。
ただそれだけの動作を繰り返す。
目はまだ開けられない。胸の鼓動は少しも凪ぎはしない。
苦しさに、胸の前で手を組んでいた。きつく組んだ手の熱に、溶けていきそうな錯覚を覚える。
薄く目を開ける。組んだ手に視線を向け、その滑稽さに乾いた笑いが込み上げた。

目を閉じ、胸の前で手を組むその姿。
それはまるで祈りを捧げているように思えた。

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