YOU

Open App
8/25/2025, 9:47:39 AM

終わらない夏 足音 なぜ泣くの?と聞かれたから きっと忘れない です。
まだまだ書けていないお題がたくさんあるので、少しずつですが、書きたいと思っていますm(_ _)m


終わらない夏

「はぁ~、今日も暑いなぁ」
8月も終わりだというのに、太陽がギラギラと照りつけ、外回りをする営業職の俺の体力は、ジリジリと削られていた。
「そうですねぇ…あ、かき氷食べません?」
一緒に行動をする新人の彼。営業の仕事を教えるため一緒にいるのだが、汗をタオルで拭きながら、かき氷の暖簾を見つけ、にこにこしている。
「そうだな、少し休憩するか」
「やった~」
彼はうれしそうに店へと駆けていく。
「若いっていいよな」
苦笑いしながら、俺も店へ足を運んだ。
「う~ん、冷たくておいしい」
頬に手を当てはしゃぐ彼に
「元気だなぁ」
ハハッと笑うと
「暑い中外を歩く、僕たちの癒しじゃないですか、かき氷」
フフッと笑い、かき氷を堪能している。
「まあ、そうかもしれないけど…早く涼しくなってほしいよ」
ふぅ。とため息を吐くと
「そうですね。でも僕は、夏にしかできないことを、まだやりきってないので、まだまだ終わらない夏を満喫します」
と、ニコッと笑う。
「そうか。楽しんでくれ」
終わらない夏にうんざりしている俺は、彼のキラキラとした笑顔を見ながら、かき氷を口に運ぶのだった。


足音

「ただいま」
玄関を開けそう言うと、パタパタと奥から音が聞こえる。
「おかえりなさい」
パタパタの音は、キミの足音。帰ってきた僕を迎えるために、毎日手を止め、玄関まで来てくれる。
「お疲れさまでした」
労う言葉に優しい笑顔。キミがいてくれるだけで、仕事の疲れが取れていく。
「ありがとう」
1人じゃない。と教えてくれる足音。足音は、僕にとって、幸せの音なのでした。


なぜ泣くの?と聞かれたから

なぜ泣くの?と聞かれたから
泣きながら、胸が苦しいから。と答えた。
どうして苦しいの?とさらに聞かれたから
あなたのことが好きだから。と素直に答える。
え?と口元を手で押さえ、困惑する彼に
私はクラスで目立たない存在でしょ?私の名前もわからない人がいるくらいに。でも、そんな私のことを気にかけて、声をかけてもらえて、うれしくて。気が付いたら、あなたのことを好きになってた。
そう言うと、あなたは私から目をそらす。
ごめんなさい。気持ちを伝えたら、あなたを困らせる。わかってたから、言うつもりはなかった。でも、想いがあふれて苦しくて…。
慌てて謝ると
いや、そうじゃなくて
あなたは、そらしていた目を元に戻し
俺も、キミのこと、気になってて。だから、声をかけてたんだ。
ほんのり、頬を紅く染める。
確かにキミは、クラスでいつも1人でいる。けれど、そのことを気にすることなく、臆することなく、凛としていてカッコいいと思ってたんだ。だから…
あなたは私に手を差し出し
もっとキミのことが知りたい。それで、俺のことも知ってもらったあと、良ければ付き合ってほしい。だからまずは、友だちになってください。
ニコッと笑う。
ありがとう。お願いします。
差し出された手をそっと掴むと、私は微笑んだのでした。


きっと忘れない

きっと忘れない。あの日の出来事を…。
俺が小学生のとき、夏休みに遊びに行っていた祖父母の家。
近くに住んでいる女の子と川で遊んでいたとき、2人とも川に流された。
運良く2人とも助けてもらったけど、流される恐怖、女の子の助けを呼ぶ声、助かったときに女の子と抱き合って泣いたこと。今でも心に、耳に、残っている。
女の子の名前は覚えていない。でも、しばらく訪れていない祖父母の家を、近々訪ねてみようと思う。

8/17/2025, 8:23:58 AM

君が見た景色 !マークじゃ足りない感情 遠くの空へ です。


君が見た景色

「うわっ、キレイな海。これってどこ?」
旅行が趣味の大学時代のサークル仲間が、お土産を渡したい。と連絡をくれ、久しぶりにカフェで会っている。
「これはね…」
写真を見ながら、旅行した場所と思い出を語ってくれる彼女。楽しい思い出だからなのか、にこにこと笑いながら、時にはそのときのことを思い出すように目を閉じたりしながら話してくれる。
「いいなぁ、俺も旅行に行きたい。けど…どこがいいのか詳しくないし…」
君をじっと見ながらそう言うと
「私が行きたい場所で良ければ、今度一緒に行く?」
思惑通りの言葉をくれる彼女に、内心ガッツポーズしながら
「いいの?行きたい」
前のめり気味に返事をすると
「わかった。今度旅行に行くときに、声かけるね。けど、私と一緒…2人で旅行になるけどいいの?」
そう聞いてくる。
「もちろんいいに決まってる。俺は、君が見た景色を、隣で一緒に見たいんだ」
君の手をガシッと握ると、君は頬を紅く染めるのだった。


!マークじゃ足りない感情

「は?お前、彼女できたの?」
報告したいことがある。と連絡をもらい、久々に会った幼なじみ。同い年ということもあり、友だちというより、ライバル。と勝手に思い込み、学生時代を過ごしていた。
「で、相手は。相手はどんな人?」
ライバルだと思ったのはそこまでで、社会人になった今は、お互いにグチも話せる友だちだと思っている。
「相手は、お前も知ってる人」
「俺が知ってる。…だと、同級生の誰か?」
「いや、年下で、お前も知ってる人、いるだろ?」
「え?年下で、俺も知ってる…」
うーんと考えてみるが答えは出ない。
「ダメだ。考えてもわからん」
降参とばかりに両手を挙げると
「…わかんねえの?」
不思議そうな顔で彼にじっと見られるが
「全然わからん」
俺は首を横に振る。
「そっか。じゃあ、答えを言うよ。俺の彼女は…」
「お前の彼女は…」
「お前の妹」
「………は?」
彼の言葉に、俺の思考は停止する。
「だから、お前の妹だよ」
聞き間違えかと思ったが、どうやらそうじゃないらしい。
「え、マジで?」
「うん」
にこにこしながら彼が頷く姿に、!マークじゃ足りない感情を、俺は感じたのだった。


遠くの空へ


空を見上げ、キミがいる、遠くの空へ思いを馳せる。キミも同じ空の下で、頑張っているのかな。って。
パティシエになりたい。そう言ったキミに、パティシエの修行に、パリに行ってみたら。と提案したのは俺。
離れるのは淋しい。という感情より、夢を叶えてほしい。そう思って、キミの背中を押したけど、実際離れてみると、キミがいない淋しさで、胸が押しつぶされそうになる。
連絡がとれないことはないけれど、頑張っているキミの邪魔はしたくない。そう思って、こちらからは連絡しないと決めた。でもどうしても辛くなったときは、空を見上げ、キミも同じ空の下で頑張ってるんだ。そう思って、踏ん張っている。
キミが夢を叶えて戻って来るのを、俺は楽しみに待っているのだった。

8/14/2025, 9:14:51 AM

風を感じて やさしさなんて こぼれたアイスクリーム 真夏の記憶 言葉にならないもの です。

風を感じて

仕事が忙しく、たまの休みは寝てるか家のことをしていたんだけど、久しぶりに時間が取れたので、のんびりと散歩をすることにした。
「こんなにゆっくりできるのは、いつぶりかなぁ」
歩きながら伸びをすれば、室内にばかりいて光を浴びていない体も、気持ちまでもスッキリした気分になる。
「うーん、気持ち良い」
やわらかい風を感じて空を見上げれば、どこまでも広がる、青い空。
「…家に閉じこもってばかりって、心にも体にも良くないのかもな」
今度からは短い時間でも、外に出て自然を感じようと思うのだった。


やさしさなんて

「ダメだよ、やさしくしないで」
涙を手で拭いながら、キミは強い言葉で僕をけん制する。
「やさしさなんていらない。やさしくされたら、自分がダメになってしまうから」
顔を両手で覆い、キミは泣き続ける。
「そんなことには、ならないと思うよ」
僕はキミの頭をそっと抱き寄せ
「むしろ、キミの場合は、もっと甘えていいと思う」
そう言うと
「え?」
キミは僕を見上げる。
「今までキミは、誰にも甘えることなく、仕事に打ち込んできたでしょ。今回は、1人で頑張りすぎて起こってしまったミス。これからは僕たちを頼ってよ。それとも僕たちは頼りにならない?」
困った顔でキミに問いかけると
「ありがとう。これからは頼りにさせてもらうね」
涙の跡はそのままに、キミは微笑むのだった。


こぼれたアイスクリーム

「うわーん」
ショッピングモールに響き渡る泣き声。何事かと、声のする方へ行ってみると、泣いている男の子と、床にこぼれたアイスクリーム。
「どうしたの?」
男の子の視線に合わせ、話しかけてみると
「アイスクリーム、こぼしちゃって。でも、拭くもの、持ってない」
一度泣き止んだ瞳が、うるうるしてくる。
「大丈夫だよ、僕が持ってるから」
バッグからティッシュを取り出し、床を拭こうとすると
「僕がやる」
男の子はしゃがみ込み、僕からティッシュを取ると床を拭きはじめる。
「お兄さん、ありがとう」
拭き終わった男の子は、汚れたティッシュを手に持ちニコッと笑う。
「いいえ」
僕も男の子に笑顔を返すと、男の子は僕に手を振り、その場を離れる。
「結婚して子どもができたら、男の子みたいな子に育つといいな」
その前に相手を探さなきゃ。と苦笑いしながら、遠ざかる男の子の背中を見送ったのでした。


真夏の記憶

真夏になると思い出す、真夏の記憶。
それは…
小学生のときに行ったプール。あまりの人込みで、一緒にいた親とはぐれた時のこと。
大人にぶつかられ、持っていた浮き輪を離してしまい、溺れてしまったのだ。
そこで助けてくれたのが、監視員のお兄さん。
溺れた恐怖と、助かった安堵で泣いてしまった僕を、優しく落ち着かせてくれた。
そのときのお兄さんのようになりたい。そう思い、今僕はプールの監視員をしている。
僕の真夏の記憶は、良い思い出とは言えないけれど、僕の夢を作ってくれたのでした。


言葉にならないもの

「ねえ、私のこと、どれくらい好き?」
僕の目を見つめ、にこにこと笑いながら、よく聞くセリフを言うキミ。
「どれくらい。って、どう表現したらいいの?」
表現の仕方がわからず、キミに聞いてみると
「そうだなぁ。両腕をいっぱい広げたくらい…とか」
キミが聞いたのに、どうやら、的確な言葉はないらしい。
「僕がキミをどれくらい好きかというと…」
「うんうん」
「それは、言葉にならないもの。だね」
「ん?どういうこと?」
「どれくらい。って、言葉で表現するのは難しいよ。でも僕は、キミだけを愛してる。キミのことで頭も心もいっぱいになるくらいに。…こんな答えじゃダメかな」
そう言った僕の言葉に、キミは顔を真っ赤に染めるのだった。

8/9/2025, 7:52:50 AM

ぬるい炭酸と無口な君 ただいま、夏 泡になりたい またね 心の羅針盤 夢じゃない です。
最近のお題が難しく、余計に時間がかかりました。
お題に沿っていなかったら、すみません。
毎日、書いている方々。尊敬です。

ぬるい炭酸と無口な君

カランコロンと音を鳴らしながら、君と手を繋いで歩く。
「楽しみだね」
にこにこ笑う君に
「そうだね」
僕は笑みを返すけど、初めて履く下駄で転ばないように。と、少し緊張しながら、神社へ向かっていた。
「今年も賑わってるね」
神社に着くと、すでにたくさんの人が、屋台の物を食べたりしながらそれぞれに楽しんでいた。
「今年は何から食べる?」
「そうだなぁ…」
毎年来ている神社のお祭り。近くで花火が上がることもあり、多くの人で賑わっている。
「うん、美味しい」
最初に食べているのは焼きとうもろこし。外で食べている。ということもあるのか、いつもより甘く美味しく感じられた。
「今年はこれだから、いっぱい食べられなかったりして」
「いやいや、そんなことはないでしょ」
焼きとうもろこしを食べ終え、屋台を見て回る。今年は初めて、2人とも浴衣を着て来たので、帯でお腹が苦しくならないかと心配していた。
「そろそろ花火の時間だね」
「そうだね。移動しようか」
屋台の物をいろいろ食べお腹も満たされた頃、花火を見るため、毎年見ている場所へ移動する。
「足元気をつけてね」
食べているときに買った飲み物、飲みかけの炭酸を2つ持ち、いつもの場所へ歩みを進めるが、いつもとは違う下駄での移動。ゆっくり慎重に歩いていった。
「良かった。今年も私たちだけだね」
毎年花火を見ている場所に着くと、その場にいるのは僕たちだけ。
「他の人たちが知らない、まさに穴場だね」
レジャーシートを敷き、そこに座る。
「早く始まらないかな」
他愛もない話をしていると、夜空に大きな花が咲き始める。
「わー、キレイ」
次々と上がる花火を見たり、スマホを向けたりしながら、君は花火を楽しんでいる。
「来年もまた来たいな」
花火に夢中になって、飲まずにいたぬるい炭酸と無口な君。
花火を横目に、夜空を見上げる君の横顔を眺めながら、楽しい時間を満喫したのだった。


ただいま、夏

「うわっ、暑っ」
電車を降りると、肌を刺すような暑さに襲われる。
「こっちはこんなに暑いんだな」
本格的に暑くなる前に、早めの夏休みと称して避暑地に行っていたので、最寄りの駅に着いた今、暑さに驚いていた。
「でも、この辺の夏は、毎年これくらいの暑さだよな」
ハハッと自嘲気味に笑いながら
「ただいま、夏。って感じだな」
青く広がる空を見上げたのだった。


泡になりたい

何て言ってあげたら良いんだろう。こんなとき、何て言ってあげたら…。
「大丈夫?」
ベンチに並んで座り、止まらない涙を流すキミに、僕は何をしてあげられるだろう。そう自問自答しながら、泣いているキミの背中を、僕はそっと撫でていた。
「…泡になりたい」
「え?」
「泡になって、消えてしまいたい」
キミには、周りから見て、付き合ってるんじゃないか。と思われるほど仲の良い男性がいた。その男性が好きだったこともあり告白したら、振られてしまったそうで、今、こんな状態になっている。
「お願いだから、そんなこと言わないで」
僕はキミの肩をそっと抱き寄せる。
「キミが消えてしまったら、悲しむ人はたくさんいる。…僕もその1人だよ」
「え?」
僕の言葉に顔を上げたキミ。涙の跡が痛々しく感じられ
「僕ならこんな風に、キミを泣かせたりしないのに」
キミの頬に手を添えると、涙の跡を消すように撫でてしまう。
「僕もそうだけど、キミを大切に想う人は必ずいるよ。だから、そんなこと言わないで」
「…ありがとう」
微かに笑みを見せてくれたキミ。こんなときに僕の想いをきちんと伝えることはしたくない。
けれど、これ以上悲しい思いはさせないように、キミに選んでもらえるように、アピールしていくことを決めたのだった。


またね

「またね」
そう言って別々の道を進んだ友だち。みんな元気にしているかな。
そのことを気にしている暇がないほど、仕事に追われていた僕のところに届いた、クラス会のお知らせ。みんなに会いたい気持ちが一気に膨らみ、参加することを決め、出席。で返信することにした。
「良いきっかけをくれたよな」
みんなと仲が悪かったわけではないが、今まで誰かに連絡したことはない。
「これを機に、みんなと連絡を取り合おうかな」
学生時代の楽しい日々を思い出し、クラス会に向けて、ワクワクが止まらないのだった。

心の羅針盤

「うーん、どうしようかな」
人生の長い道を歩いて行く中で、時折、迷うときがある。進むか止まって考えるか、右に行くか左に行くか。
「やりたいと思うならやったらいいよ」
「それをするにはリスクが大きいよ。止めた方がいいって」
いろんな人にアドバイスを求めるも、返ってくる答えはさまざま。どれを選べばいいのか、困ったなぁ。…と思ったときは、心の羅針盤に従って進むことにしている。
アドバイスはアドバイスで有り難く受け取り、迷っても、自分で決めた道を進む。その方が、失敗しても後悔しても、選んだのは自分だから自分の責任だ。と言えるから。
だから僕はこれからも、心の羅針盤に従って歩いて行こうと思う。


夢じゃない

「え…今、何て言ったの?」
キミがくれた返事に、僕は耳を疑った。
だって、そんなことあり得ないと思ったから。
「だからね…」
僕が聞き返したことを気にする様子もなく
「私も、あなたが好き。って言ったの」
と、微笑んで答えてくれる。
「…夢じゃないんだ」
軽く頬をつねってみても、感じるのは痛みだけ。
「夢なんかじゃないよ。それとも、私の言葉が信じられない?」
唇を尖らせ、キミは僕を軽く睨む。
「…想いが通じるとは思ってなかったから。ありがとう、信じるよ」
「うん」
キミの笑顔に、これは現実だと確信する。
「でも、これからあなたが疑ったりしないように、イヤでもわからせてあげる」
「え?」
そう言うと、キミは僕の手をギュッと掴む。
「ね、わかったでしょ」
にこにこ笑うキミの手のぬくもりに
「うん、わかった」
イヤでも理解させられる。
想いが通じたキセキのような現実を手放さないように、これからもっとキミを、大切にしようと思うのだった。

8/5/2025, 9:59:19 AM

眩しくて 8月、君に会いたい 波にさらわれた手紙
書けた分だけですが、よろしくお願いします。

眩しくて

「…ん」
目が覚め、サッーという音が聞こえたと思ったら、閉じた瞼が明るく照らされる。
「うん?」
眩しくて、腕で光を遮ると
「おはよう、起きて」
優しい声が聞こえる。
「え?あ、おはよう」
その声にそっと瞼を上げると、微笑む妻の顔が見えた。
「ごはん出来てるよ、早く来てね」
「ありがとう」
僕が起きたのを確認し、妻は寝室を出ていく。
「…行くか」
毎朝、愛しい妻の顔が見れて幸せだなぁ。と、一緒にいれることを嬉しく思いながら、僕も寝室を後にするのだった。


8月、君に会いたい

愛している君と、ずっと一緒にいられる。
そう信じていたのに、君は僕の前からいなくなってしまった。
泣いて泣いて、それでも信じられなくて、何も手につかなくなったりもしたけれど、いつまでもこのままじゃ…。と、気持ちを奮い立たせ、僕は涙は封印した。
「お盆は、あの世で過ごす人たちが、この世に戻って来る」
そう聞いて、僕は、その日が来るのを、今か今かと待っている。
「8月、君に会いたい」
会えることを願いながら。


波にさらわれた手紙

砂浜で、キミから届いた手紙を読んでいる。
なぜこんなところで読んでいるのかと言えば、単に、手紙の内容を確認していただけだったのだけれど…。
「頼まれたことだし、やるかな」
頼まれたこと、それは…。手紙に包まれていた貝殻を、手紙ごと海に流してほしい。というもの。
「彼と別れたから思い出の品を処分しようと思ったの。けど、一緒に拾った貝殻は、捨てるより、拾った海に返したくて。でも、拾った海は遠くて行けそうにない。だからお願い。代わりに返して来て」
仲の良い友だちからの頼み。貝殻を包んだ手紙をそっと海に流す。
「確かに返したよ」
一応、証拠に。と写真を撮ると、貝殻は海に沈んでしまったのか、手紙が水面に浮かんでくる。そして、波にさらわれた手紙は少しずつ溶けていき、はかなく消えていく様を
「…恋心って、こんな風に消えていくものなのかな」
僕は静かに見ていたのでした。

Next