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ぬるい炭酸と無口な君 ただいま、夏 泡になりたい またね 心の羅針盤 夢じゃない です。
最近のお題が難しく、余計に時間がかかりました。
お題に沿っていなかったら、すみません。
毎日、書いている方々。尊敬です。

ぬるい炭酸と無口な君

カランコロンと音を鳴らしながら、君と手を繋いで歩く。
「楽しみだね」
にこにこ笑う君に
「そうだね」
僕は笑みを返すけど、初めて履く下駄で転ばないように。と、少し緊張しながら、神社へ向かっていた。
「今年も賑わってるね」
神社に着くと、すでにたくさんの人が、屋台の物を食べたりしながらそれぞれに楽しんでいた。
「今年は何から食べる?」
「そうだなぁ…」
毎年来ている神社のお祭り。近くで花火が上がることもあり、多くの人で賑わっている。
「うん、美味しい」
最初に食べているのは焼きとうもろこし。外で食べている。ということもあるのか、いつもより甘く美味しく感じられた。
「今年はこれだから、いっぱい食べられなかったりして」
「いやいや、そんなことはないでしょ」
焼きとうもろこしを食べ終え、屋台を見て回る。今年は初めて、2人とも浴衣を着て来たので、帯でお腹が苦しくならないかと心配していた。
「そろそろ花火の時間だね」
「そうだね。移動しようか」
屋台の物をいろいろ食べお腹も満たされた頃、花火を見るため、毎年見ている場所へ移動する。
「足元気をつけてね」
食べているときに買った飲み物、飲みかけの炭酸を2つ持ち、いつもの場所へ歩みを進めるが、いつもとは違う下駄での移動。ゆっくり慎重に歩いていった。
「良かった。今年も私たちだけだね」
毎年花火を見ている場所に着くと、その場にいるのは僕たちだけ。
「他の人たちが知らない、まさに穴場だね」
レジャーシートを敷き、そこに座る。
「早く始まらないかな」
他愛もない話をしていると、夜空に大きな花が咲き始める。
「わー、キレイ」
次々と上がる花火を見たり、スマホを向けたりしながら、君は花火を楽しんでいる。
「来年もまた来たいな」
花火に夢中になって、飲まずにいたぬるい炭酸と無口な君。
花火を横目に、夜空を見上げる君の横顔を眺めながら、楽しい時間を満喫したのだった。


ただいま、夏

「うわっ、暑っ」
電車を降りると、肌を刺すような暑さに襲われる。
「こっちはこんなに暑いんだな」
本格的に暑くなる前に、早めの夏休みと称して避暑地に行っていたので、最寄りの駅に着いた今、暑さに驚いていた。
「でも、この辺の夏は、毎年これくらいの暑さだよな」
ハハッと自嘲気味に笑いながら
「ただいま、夏。って感じだな」
青く広がる空を見上げたのだった。


泡になりたい

何て言ってあげたら良いんだろう。こんなとき、何て言ってあげたら…。
「大丈夫?」
ベンチに並んで座り、止まらない涙を流すキミに、僕は何をしてあげられるだろう。そう自問自答しながら、泣いているキミの背中を、僕はそっと撫でていた。
「…泡になりたい」
「え?」
「泡になって、消えてしまいたい」
キミには、周りから見て、付き合ってるんじゃないか。と思われるほど仲の良い男性がいた。その男性が好きだったこともあり告白したら、振られてしまったそうで、今、こんな状態になっている。
「お願いだから、そんなこと言わないで」
僕はキミの肩をそっと抱き寄せる。
「キミが消えてしまったら、悲しむ人はたくさんいる。…僕もその1人だよ」
「え?」
僕の言葉に顔を上げたキミ。涙の跡が痛々しく感じられ
「僕ならこんな風に、キミを泣かせたりしないのに」
キミの頬に手を添えると、涙の跡を消すように撫でてしまう。
「僕もそうだけど、キミを大切に想う人は必ずいるよ。だから、そんなこと言わないで」
「…ありがとう」
微かに笑みを見せてくれたキミ。こんなときに僕の想いをきちんと伝えることはしたくない。
けれど、これ以上悲しい思いはさせないように、キミに選んでもらえるように、アピールしていくことを決めたのだった。


またね

「またね」
そう言って別々の道を進んだ友だち。みんな元気にしているかな。
そのことを気にしている暇がないほど、仕事に追われていた僕のところに届いた、クラス会のお知らせ。みんなに会いたい気持ちが一気に膨らみ、参加することを決め、出席。で返信することにした。
「良いきっかけをくれたよな」
みんなと仲が悪かったわけではないが、今まで誰かに連絡したことはない。
「これを機に、みんなと連絡を取り合おうかな」
学生時代の楽しい日々を思い出し、クラス会に向けて、ワクワクが止まらないのだった。

心の羅針盤

「うーん、どうしようかな」
人生の長い道を歩いて行く中で、時折、迷うときがある。進むか止まって考えるか、右に行くか左に行くか。
「やりたいと思うならやったらいいよ」
「それをするにはリスクが大きいよ。止めた方がいいって」
いろんな人にアドバイスを求めるも、返ってくる答えはさまざま。どれを選べばいいのか、困ったなぁ。…と思ったときは、心の羅針盤に従って進むことにしている。
アドバイスはアドバイスで有り難く受け取り、迷っても、自分で決めた道を進む。その方が、失敗しても後悔しても、選んだのは自分だから自分の責任だ。と言えるから。
だから僕はこれからも、心の羅針盤に従って歩いて行こうと思う。


夢じゃない

「え…今、何て言ったの?」
キミがくれた返事に、僕は耳を疑った。
だって、そんなことあり得ないと思ったから。
「だからね…」
僕が聞き返したことを気にする様子もなく
「私も、あなたが好き。って言ったの」
と、微笑んで答えてくれる。
「…夢じゃないんだ」
軽く頬をつねってみても、感じるのは痛みだけ。
「夢なんかじゃないよ。それとも、私の言葉が信じられない?」
唇を尖らせ、キミは僕を軽く睨む。
「…想いが通じるとは思ってなかったから。ありがとう、信じるよ」
「うん」
キミの笑顔に、これは現実だと確信する。
「でも、これからあなたが疑ったりしないように、イヤでもわからせてあげる」
「え?」
そう言うと、キミは僕の手をギュッと掴む。
「ね、わかったでしょ」
にこにこ笑うキミの手のぬくもりに
「うん、わかった」
イヤでも理解させられる。
想いが通じたキセキのような現実を手放さないように、これからもっとキミを、大切にしようと思うのだった。

8/9/2025, 7:52:50 AM