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6/7/2025, 9:48:38 AM

約束だよ 恋か、愛か、それとも 水たまりに映る空 さあ行こう です。


約束だよ

「約束だよ」
そう言って、指切りした幼い頃の思い出。その思い出は、色褪せることなく僕の心に焼き付いていた。
「キミも覚えているといいな」
僕の淡い期待は裏切られることなく、僕の隣にいてくれることで証明されている。
「あの時の約束。守ってくれてありがとう」
僕を見上げ、微笑むキミに
「それはこっちのセリフだよ。忘れないでいてくれてありがとう」
僕はそっと手を握った。
今日は僕たちの結婚式。幼い頃にキミとした
「大きくなったら結婚しよう」
の約束が、今果たされる。
「どうしたの?」
約束を交わしてしまうほど大好きなキミと、愛を誓える日が来る。そんな運命的なことが本当に起こった。その事実に心が震え、目が潤む。
「ん、幸せすぎて…」
涙を見られないように俯いた僕を、心配してくれるキミ。キミと出会えて良かったと、心から思うのだった。


恋か、愛か、それとも

「今度の土曜、暇?」
「土曜?…あー、ごめん。用事ある」
「そっかあ、残念。じゃ、また今度ね」
「うん」
廊下でキミとすれ違いざま話をする。仲の良いキミと一緒に出かけるのはいつものこと。同じ趣味を持つ友達なんだけど…。
「なあ、おまえらって付き合ってんの?」
昼食を社食で取っていると、同僚に話しかけられる。
「何だよ、急に」
箸を止め、前に座ったそいつを見ると
「付き合ってんだろ?」
ニヤニヤしながらもう一度繰り返す。
「別に、付き合ってねえけど」
テーブルに肘をつき、答えると
「は?嘘だろ?2人で出かけたりしてんのに?」
驚いた顔をされる。
「趣味が合うからそうしてるだけ。友達だ」
そう言うと
「じゃあ、俺が狙ってもいいよな」
うれしそうに笑う。
「ああ。勝手に…すれば」
「そうするよ」
席を立ち、去っていくそいつを見ながら、俺が狙う。と言われたとき、ズキッとしたのはなぜだろう?と思う。俺にとってキミは、趣味が合う友達のはずで。でも、ズキッとしたなら…。キミへの俺の想いは、恋か、愛か、それとも本当にただの友情か。キミが誰かに取られる前に、気づかなければ。と思う俺だった。


水たまりに映る空

通り雨が止み、ところどころに水たまりができる。
「濡れないように、水たまりを避けなきゃ」
と、下を向いて歩いていると、水たまりに景色が映っているのが見えた。
「…キレイ」
水たまりに映る空がキレイで、立ち止まって見ていると、そこに七色のアーチが架かる。
「虹だ」
勢い良く空を見上げると、青い空に大きな虹が架かっている。
「…悪く、ないかも」
大きな虹を眺めながら、通り雨も悪くないかも。と思うのだった。


さあ行こう

「さあ行こう。未知の世界へと」
彼は楽しそうに、私の腕を引っ張る。
「え、本当に行くの?」
私が行くのをためらうと
「あったりまえじゃん。そのためにここまで来たんだから」
グフフと笑いながら、さらに私の腕を引っ張る。
「怖かったら、俺の腕に抱きついてていいから」
ね。と優しく笑うから
「わかった」
怖かったけれど、私は暗闇の中、お化け屋敷の中へ歩を進めたのだった。

6/3/2025, 9:43:19 AM

まだ続く物語 勝ち負けなんて 雨上がり 傘の中の秘密 です。


まだ続く物語

「おめでとう」
家に帰り、昇進の決定をキミに伝えると、キミは顔を綻ばせる。
「ありがとう」
喜んでもらえてホッとした俺に
「今以上に、私も頑張るからね」
キミは気合を入れる。
「…キミも、頑張るの?」
俺が頑張るのは当たり前だけど…。と不思議に思っていると
「昇進する。ってことは、上司として責任も仕事も増える。ってことでしょ。そんなあなたを、もっと支えられるように頑張るの」
ふふっと笑うキミの笑顔に、胸が愛しさでいっぱいになる。
「まだ続く物語を、ずっとずっと隣で見させてね」
そう言って笑うキミを
「うん。ずっとずっと隣で見てて」
俺は強く抱きしめたのだった。


勝ち負けなんて

「あー、悔しい」
キミと、対戦型のゲームをしているんだけれど、さっきから負け続けているキミは、悔しそうに拳を握りしめた。
「気持ちはわかるけど、俺の方がやり込んでるんだし、仕方ないよね」
慰めるように言ってみたけれど
「それでも悔しいの。だから、もう1回」
負けず嫌いのキミは、もう1回と言う。
「わかった」
ゲームの間、キミのいろんな表情が見れて、俺は楽しい。けれど、勝ち負けなんてこだわらずに、楽しそうにゲームをしている姿も見たいな。と思いながら、コントローラを手にしたのだった。


雨上がり

雨上がりの空に、キレイな虹がかかる。
「わぁ、キレイ」
思わず足を止め、僕はスマホを取り出した。
「うん、キレイに撮れた」
虹を撮影し、撮れた写真をチェックする。
「よし、送信っと」
撮れた写真をキミに送ると
「キレイな虹だね。見せてくれてありがとう♡」
と、返信が来る。
僕は、僕たちを笑顔にしてくれたキレイな虹を心にも焼き付けようと、もう一度空を見上げたのだった。


傘の中の秘密

「ねえ、見て見て」
仕事帰り。雨に降られ、うんざりしながら傘を差して歩いていると、後ろから声をかけられる。
「うん?」
隣に並んだ人物を見ると
「ああ、お疲れ」
同じ部署の人だった。
「お疲れさま。それよりも見てよ。傘の中の秘密を」
「傘の中の…秘密?」
何を言っているんだろう?と首を傾げると
「雨の日って、傘を差して歩くの憂鬱じゃない?そんな憂鬱を吹き飛ばすために、傘に工夫をしたの」
キミはクスクスと笑う。
「え、工夫?」
「そう、これ」
キミが指差した先を見ると、傘の中に大きなキャラクターがいる。
「これ、何?」
「ふふふ。これはね、私の大好きなキャラクターのステッカーを貼ったの。これを見るとね、雨の憂鬱が和らぐんだ」
「へえ、なるほどね」
キミの工夫に感心しながらも、キミの笑顔に釘付けになった俺だった。

5/30/2025, 9:55:07 AM

「…聞いてもいい?」
いつもとは違い、神妙な面持ちで、キミは俺に話しかける。
「いいけど、何?」
どうしたんだろう。不思議に思いながら返事をすると
「私とのこと、どう思ってる?」
キミは真剣な目を俺に向けた。
「そ…れは」
言い淀む俺に構わず
「私はあなたとずっと一緒にいたいと思ってるよ。けど、あなたの気持ちがわからなくて…」
キミは本音をぶつけてくる。
「…ごめん、ちゃんと話すね」
そんなキミに向き合わなければ。と、俺は重い口を開いた。
「俺も、キミとずっと一緒にいたい。結婚したいと思ってる。けどね、俺は渡り鳥みたいな転勤族。いつどこに行ってくれ。って言われるかわからない。それに、キミを巻き込んでいいのかわからないんだ。…そうわかっているのに、キミと別れたくなくて、言い出せなかった。キミの大切な時間を、ムダにさせてしまって、本当にごめん」
頭を下げると
「話してくれて、ありがとう。私を、あなたが羽を休める場所にしてくれますか?」
キミは微笑む。
「…ありがとう」
キミの言葉がうれしくて、キミをギュッと抱きしめたのだった。

5/29/2025, 9:36:56 AM

ひらひらと、桜の花びらが風に舞う。
「キレイだね」
桜の木を見上げ、キミはつぶやく。
「そうだね」
キミに合わせて僕はそう言ったけど、風に舞う桜の花びらよりも、長い髪がさらさらと風に揺れるキミの横顔を、僕はずっと見つめていた。

5/28/2025, 7:38:36 AM

大好物のお菓子を手に持ち、ゆっくりとした動作で口に運ぶ彼女。
「これで最後…」
自分に言い聞かせるように呟くと、最後の1つを口に入れる。
「うん、美味しかった。明日からは我慢だ」
そう言うと拳を握りしめ、お菓子の空箱をゴミ箱に捨てた。
「頑張ってね」
「うん」
明日からダイエットをする。という彼女。
彼氏である俺は、彼女が痩せても、今のままでも彼女を好きなことには変わりないし、正直どっちでもいいと思っている。
ただ、彼女が頑張るというなら、彼氏として、協力と応援はしてあげたい。
彼女を見つめながら、そう思うのだった。

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