たくさんの想い出とキャンドルです。
たくさんの想い出
「雑誌で見るよりキレイ」
はしゃぎながら、何枚も写真を撮っていく。
「写真撮るの好きなんだね」
「うん」
「でも、好きなのに何でカメラじゃなくてスマホなの?まあ、スマホもキレイに撮れるけど…」
スマホ片手に、写真を撮るのに夢中になっているキミに問いかけると
「よりキレイに写る方が、もちろん良いとは思うよ。でもそこは、私はこだわってないの」
と、よくわからない返事が返ってくる。
「どういうこと?」
「今撮っている写真は、メモのようなものなの」
「メモ?」
「そう。あなたと2人で色んなところに行くでしょ。でも、行けば行くほど、記憶力の悪い私は、忘れてしまうの。だから、少しでも覚えていたくてメモ代わりに写真で残してるんだ」
「そうなんだ」
「うん。せっかく連れてきてもらってるのに、こんなこと言ってごめんね。でも、あなたとの想い出をもっと増やしたいから、これからも一緒に出かけてくれるかな」
「もちろんだよ。これからも、たくさんの想い出を作ろうね」
俺はキミを抱き寄せ、一緒に写真を撮ったのだった。
キャンドル
キャンドルが煌めく道を進むと、進んだ先に、ウエディングドレスに身を包んだキミが待つ。
「キレイだ」
キャンドルの温かい光に照らされ微笑むキミは、泣きたいくらいにキレイで。
「ありがとう。あなたもステキだよ」
キミの隣に立つと、俺はキミの手をそっと取る。
「一緒に幸せになろうね」
「うん」
教会へ続くキャンドルの道を、2人で進むのだった。
はなればなれ と冬になったら です。
はなればなれ
会社から、出向するように。との辞令が出て、単身赴任することになった。
共働きで、家事も分担してたから、一人暮らしに不安はなかった。
なのに、自分で作る料理は何か一味足りないし、洗濯物もふわふわしてない。
キミとはなればなれになって、どれほどキミが僕を支えてくれているかを思い知った。
「早く、キミに会って感謝を伝えたい」
次の休みには、家に帰ろうと思うのだった。
冬になったら
「冬になったら、どこに行こうか」
キミと2人で旅行雑誌を見ながら、旅行の計画を立てる。
「そうだなあ。秋は紅葉のキレイな所にしたから、冬は雪景色を見に行こうか」
「いいね。それじゃ…」
雑誌をパラパラとめくりながら、候補を挙げる。
「すごい雪だね」
「うん、この辺では見られないね」
高く積み上がった雪の写真を見ながら
「紅葉もそうだけどさ、四季があるからこその景色が見れる。っていいよね」
「そうだね。これからも、その季節にしか見れないもの、できないことを堪能していこう」
「うん」
これから来る季節。キミと一緒に過ごせることを楽しみに思うのだった。
動画を見ていたときにオススメに出てきた子猫の動画。
試しに見てみると、小さくて、もふもふで、にゃ〜とかわいい声で鳴いている。
「かわいいなぁ」
癒されるなぁ。と見ていてふと思う。
「あれ、子猫って…」
そうか。キミみたいなんだ。
小さくて、ふわふわで、俺を見上げてかわいい笑顔を見せてくれる。
「電話しよ」
キミの声が聞きたくなり、電話をかけるのだった。
秋風に吹かれ、紅葉した木々の葉が舞う中
キミと並んで家路を歩く。
「朝晩、寒くなったよね」
「そうだね」
「寒いのイヤだなぁ」
上着をギュッと握りしめ、キミは身を縮こませる。
「俺も寒いのはキライだなぁ。でもさ、寒いのを言い訳に、手を繋げるのは嬉しいかな」
俺はキミの手を取り、ギュッと握るのだった。
「また会いましょう」
手を振って別れたあの日から、何年もの月日が流れた。
みんなそれぞれに日々の生活が忙しく、何の連絡も取らないし、来ない。
それでも、偶然どこかで会えば、話が弾む。
友達っていいな。って思う。