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眩しくて 8月、君に会いたい 波にさらわれた手紙
書けた分だけですが、よろしくお願いします。

眩しくて

「…ん」
目が覚め、サッーという音が聞こえたと思ったら、閉じた瞼が明るく照らされる。
「うん?」
眩しくて、腕で光を遮ると
「おはよう、起きて」
優しい声が聞こえる。
「え?あ、おはよう」
その声にそっと瞼を上げると、微笑む妻の顔が見えた。
「ごはん出来てるよ、早く来てね」
「ありがとう」
僕が起きたのを確認し、妻は寝室を出ていく。
「…行くか」
毎朝、愛しい妻の顔が見れて幸せだなぁ。と、一緒にいれることを嬉しく思いながら、僕も寝室を後にするのだった。


8月、君に会いたい

愛している君と、ずっと一緒にいられる。
そう信じていたのに、君は僕の前からいなくなってしまった。
泣いて泣いて、それでも信じられなくて、何も手につかなくなったりもしたけれど、いつまでもこのままじゃ…。と、気持ちを奮い立たせ、僕は涙は封印した。
「お盆は、あの世で過ごす人たちが、この世に戻って来る」
そう聞いて、僕は、その日が来るのを、今か今かと待っている。
「8月、君に会いたい」
会えることを願いながら。


波にさらわれた手紙

砂浜で、キミから届いた手紙を読んでいる。
なぜこんなところで読んでいるのかと言えば、単に、手紙の内容を確認していただけだったのだけれど…。
「頼まれたことだし、やるかな」
頼まれたこと、それは…。手紙に包まれていた貝殻を、手紙ごと海に流してほしい。というもの。
「彼と別れたから思い出の品を処分しようと思ったの。けど、一緒に拾った貝殻は、捨てるより、拾った海に返したくて。でも、拾った海は遠くて行けそうにない。だからお願い。代わりに返して来て」
仲の良い友だちからの頼み。貝殻を包んだ手紙をそっと海に流す。
「確かに返したよ」
一応、証拠に。と写真を撮ると、貝殻は海に沈んでしまったのか、手紙が水面に浮かんでくる。そして、波にさらわれた手紙は少しずつ溶けていき、はかなく消えていく様を
「…恋心って、こんな風に消えていくものなのかな」
僕は静かに見ていたのでした。

8/5/2025, 9:59:19 AM