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5/14/2025, 9:12:47 AM

ただ君だけ 記憶の海 です


ただ君だけ

こんなにも、なくしたくない大きな存在ができるとは、思っていなかった。
「こんにちは」
君との出会いは友人の紹介。運命的な…などではなく、ごく普通の出会いだった。それでも
「オマエに紹介したい子がいるんだ」
と、友人が言うくらい、君とは気が合ったし、一緒にいて楽しい。君とこのまま歩いて行きたい。と思うのに、時間は掛からなかった。
「結婚してください。僕は、ただ君だけを愛しています」
記憶に残るようなステキな言葉は言えなかったけど、君は嬉しそうに頷き、僕に抱きつく。
幸せな未来への第一歩。これからは、君の笑顔がもっともっと見られるように、幸せにしようと思うのだった。


記憶の海

歩いてきた距離が長いほど、深くなる記憶の海。
昔の記憶ほど海の底に沈み、新しい記憶は鮮明に覚えている。
楽しい記憶は写真が記憶し、辛い記憶はイヤなほど昨日のことのように思い出す。
記憶は積み重なるにつれ、忘れていくものだけれど、愛するキミとの記憶は、どんなことでも忘れたくない。
忘れないように、僕は日記を書こうと思うのだった。

5/12/2025, 8:06:16 AM

静かなる森へ 未来への船 です。

静かなる森へ

静かなる森へ足を踏み入れると、そこは幻想的で、現実ではないような空間が広がっていた。
そよぐ風に吹かれて木の枝が揺れ、色とりどりの花が咲き、鳥が歌うように鳴く。まるで、絵本の中に入ってしまったよう。
「この世にいるような気がしない。別世界に迷い込んだみたいだ」
精一杯腕を広げ深呼吸をすると、気持ちが穏やかになる。
「疲れたら、また来よう。それで…」
大切な人ができたら2人で来よう。その日が来るのを楽しみに、森を後にしたのだった。


未来への船

「未来への船があったら、どこに行きたい?」
キミと話していると、唐突にそう聞かれる。
「1年後?5年後?10年後?それとも、もっと先?」
未来への船か。望めばきっと、どの未来でも連れて行ってくれるんだろうけど…。
「僕は、未来がどうなっているのか、知りたいけど知るのは怖いし、わかってしまったら、つまらないな。とも思う。だから、未来への船があっても乗らないと思う。けど」
キミの手をそっと取り
「どの未来に行ったとしても、僕の隣にはキミがいる。それだけはわかるよ」
そう言うと、キミは嬉しそうに微笑むのだった。

5/10/2025, 9:58:38 AM

届かない…… 夢を描け です

届かない……

「あと、少し…」
空に向かって手を伸ばす。
「もうちょっと、もうちょっと」
つま先立ちになり、うーんと手を伸ばすけれど
「届かない……」
はぁ。とため息を吐いて、伸ばした体を元に戻す。
「どうしよう…」
空を見上げると、風に飛ばされた帽子が木の枝に引っかかり、ひらひらと揺れている。
「どこかから、棒でも拾ってこようかな」
どうかしましたか?と声をかけてくれる人もいないし。
「早くしないと、また飛んで行っちゃうよね」
はぁ。ともう一度ため息を吐いて、私は棒を探しに向かうのだった。


夢を描け

「これからみんなは別々の道を歩んで行く。その中で、辛いことや困難な出来事もあるだろう。それでも、下を向かず、前だけ向いて夢を描け」
卒業式で、担任が僕たちに言った言葉。
「夢を描け…か」
今の僕は、描いた夢通りに歩めているのかな。道を歩く途中、ふと立ち止まってはそんなことを考える。そのたびに、描いた夢はこうじゃない。と思うことが多い。けれど、担任の言葉を思い出し、自身を奮い立たせて前を向いている。
「よし、頑張ろう」
これからもきっと、道に迷うことはあるだろう。そんなときに思い出す担任の言葉が、僕の心の支えになっている。

5/8/2025, 8:47:51 AM

ラブソング 木漏れ日 です


ラブソング

「ねえ、この曲、歌ってくれないかな?」
キミとカラオケに来て、2人で好きな曲を交互に歌い、少し疲れたね。と休憩しているときにお願いされる。
「どれ?…ああ、このラブソング?」
「うん、そう」
にこにこと笑うキミに
「ラブソングは、ちょっと…」
申し訳ないとは思いつつ、やんわり断ると
「えー、何で?…もしかして、この曲歌えない?」
思ったとおりの反応をされる。
「いや、歌えるよ」
「なら、私のために歌ってよ」
不満そうな顔をするキミに
「ごめん、キミのためにだと、なおさら歌えない」
そう言うと
「…私のこと、好きじゃないってこと?」
キミは悲しそうな顔になる。
「そうじゃない」
「じゃあ、どういう意味?」
今にも泣き出しそうな顔で俺を睨みつけるキミを
「大好きだから、歌えないんだ」
落ち着かせるようにそっと抱きしめる。
「好きだから歌えない。って、わけわかんない」
俺の腕の中から俺を見上げ、不満をぶつけるキミに
「ラブソングはさ、その曲を作った人が、大切な人を想いながら書いたものでしょ?その誰かへの想いを、俺がキミへの想いとして歌うことはしたくない。俺は、俺の想いを言葉にして、キミに伝えたい。曲は作れないから歌にはできないけど」
思っていることを伝えると
「大好き」
キミは俺にギュッと抱きついたのだった。


木漏れ日

木漏れ日が降り注ぐ公園のベンチで、目を閉じているあなたを見かける。
「外回りに出かけたと思ったら、こんなところで休憩してたんだ」
郵便物を出しに外に出たついでに、まだ取っていなかった昼休憩を取ろうと公園に寄ったら、偶然見かけたのだけれど。
「どうしよう、寝てるんだよね?」
ベンチに近寄ってみるけれど、寝ているようでピクリとも動かない。
「疲れてるのかな、このままにしておこう。けど」
何となくあなたのそばにいたくて、寝ているあなたの隣に座ったのだった。

5/6/2025, 9:48:55 AM

キミから届いた手紙を開けると、ほのかに、キミの香りがした。
「…いつもつけてる香水の香りだ」
キミとの連絡はスマホだから、なぜ手紙を。と思ったけれど、遠距離でなかなかキミと会えなくて、淋しがってる僕が、淋しくないように、キミを身近に感じられるように。という気遣いなのかもしれない。
「優しいなぁ」
そう思いながら手紙を開くと、僕への想いがたくさん綴られている。
「…会いたい」
手紙を読み終わると、会いたい気持ちがあふれてくる。
「僕も書こうかな」
手紙を封筒に戻そうとしたとき、封筒に水滴が落ちたような跡を見つける。
「…これって」
キミの涙の跡…そんなわけ…。
何の跡だか僕にはわからないけれど、すぐにでもキミに会いに行くと決めたのだった。

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