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ラブソング 木漏れ日 です


ラブソング

「ねえ、この曲、歌ってくれないかな?」
キミとカラオケに来て、2人で好きな曲を交互に歌い、少し疲れたね。と休憩しているときにお願いされる。
「どれ?…ああ、このラブソング?」
「うん、そう」
にこにこと笑うキミに
「ラブソングは、ちょっと…」
申し訳ないとは思いつつ、やんわり断ると
「えー、何で?…もしかして、この曲歌えない?」
思ったとおりの反応をされる。
「いや、歌えるよ」
「なら、私のために歌ってよ」
不満そうな顔をするキミに
「ごめん、キミのためにだと、なおさら歌えない」
そう言うと
「…私のこと、好きじゃないってこと?」
キミは悲しそうな顔になる。
「そうじゃない」
「じゃあ、どういう意味?」
今にも泣き出しそうな顔で俺を睨みつけるキミを
「大好きだから、歌えないんだ」
落ち着かせるようにそっと抱きしめる。
「好きだから歌えない。って、わけわかんない」
俺の腕の中から俺を見上げ、不満をぶつけるキミに
「ラブソングはさ、その曲を作った人が、大切な人を想いながら書いたものでしょ?その誰かへの想いを、俺がキミへの想いとして歌うことはしたくない。俺は、俺の想いを言葉にして、キミに伝えたい。曲は作れないから歌にはできないけど」
思っていることを伝えると
「大好き」
キミは俺にギュッと抱きついたのだった。


木漏れ日

木漏れ日が降り注ぐ公園のベンチで、目を閉じているあなたを見かける。
「外回りに出かけたと思ったら、こんなところで休憩してたんだ」
郵便物を出しに外に出たついでに、まだ取っていなかった昼休憩を取ろうと公園に寄ったら、偶然見かけたのだけれど。
「どうしよう、寝てるんだよね?」
ベンチに近寄ってみるけれど、寝ているようでピクリとも動かない。
「疲れてるのかな、このままにしておこう。けど」
何となくあなたのそばにいたくて、寝ているあなたの隣に座ったのだった。

5/8/2025, 8:47:51 AM