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届かない…… 夢を描け です

届かない……

「あと、少し…」
空に向かって手を伸ばす。
「もうちょっと、もうちょっと」
つま先立ちになり、うーんと手を伸ばすけれど
「届かない……」
はぁ。とため息を吐いて、伸ばした体を元に戻す。
「どうしよう…」
空を見上げると、風に飛ばされた帽子が木の枝に引っかかり、ひらひらと揺れている。
「どこかから、棒でも拾ってこようかな」
どうかしましたか?と声をかけてくれる人もいないし。
「早くしないと、また飛んで行っちゃうよね」
はぁ。ともう一度ため息を吐いて、私は棒を探しに向かうのだった。


夢を描け

「これからみんなは別々の道を歩んで行く。その中で、辛いことや困難な出来事もあるだろう。それでも、下を向かず、前だけ向いて夢を描け」
卒業式で、担任が僕たちに言った言葉。
「夢を描け…か」
今の僕は、描いた夢通りに歩めているのかな。道を歩く途中、ふと立ち止まってはそんなことを考える。そのたびに、描いた夢はこうじゃない。と思うことが多い。けれど、担任の言葉を思い出し、自身を奮い立たせて前を向いている。
「よし、頑張ろう」
これからもきっと、道に迷うことはあるだろう。そんなときに思い出す担任の言葉が、僕の心の支えになっている。

5/10/2025, 9:58:38 AM