「別れの際に」
⚠️ヤンデレ表現あり。苦手な方は自衛をお願いいたします。
別れの時には、君は何ていうんだろう?
「ねぇ、何か考え事?」
そう聞くと、ビクッと体を震わせる彼女。最近は何だか僕に怯えてるみたいだ。そーいうのあんま好きじゃないんだけどな。
『なんでも、ない』
ほら、また僕に嘘をつく。君はいつも嘘ばっかつく。君は気づいていないみたいだけど、君は嘘をつく時必ず唇を触る。
全部知ってるんだよ?
「別にだんまりでもいいけど。なんかしちゃったなら早く言った方がいいと思うけどなー。」
そう言って、彼女を少し見つめた。
うるうると目を潤ませて、でも僕にバレないように下を向く彼女が可愛くてたまらない。ちょーっと意地悪したくなっちゃう。
「ほら、僕の目見て」
ぶんぶんと首を振る彼女。そういうとことも可愛いけど、あんまり甘やかすのも良くはない。
「可愛いけど、それはちょっと良くないかな。」
手で君の顔を持ち上げると、ぐしゃぐしゃの顔。涙で一杯の君の目に、僕がニコッと笑う顔が写る。そうだよ、君はずっと僕だけを見てればいい。
『ねぇ、綴』
「なぁに?」
『綴はさ、お別れの時になんて言うの?』
お別れの時?誰との?
『綴、』
「僕、それ聞きたくないかも。」
君が僕のことを名前で呼ぶ時は、大体、
『別れよ』
こう言う時だ。
「それはないかな。」
彼女が何か言おうとしたが、気にせず言い放つ。申し訳ないけど、もう離してあげる気はないんだよね。
可愛い君は、僕だけを見て生きていけばいい。
そうでしょ?
『綴、ちゃんと話を』
「どーせさ、」
別れの時なんて来ないんだから。別れの際に何をするかなんて君はこの先一生知らなくて良いよ。
「さ、この話はもうおしまい。ご飯にしよっか。」
彼女の唇に手を添えると、彼女は悲しそうな目をして、口を結んだ。
それでいいんだよ。ずっと一緒にいようね。
「ジャングルジム」
ジャングルジムは良い。お日様の光を沢山受けて、子どもたちの沢山の声を聞ける。
ねぇ、そうでしょ?
「そうだけど、ジャングルジムって怖くない?落っこちたらどうするのさ?」
『昔はジャングルジムで鬼ごっことかしたよねー。懐かしいなぁ。いっつも椿が鬼だったもんね笑』
あの時の椿の必死に追いかける姿が好きだった。決して早くはないのに、一生懸命なのがどこか可愛らしかった。
「もう、うるさいな。今、馬鹿にしたでしょ!」
あぁ、可愛かったなー。
『私、あの頃の椿が本当に好きだったんだ。』
なんでだろう涙が溢れてくる。
「……。」
『困るよね、こんなこと言っても。でも、たまに帰ってきちゃうんだ。君との思い出に浸りたくてね』
「、、。もう良い加減目を覚ましなよ。」
『昔はさ』
「もう、僕はこの世にいないんだよ?いつまで、何十年もここで思い出を語る気?ねぇ!良い加減目を覚ませよ!!」
必死の思いで伝えるが彼女には届かない。
「ねぇ!!!!」
『わかってるよ。それくらい。』
「気づいて、たの?」
『ねぇ、椿私のこと好き?』
「大好きだよ。愛してる。」
そう言った途端にふっと笑う彼女。月に照らされた横顔はとても綺麗だった。
『そっか、、。私もすぐ逢いに行くよ。』
え?そう言った彼女の表情はわからない。ちょ、ちょっと待ってよ?
『君だけが私の灯りだったんだ』
愛してる。独り言のように呟いた彼女は、暗闇の中に消えていった。
「何もいらない」
⚠️ヤンデレ、監禁表現アリ。
苦手な方は自衛をお願い致します。
僕は恵まれていた。
両親は大企業の社長だった。
小さい頃から欲しいものは全て手に入った。
おもちゃ、ゲーム、友達。金で手に入った。
運動も、勉強もできた。顔も良かった。
自分がすることなすこと、欲しいものは全て手に入る。そう思って生きてきた。
だけど、唯一手に入らないものがあった。
それが、君だった。
最初は、一目惚れ。長い髪の毛が風に靡いて、静かに笑う君に周りで騒ぐ女なんて目に入らないほど魅入った。
少し強引に誘えば、コロッと落ちるかなって思ったけど、君は全然落ちなかった。
面白いって思ったし、絶対手に入れたいと思った。
君がいたら、何もいらない。
そう思った。
何をしていても、君のことを考えてしまう。
君の仕草も、匂いも、甘い声も。全てが僕を狂わせていく。あぁ、大好きだ。
しかし美しい君には、たくさんの虫が寄ってくる。
光に魅入られた虫が。ほんとうに気持ちが悪い。
君に触っていいのも、君の姿を見て良いのも全て僕だけ。君に見合う男なんて、僕以外いないのだから。
このまま僕のモノになれば良い。
いくらでも、待つつもりだった。けど、気が変わった。
君は最近虫と付き合い始めたらしい。幸せそうに笑う君の目には僕が写っていないみたいだ。
許せない。君は僕のモノだ。
「そうだろう?」
目の前で泣きじゃくる君に話しかける。
彼女は目を腫らしながら、僕を睨んだ。
あぁ、可愛い。大好きだ。
「君がいれば、何もいらない。」
甘い香りのする彼女をそっと抱きしめた。
君は僕の大切なヒト。やっと手に入った可愛い彼女。
「もっと知りたい」
⚠️ヤンデレ表情有り。苦手な方は自衛をお願いします。
好きな人の事は無性に知りたくなってしまうものだ。好みの食べ物、髪型、体型、服装。
もっと知りたい。もっと、もっと。
君の全てが知りたい。
薄暗い部屋で呟く僕の姿を君はきっと想像もしないだろう。
『ねぇ、今日一緒に帰んない?』
ある日の放課後君に言う。
「え?」
目を見開く君は、僕がこんなことを言うなんて想像もしてなかったみたいだ。
『いや、やらなきゃいけない書類があってさ。君、学級委員でしょ?手伝ってよ。』
断る隙を与えないように、淡々といった。
「いや、でも。」
戸惑ったようにきょろきょろと視線を動かす彼女。あぁ、愛おしくて堪らない。溢れ出してくるおもいをそっと抱きしめる。
『お礼に君の好きなスイーツでも食べよ。駅前に新しいお店が出来たんだよ。』
そう言うとぱっと、彼女は目を輝かせた。
君が甘党だって事ぐらい僕は知ってる。そして人の頼みを断れないってことも。
いいよ、行ってきなって。ほら、折角さ...
彼女の友達の声だろうか。本当に邪魔だ。彼女に話しかけるのも彼女の顔を見るのも僕一人で充分だと言うのに。
でも、ここまで計画通りだ。
やがて納得したように此方に歩いてくる。
「じゃあ、一緒に帰ろ。」
『ありがとう。』
暫く歩いた所で彼女が足を止めた。
「ねぇ、何処までいくの?此処って、」
『んー?』
ここはさ、僕の家なんだよね。
「書類は?」
『なに、それ?』
ここで初めて恐怖を抱いたのか走り出す彼女。
でも、
これも計画通り。
『ここさー、行き止まりなんだ。君が通ってきた道結構入り組んでたでしょ?この時間帯は人通りも少ない。』
良いね、僕がこう言った時君はそんな表情をするんだ。もっと、もっと知りたい。
『君のこともっと知りたいな。これから2人でお互いの事沢山知っていこうね。』
ポロポロと泣き出す彼女をそっと抱きしめる。
これからの生活が楽しみで嬉し泣きしちゃったのか。
可愛い可愛い小鳥はもう僕の腕の中。1度堕ちてしまえば正気を取り戻すのは難しい。
『もっと、知りたい。』
「特別な夜」
こんな特別な夜には、2人で散歩をしよう。
ロマンチックな星空の淡い光を頼よりに、暗闇の道を進んでいく。人なんて1人もいなくて、君が吐く息の音だけが僕の鼓膜をくすぐる。
「ねぇ、綴。私は大人になったらどーなるのかな?」
どこか寂しげな声で言う君。
そんなの、分かんないよ。と僕は返す。
将来どうなるかなんて誰にも分かんないさ。
「でも、不安じゃ無い?暗闇を歩いてるみたい」
そうだね。でもさ、君には僕が居るから。
僕たちはずーっと一緒だ。毎日を一緒に過ごす。片時だって離れることはしない。
「ありがとう。」
優しい音色。明るくて、でもどこか儚げてそんな君の声が僕は大好きだ。
「綴、でもね。私もう生きてるのに疲れたんだ。」
海を目の前にした時、君はそっと言った。
耳を澄まさなければ、消えてしまいそうな声で。
あの時ずっと一緒にいるって言ったじゃん!今は、今はまだ子供だけど、大きくなったら結婚するんでしょ?
「まだ覚えてたの。もう3年前の話なのに。」
僕たちを必要としてくれる所はきっとこの世界の何処かにあるよ!
「きっと、きっと?そんな物にもう縋れないよ。ごめんね。綴。」
僕も死ぬ。
驚いたように目を見開く君。月明かりに照らされた横顔はとても綺麗だった。
ずっと、一緒だって言ったでしょ?
「うん、」
自然と涙がこぼれ出してくる。あぁ、なんて綺麗な日だ。海へ一歩踏み出す。波が僕らを飲み込む。
あぁ、特別な夜だ。きっと僕の人生の中で1番。
愛してる。