「ジャングルジム」
ジャングルジムは良い。お日様の光を沢山受けて、子どもたちの沢山の声を聞ける。
ねぇ、そうでしょ?
「そうだけど、ジャングルジムって怖くない?落っこちたらどうするのさ?」
『昔はジャングルジムで鬼ごっことかしたよねー。懐かしいなぁ。いっつも椿が鬼だったもんね笑』
あの時の椿の必死に追いかける姿が好きだった。決して早くはないのに、一生懸命なのがどこか可愛らしかった。
「もう、うるさいな。今、馬鹿にしたでしょ!」
あぁ、可愛かったなー。
『私、あの頃の椿が本当に好きだったんだ。』
なんでだろう涙が溢れてくる。
「……。」
『困るよね、こんなこと言っても。でも、たまに帰ってきちゃうんだ。君との思い出に浸りたくてね』
「、、。もう良い加減目を覚ましなよ。」
『昔はさ』
「もう、僕はこの世にいないんだよ?いつまで、何十年もここで思い出を語る気?ねぇ!良い加減目を覚ませよ!!」
必死の思いで伝えるが彼女には届かない。
「ねぇ!!!!」
『わかってるよ。それくらい。』
「気づいて、たの?」
『ねぇ、椿私のこと好き?』
「大好きだよ。愛してる。」
そう言った途端にふっと笑う彼女。月に照らされた横顔はとても綺麗だった。
『そっか、、。私もすぐ逢いに行くよ。』
え?そう言った彼女の表情はわからない。ちょ、ちょっと待ってよ?
『君だけが私の灯りだったんだ』
愛してる。独り言のように呟いた彼女は、暗闇の中に消えていった。
9/23/2024, 2:36:40 PM