「何もいらない」
⚠️ヤンデレ、監禁表現アリ。
苦手な方は自衛をお願い致します。
僕は恵まれていた。
両親は大企業の社長だった。
小さい頃から欲しいものは全て手に入った。
おもちゃ、ゲーム、友達。金で手に入った。
運動も、勉強もできた。顔も良かった。
自分がすることなすこと、欲しいものは全て手に入る。そう思って生きてきた。
だけど、唯一手に入らないものがあった。
それが、君だった。
最初は、一目惚れ。長い髪の毛が風に靡いて、静かに笑う君に周りで騒ぐ女なんて目に入らないほど魅入った。
少し強引に誘えば、コロッと落ちるかなって思ったけど、君は全然落ちなかった。
面白いって思ったし、絶対手に入れたいと思った。
君がいたら、何もいらない。
そう思った。
何をしていても、君のことを考えてしまう。
君の仕草も、匂いも、甘い声も。全てが僕を狂わせていく。あぁ、大好きだ。
しかし美しい君には、たくさんの虫が寄ってくる。
光に魅入られた虫が。ほんとうに気持ちが悪い。
君に触っていいのも、君の姿を見て良いのも全て僕だけ。君に見合う男なんて、僕以外いないのだから。
このまま僕のモノになれば良い。
いくらでも、待つつもりだった。けど、気が変わった。
君は最近虫と付き合い始めたらしい。幸せそうに笑う君の目には僕が写っていないみたいだ。
許せない。君は僕のモノだ。
「そうだろう?」
目の前で泣きじゃくる君に話しかける。
彼女は目を腫らしながら、僕を睨んだ。
あぁ、可愛い。大好きだ。
「君がいれば、何もいらない。」
甘い香りのする彼女をそっと抱きしめた。
君は僕の大切なヒト。やっと手に入った可愛い彼女。
4/21/2024, 6:01:24 AM