姿も知らず、声も知らず、だけれども ずっと あなたは私にとって、心の拠り所でした。
あなたの場所で遊んだり、景色を見たり、お祭りも沢山しましたね。
あなたにとってどんな事だったのか、そもそも覚えていらっしゃるのか分かりませんが、大切な思い出です。
少し前までは足早に通って、お賽銭を置いて御祈りをしてすぐに帰って、私が一番あなたの元に通ったんじゃ無いかと思うくらいです。
私は気にしいですから、あなたに何か失礼をしてしまっているんじゃ無いかとか、私に本当は来てほしく無いのでは無いか、と 沢山思ったのです。誰かと自分を比べるような私は あなたに嫌われているんじゃ無いかと。
それから、足が向かなくなったのです。あなたの元へ行くのが怖くなってしまったのです。
私は、悪い子ですから。
それでも、また神社で揺れる提灯を見たいし、あなたにきちんとご挨拶もしたいです。
私が神社に行かなくなったのは、自分に自信が無いからで、きっと何処かやましい気持ちがあるんです。
お賽銭を持っていないから今日は行けないとか、これは言い訳でしたね。ごめんなさい。
自分の本心すらもあやふやな私ですけれど、あなたを介して、自分を真正面から見つめ直したいと思っているのは嘘じゃ無いのです。それだけはどうか、伝わってほしい。
とりあえず神社の近くの八重桜が咲いたら、寄ろうと思います。その次は夏。今年も祭りが出来るでしょうから、不安と楽しみな気持ちで待っています。
長くなってしまいましたが、これからもどうか見守って下さると幸いです。どうかお元気で。
神様へ
周りの人は皆んな 私の目から見たら、前を向いていた。未来に行こうとしていた。
私だけ置いてけぼりな気がして、鬼ごっこで置いて行かれた子供のような気持ちになりました。
わたしが遅いのか皆んなが急ぎ足なのか、思い出も捨てて何処かへ行ってしまうように私には見えてしまって、寂しいような、焦りのような気持ちでいっぱいになったのです。
まだ、留まっていたいよ。昔のままでいたいのに。
私は誰よりも、ずっと過去に囚われているのでしょう。まだ早い、まだ駄目だ、まだまだまだ。
私は 誰よりも、ずっと 過去に執着している。
どこかへ逃げ出してしまいたいと、何度願ったことでしょう。誰かの足元に縋りたかった弱虫な私。
重い腰を上げて、硬い足を動かして、私だって進むのです。置いてけぼりの私が、そうでなくなるように。
自分に誇れるように、自分を許せるように、
誰よりも、ずっと 未来に幸せを見つけられるように。
私たちの足元の影が伸びて、少しづつ夜と混ざってゆく。どうにも、日暮らしの声が私を一層寂しくさせた。
夏の終わり 君との思い出もこれっきり。
顔の見えない君は、何も言わないままに背を向けた。
私たちに、次はあるのだろうか。また、こうして過ごす日が来るのだろうか。
私たちは段々と大人になって、無邪気に遊ぶことも少なくなってしまう。だから私は怖い。
今までのことが、全て夢のようになって消えるのが。
長くて短い、子供時代。
また君とホタルを見れたらいいのにな。
君と走り回って、なんだって楽しくて、祭りの日には心が弾んだ私は、数十年後 どこへ行ってしまうのだろう
あの日鳴いた日暮らしは、今年は一、二ヶ月早く鳴いている。
変わっていくのだ。私も周りも。
時が経つにつれて思い出をなぞれるものすらも無くなってゆく。君もいつか、私の知らない人になってしまうのだろうか。
私の愛したこの場所も、百年後には何も残らないのだろうか。
あっという間の夢のようだった。
日差しを受けて揺れるビー玉の影、田道に咲いていた小さな小さな花。大切な貴方たち、嫌いなあなたたち。
今までの私の思い出はどれも大切だと今はそう感じます。
幸せだった時間も、苦しかった時間も、今の私を形作る大切なものだったって、そう思いたいのです。
本当に嫌で、苦しくて悔しくて、あまりに苦すぎる思い出もありますが、それもまた必要だったのでしょう。
どんなものでも、もう二度と体験し得ることのない
思い出になってしまったあの時間は かけがいがなくて、時折思い出しては、懐かしいなぁ と浸るのです。
私はまだまだ子供で未熟で、会えない人を思い出すたびに、切なくて悲しくてうずくまってしまう。
会えないのに、辛い思いをするのに、会いたいと思うほど、あなたとの思い出が頭を駆け巡って、余計に辛くなる。
二度とは戻らない時間。焦がれたところで仕方がないもの。もう過ごすことのない日々。
私は無くして初めて、懐かしいと思い出して初めて
その時間が大切なものだと知るのです。
私はあなたが好きじゃなかった。
嫌いでもなかった。
あなたとの間にはすっかり亀裂ができてしまったけど、今もずっと憎たらしいと思っているけど
あなたには幸せになって欲しいのです。
そうじゃないと許さない。
たった一度の喧嘩から、あなたへの信頼の糸はプッツリと切れてしまった。
それからは、あなたと居ることが苦痛で苦痛で仕方なかった。それなのに、あなたは何も気づいていない。
自分だけすっかり忘れて、勝手にも程があると強く思った。
あなたからは何にも教えてくれないのに、分かれ だなんて無理に決まってるじゃん!
どうしてこちらへ歩んでくれなかったの?
私からの言葉なんて聞いてもくれないし。
たくさんの積み重ねでとうとう糸は重さに耐えられなくなって、大きな音を立てて切れたのに。
あなたは自分が何を言ったかも忘れて、ヘラヘラと話しかけてくる。
こんなにあなたが憎らしいのに、許せないのに、
それでも幸せを願うのは、あなたが家族だからでしょうか。今まで一緒に居たからでしょうか。
私はもう、わからないのです。
振り回されっぱなしの私は、ずっと目が回って仕方がないよ。お姉ちゃん。