海喑

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10/15/2023, 1:11:05 PM

鋭い眼差し
肌寒い風が吹く昼下がり、私は駅前のショップで買い物をしていた。
普段なら彼と2人なんだけど用事があるらしく、仕方なく一人で来ている。
たまには一人もいいな、なんて思いながら。
すると後ろから話しかけられた、
「ねぇ、そこのお姉さん〜、今からぁ、俺らと遊び行かね?」
「……」
「お姉さんシカト〜?良くないね〜w」
嫌気が差したから私はそこから走って逃げようとした
するとパシッと腕を掴まれた
「逃げれると思った?」
「……!?」
その人の気持ち悪い眼差しが私に刺さった。
私の体が自然に震えていたのが分かった。
心の中で必死に彼の助けを求めた。
(助けて…貴方……)
私は目を瞑った、
そしたら
「ねぇ、誰。アンタら何してんの?」
聞きなれた声が聞こえてきた、私は目を開ける
目の前にいたのは貴方だった。
でも、いつもの貴方とは全然眼差しが違っていた
優しい眼差しとは打って変わって、とても鋭くて刃物のような眼差しだった。
それにビビったのかさっきの奴等は走ってった
「海暗、大丈夫?」
心配して私の顔を覗き込んできた、さっきの鋭い眼差しは優しい眼差しに変わって私の顔を見つめた
「うん、大丈夫。でもなんで貴方はここにいるの?なにか買いに来たの?」
「あっ…あ〜……」
「目泳いでるよ〜?そんなに隠さないといけないものなの?」
「家に帰ったら渡したかったんだけどなぁ…」
ガサゴソと持っていた紙袋から何かを出す
「これ、海暗似合うかなってさ、さっき買ったんだ」
見れば、それは綺麗な指輪だった。
「これ買って、店出てみたら海暗がいてさ。何かあったのかなって思ってみたら…
って感じでさ。あ、あとそれ、どうかな。」
少し心配そうな顔で私に尋ねた。
「勿論!すごい嬉しいよ。あとさっきさ、私の事助けてくれてありがとね。」
「全然、海暗が無事で良かったよ。そろそろ帰ろっか。」
私達は電車に乗る為に駅に向かった。
私はふと、私の事守ってくれるならあんな一面も見せてくれるんだと
正直驚きつつクスッと笑っていた。

10/10/2023, 1:35:37 PM

涙の理由
私は貴方が好きだ。
なんて、言うのは何回目だ?
私は自分に問う。
なんで、昔からこんな無謀な事をずっとしているんだ。
貴方に何度も、何度も、私の気持ちを伝え続けてきた。
だけど返事はYesじゃなかった。NOだったり、考えさせてって感じで保留にされたり…
でも、私はそれを責めたりはしない。
貴方がそれでいいなら、私もそれでいいから。
前まではこう思えていた。
貴方は私に、私を『親友』だって思ってる。と言った。
正直、辛かった。いくら想いを伝えたとて私たちは特別な存在にはなれない。
なるわけが無いんだ。
そう思っていた。
それから、私は貴方への思いがほんの少しだけ薄れた気がした。
怖かった。
貴方の事をこんな些細な事で嫌いになりそうで。

貴方にこの事を話した。
今思えば、私はなんて事を言ったんだろう。

「『親友』の意味合いは一応付き合っている親友…」
あなたはそう言った。
矛盾だらけだ、私はそう言って小さく笑った。
その時に涙も一緒に溢れてきた。
なんでだろ、なんで涙が溢れてきたんだろ。
私はふと気づく。
あぁ、ずっと前から願ってたことが叶ったからか、と。
そう思うとあの時、諦めなくって良かったなと思いつつ
私はいつものように返事をした。

10/6/2023, 12:39:24 PM

もう、貴方に会って何年も経っていたんだな
私はそう思いながら、強い風の吹く道を歩きながら思っていた。
待ち合わせの所に着く、何時来ても慣れないところだなぁ。
悴んだ手を自分の息で温めていると、また一層強い風が吹いてスカートが大きく靡く。
まだかなまだかなとソワソワしていると貴方が来る。
さっきまでの寒さがこの風に飛ばされてったかのように
体が温もりに包まれてった。
私は貴方に手を振って、貴方のとこにトコトコ歩いていく。
私の服とかを可愛いって言ってくれて頭を撫でてくれる。えへへ、と私が言うと更に撫でてくれた。
「海暗、行こ?」私の手を取ってこちらを振り向く。
私はうん!と返し、一緒に色んなとこに行く。

これを繰り返していると偶に昔の私を思い出す。
私は貴方にとっての『光』になりたかったことを。
私が貴方の事を好きになった時から、貴方を照らす、『光』になりたかった。
今、私がそうなっているかと言われても、何とも言えない。
寧ろ逆かもしれない。貴方が私にとっての『光』になっているのかもしれない。
そう思うと少し可笑しい。
過ぎた日の事、願っていたことをを想い、思い返すと、意外とそういっていないところの方が多い。
けど、そういってなくともとても楽しい。
貴方はそういう事すらも教えてくれ、貴方はすごいや。
ふと隣を見ると、優しい笑顔の君がいて私はつられて笑っちゃう。
過ぎた日の事を想うと、面白いことや新たな気付きがあってすごい面白い。
私は繋いでいる手をまたギュッと握った。

10/5/2023, 11:01:48 AM

私は一人、星が綺麗な夜を歩いていました。ふと立ち止まり、花壇に咲いている月下美人を見ながら思いました。
何時もなら、貴方と一緒に、この綺麗な夜道を歩いていたでしょう。ということについて。
ですが、もうそんなことはありません。気づいてしまったのです。
貴方が私の事を嫌っている事を。もう、昔から気づいていたのかもしれません。
ですが、それを考えたくは無かった。そう思うと、胸が苦しくなってきます。
だから私は今の今迄、その事を無いものだと思っていたのかもしれません。
しかし、もう貴方の近くに居ると今まで以上に貴方を苦しめてしまいそうで、
私は貴方から離れました。
すると、綺麗な宙が目に入りました。星々を見ていると、星座のことを考えます。
だけれども、私は正直、星座はよく分かりません。今見えているあの星々は何座かなんて、私には分かりません。
ですが、貴方なら分かるのでしょう。貴方は私より博識です。半年以上も毎日話していれば分かります。
星座のこともよく知っている筈です。だって貴方は星空が好きなのですから。
そう考えると私が今見ているこの景色は貴方の影響なのかもしれません。
本当、貴方に色んな影響を受けましたよ。
なんて言える訳がなく、ただ一人呟くだけ。
──この呟きも、貴方への思いも、貴方からの影響も何もかも、宙の美しい星となって
星座になってしまえばいいのに。
なんて、奇怪で可笑しいことを私は思っていました。
星座

9/30/2023, 4:17:47 PM

いつもの様に貴方と話していた。
貴方は何時も、私のダメなとことかをカバーしてくれる。
私はそうしてくれる貴方を見て、嬉しさと安心感。
そして罪悪感を背負っていた。
私だけ、こんなこと言っていいのかなって。
いつもカバーしてくれているけれど、これは嘘なのかな。
って考えるうちに罪悪感が積もっていった。
そんな中、貴方はいつもの様に私に微笑みつつ話してくれる。
その顔を見ると私は
貴方はそんな事考えない、と思えた。
積もりに積もっていた罪悪感が空に舞う花弁のように消えていった。
嗚呼、私は貴方と一緒じゃないとダメみたいだ。
そう考えると不意に笑みがこぼれて私もあなたと一緒に笑ってしまう。
あぁ、こんな日常がきっと明日も、
いや、ずっと
続いてくんだろうな
と信じていられる。

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