海喑

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私は一人、星が綺麗な夜を歩いていました。ふと立ち止まり、花壇に咲いている月下美人を見ながら思いました。
何時もなら、貴方と一緒に、この綺麗な夜道を歩いていたでしょう。ということについて。
ですが、もうそんなことはありません。気づいてしまったのです。
貴方が私の事を嫌っている事を。もう、昔から気づいていたのかもしれません。
ですが、それを考えたくは無かった。そう思うと、胸が苦しくなってきます。
だから私は今の今迄、その事を無いものだと思っていたのかもしれません。
しかし、もう貴方の近くに居ると今まで以上に貴方を苦しめてしまいそうで、
私は貴方から離れました。
すると、綺麗な宙が目に入りました。星々を見ていると、星座のことを考えます。
だけれども、私は正直、星座はよく分かりません。今見えているあの星々は何座かなんて、私には分かりません。
ですが、貴方なら分かるのでしょう。貴方は私より博識です。半年以上も毎日話していれば分かります。
星座のこともよく知っている筈です。だって貴方は星空が好きなのですから。
そう考えると私が今見ているこの景色は貴方の影響なのかもしれません。
本当、貴方に色んな影響を受けましたよ。
なんて言える訳がなく、ただ一人呟くだけ。
──この呟きも、貴方への思いも、貴方からの影響も何もかも、宙の美しい星となって
星座になってしまえばいいのに。
なんて、奇怪で可笑しいことを私は思っていました。
星座

10/5/2023, 11:01:48 AM