イブの夜
カーテン越しに見える積もった雪、そして綺麗な夜空に煌々と煌めく星々。そこからは昼間に作った雪だるまとかまくらが見えて、昼間の情景が安易に思い出せます。「どこ見てるの?」首を傾げながら彼女は言ったでしょう。私はその声に呼ばれてテーブルに目を戻しました。テーブルはいつもと異なり、綺麗なテーブルクロスが掛けられていました。そしてそこに置かれていたのはクリスマスケーキとチキンレッグ、そして綺麗なグラスに入れられたシャンパン。すごく美味しそうで今にも食べてしまいそうでしたが、少し待ってと彼女が言ったので、私は少し涎を垂らしそうになりながら待っていました。すると、彼女は手にミトンをはめて何かを思ってきました。よく見ると、彼女が持っていたのはバスケットでその中に入っていたのは焼きたてのパンでした。彼女が作るパンは何個でも食べれる程美味しくて、これが食卓に置かれると直ぐに消えてしまうほどです。「今日はすっごい上手に出来たの!」満面の笑みで彼女は言いました。その笑顔はすごい可愛くて、さすが私の彼女です。彼女の笑顔はこの世でいちばん美しいです。そして、2人は食卓につきいただきます、と言ってそれらを食べました。
「あぁ〜!美味しかった!」満足気な彼女は笑いながら自身のお腹をさすりました。「そうですね」私も笑顔で返しました。「ねぇねぇ」トントンと私の肩を叩いた彼女は私に耳うち声で「今日は特別なクリスマスイブになったね」と言いました。すこし頬を紅潮されつつ言われたものですから私はつい、口をこぼしてしまいました。「君がいなかったら、こうも特別にはなりませんでしたよ。」と、こぼしてしまいました。そしたら彼女はより一層頬を赤らめて「…私も」と言いました。
その顔は写真に収めたいほど可愛らしいものでした。今年のクリスマスイブの夜はとても特別な夜になりました。
どうすればいいの?
今日は珍しく私がご飯を作る日だ。
作ったことは無いし、寧ろ彼が作った方が断然美味しいのだけど
いつも任せっきりだし、今日は私が率先して作ることにした。
「むむむ…これがいいかなぁ…」
簡単な料理を調べて、分かりやすそうな動画を探す。
「あぁ、そうだ!カレー作ろう!」
思いつきでカレーを作ろうとする私、慣れていないものをどうして作ろうとするか。
「んーとレシピは…あっ、あった。これ見よう〜」
私はレシピを眺めながら材料を取り出し、取り敢えずの下準備をする。
最初はすごい順調に出来ていた。だが、安心したのも束の間だった。
「アク抜き?をしてから…ロー…リエ?を中に入れるの…?」
知らない単語が2連続でてきた。取り敢えず、ローリエ?は手元にあったからいいとして
アクって何?悪役のアク?
……いやいやいや絶対違う、かと言って聞くのもあれなんだよねぇ……
と思っているとガチャとドアが開いた音がした
「海暗〜、大丈夫そう〜?」
この声を聞いた途端
「ねぇ!!これどうすればいいの?!?!」
私はかなりの大声で聞く
「えっと…どこで止まってるの?」
手を洗いつつ私に問い掛けてきた。手伝ってくれるんだ、そう思うと私はすごい申し訳なくなった
「うぅ…ごめんね…私からやるって言ったのに…」
「ううん、全然いいよ。一緒にやろ?」
笑顔で笑いかけてくれた彼に私は笑顔で「うん!」と答えた。
そしてふたりで作ったそのカレーはすごく美味しかった。
たくさんの想い出
今日までで、いっぱいの事があったね。
貴方と会ってからあともう少しで1年だ。
時間が経つのは早いものだって言うけど、ほんとにそうだったね。
あっという間に一年が経とうとしていて私、すっごい驚いたよ。
......あのね、私ね、前からずっと言っていると思うんだけど
貴方の事、最初は嫌いだったの。
私よりも遅くみんなと仲良くなったのに、私よりそこに馴染んでって。
今までの私の仲良くなるまでの努力はなんだったんだってなって。
でも、これって八つ当たりだよねって私、気づいていたんだ。嫌いになった、何日後かに。
そうなった時から、貴方を嫌いだって思わなくなったよ。逆に、仲良くしたいって思った。
よく考えれば、私が貴方のこと嫌いになった理由って他にもあったよねってなって考えてみたんだ。
そしたら貴方が描いた絵の上手さに嫉妬していたんだって分かった。
これは、嫉妬じゃなくて尊敬で見ればいいよね。ってなって、貴方の絵を見て、たくさん学んだ。
貴方ともたくさん話して、描き方の話だとか、普通に雑談したりした。
こんな些細なことを繰り返していたら、貴方に持つ感情が変わっていった。
友達としての『好き』から恋愛としての『好き』に変わっていったんだ。
最初は戸惑った。なんで好きになったんだろって、どこでそうなったのか、当初の私でも分からなかった。
でも、この『好き』という感情は本当の事だったんだ。嘘偽り無い。
それを、色んな人に相談して貴方に直接想いを伝えなって言われたから私は勇気を振り絞って貴方に気持ちを伝えた。
でも、結果は呆気なく失敗に終わった。でも、そこで私は挫けなかった。
何回も想いを伝えていた、ある日のこと。
私たちがいたところでトラブルが起きた。
それには私も関与していた、今になったらどうしてあんなことしてしまったんだろって考え込んでしまう。
それで、トラブルに関与した人たちがほぼ全員いなくなってってた。いなくならなかったのは私だけだった。
だって、そこからいなくなったら貴方に会えなくなってしまうから。ここでまで、私は自分のエゴを貫こうとした。
けど、周りからの視線が怖くて、私はそこからいなくなった。
でも、貴方への心残りは沢山あった。
別のところに逃げ込んで、私は貴方のいない日々を過ごしていた。
そんな寂しい日々はすぐに変わった。
そこに貴方がやってきたんだ。
私は嬉しくて、前が滲んで見えなくなった。
また、貴方と話せるんだって。
とっても嬉しかった。
そこから、私たちはそこにいた時以上に話すようになって
2人きりで話す時間がすっごい増えた。
その間に、色んなイベントがあって、それを2人、みんなで楽しんだりした。とっても楽しかったよ。
この間にできたすっごい幸せな想い出、たくさんの思い出。
私は大事に大事に心の中に閉まっておくよ。
笑ってこれを面と向かって語り合える日が来るまで。
「うぅ〜...寒いねぇ」
「そうだね、海喑そんな薄着で寒くないの?」
北風が吹く寒い日のこと、貴方と一緒に買い物をしていた日の事。
「だってぇ、まだ11月じゃん!こんな寒くなるなんて分かんなかったしぃ...」
今日は寒いなんて全く思わなかったから、厚着なんてしてこなかった。
でも、外に出たらすっごい寒くて。着替えようかと思ったけど待たせるのはいやだからこのまま来た。
そしたら貴方にすぐこれを言われた。
なんでそんなにすぐ分かるんだろ。
「へぇ、じゃあどっかでマフラーでも買う?」
「そーしよ!一緒に買おうよ!」
「うん、そうする」
「えへへぇ、早く行こ!」
2人で手を繋いでマフラーを買いに行った。
11月、まだ秋だと思ったけど気がついたらもう冬が近い。
冬になったらとっても寒くなる。
だけど、貴方といる時の温もりはずっとこのままであってほしいな。
この心の奥から温まっていく温もりが私、大好きだから。
私はこの温もりを絶やさない為にずっと一緒にいるよ。
冬になっても、いつまでも。
私の傍から離れないでよ。
私の傍でずっと笑っていてよ。
私の傍でだけ、満面の笑みを見せてよ。
私の傍から、離れないでいてよ。
貴方には言えない、私のホントのおもい
でも……もう言わないのは限界だ。
他の人と私と話してる時と同じくらいの笑顔の貴方を見るのは。
そして、2人きりの時に貴方が飲んでいたレモンティーに睡眠薬を入れ、眠ったのを確認し貴方を攫った。
仄暗い、小さな部屋で。貴方が目を覚ます。
「……かっ、海喑?!」
「やっと起きたね、おはよう」
「ここって…」
「そう、私の家よ」
「なんで…?」
「だって、貴方が他のみんなの前でも私と話してる時と同じくらいの笑顔になるんだもん。
ねぇ。私の前でだけ笑顔を見せてよ。私にだけ笑って見せてよ。私の傍にだけいてよ。」
貴方は重そうに口を開く
「……なぁ、おかしいだろ。これは」
「なにが?」
「今、海喑がしようとしてることだよ…!」
「貴方が悪いの!私以外の人と仲良くしてる!
ねぇ…私の傍にいて。そしたら全部許してあげるから……」
怒っている貴方に優しく抱きつく。
私は貴方を大好きだからこうするの。怒らないで
そう小声で言いながら。
私達が、はなればなれにならないようずっーと傍にいてあげるから
だから、ずっとここにいてよ、ここで笑顔でいてよ。
ね?