ゆんたろす

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1/31/2024, 12:18:38 AM

私は兄たちが大好きである。
物心ついた時の記憶でさえ
兄たちがどこかへ行く時
「にぃ、にに、いっしょ、いくぅ」
なんて兄たちに遊んでほしさにずっとついてまわってた程である。
兄たちは決して優しい訳ではなく、きっとからかい対象として扱われたのかもしれない。

「お前はお留守ばーん♡」
「いい子にしてろよ。兄ちゃん、早く行こーぜ」


兄たちは夜中まで遊んでてもお父さんもお母さんも何も言わなかった。
私も一緒に行く!なんて言ったら両親に血相を変えて怒られたっけ。そして気づけば両親は別々に暮らすことになり、私は母と、兄2人は父と暮らすことになった。
そして、灰谷と言う苗字から、在り来りな苗字へと変更を遂げたのである。

中学に上がる前に一度、兄達をテレビで観てから大好きな兄達への想いがどん底に落ちた。
暴力沙汰で逮捕…少年院…?

『ママ、にぃとににが…』

パートに行く前の母親に声を掛けるとテレビを消される。

「…いい?もうお兄ちゃん達と関わらないことよ。」

そう言って家を出る母を見送ったあと、父に電話をかけた。

『パパ…あのね、テレビで…』

“…いいかい?パパとママはお前のことが大好きだ。だから、お前を危険な目に合わせたくなくて今離れ離れなんだよ。また会えるようになるから、今はもう少しだけ我慢してくれ…な?”

父は明るく装い、私に話す。
兄達のことを話す隙を与えてくれなかった。

自分から調べると、嫌な記事しか出てこなかった。
私の大好きだった兄達は、とんでもない不良になっていたのだ。

都内で灰谷兄弟の名前を知らない人間はおらず、私に被害が及ぶのを避けた両親は離婚し、私は苗字が変わった。
私の為にそこまでしてくれた両親に申し訳なさを感じるがそれ以上に両親泣かせな兄達を許せなくなった。
私はちゃんとまともになろう。喧嘩もせず、きちんと家に帰ろう。
中学に上がる年に、私は母と都心から県外の祖母の家の近くに移り住み、灰谷兄弟?なにそれ?
くらいの認知の学校で過ごした。
中高私立を通わせてくれて、何不自由なく過ごせてたはずだったが
大学受験、私立の東京の郊外の場所の推薦を貰った時、母の顔色は少し曇ったのを覚えてる。
大学の費用が家が建つ程の額なのだ。
今まで私立の中学、高校でお金が掛かったが大学はそれよりも多く費用が掛かる。
今まで祖父母からの支援も受けていたことを知っていたので、
公立の大学を受けるよ。落ちたら浪人はせず大学は行かない、推薦は蹴ると伝えると母は怒った。
父も反対した。なんとか工面するから待ってろと。

そんなある日だ。昔の灰谷の苗字と私の名前が書かれた小さな段ボールが届いた。

差出人の名前は

灰谷蘭
灰谷竜胆

私の事は周りには認知されていないはず。
母も父も徹底していたので、兄達からだと分かった。

住所は知られていないはず。なぜ分かったのか。
そんなことはどうでもいい。
今更、なんなんだ。
開けるのに戸惑った。
両親にも伝えるのを迷い、自分の部屋に保管していたが、
数日経ってようやく開ける決心をし、
念の為、家の近くの公園で開けることにした。

箱を開けると、分厚い封筒と手紙。

手紙の内容を見て、私は涙を流した。




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あなたに届けたい


ran rindの妹のお話

卍展行ってハマりました
何と書いてあったか、解釈は読者様にお任せします。



以下どうでもインフォメーション

妹ちゃんは蝶よ花よと両親に育てられ
人を疑うことを知りません
そんな妹ちゃんは陰でお兄ちゃんに見守られていますが
大学進学後、マッチングアプリにてホストに引っかかり…的なお話が書けたらいいなと思っております。

Xでも更新してるので
見つかったらよろしくお願いします。

1/8/2024, 6:30:48 AM


年末年始はバタバタで家にも帰れなかった私たち。
今日はお互い非番だったから片方の家で鍋でもつつこう、なんて話をした約束を彼は覚えていたらしい。
休みの日を聞かれて、今日であると答えると
10分待ってろと言い電話を切られた。
10分後インターホンが鳴り鍵を開けると鼻を赤くした彼の姿。
鍋の準備するから、テメーはコタツでゆっくりしてろ
なんて、無愛想な顔で口の悪いことを言うのはいつものこと。
ありがとう、とお礼をしてお言葉に甘えることにした。
手際よく準備が進んでいきあっという間にお鍋セット完成。
いい塩梅にお酒も進んだあと

『あっ……雪』
「……あ?」

窓を見ると真っ黒な空から白い綿毛のような雪がふわふわと舞っていた。

こんなにゆっくり雪を見るのなんて学生以来だねぇなんて
窓を開けると冷気が部屋に入って身震いした。

「さみぃから閉めろ」

後ろからカーディガンを羽織らせてくれる私の戦友。
こんなに気がきくのに熱愛報道が無いのが驚きだ。

『勝己ってさ』
「あ?」
『彼女とかいないの?』
「……はぁ……」

大きなため息をつかれ、バカにされたような目で見られる
何故だか分からないがとても腹が立ち脇腹をつねると頬をつねられ返された。

「お前がいるからいーんだよ」
『はいはい、ありがとう』
「……酒無くなったから一緒に買いに行くぞ」
『……ん』

かっこいいこと言われても可愛げのない私は気付かないふりをするけど、
そんなこときっと彼にはバレてるだろう。
もう少しだけ、この関係を続けられますように


……なんて思ってた3日後に
私と彼の熱愛報道が出て忙しい日々に拍車がかかったのは言うまでもない




ーーーーーー
hrak

1/7/2024, 8:23:50 AM

ヒーローだった私がこの世界に来て半年。
なのだが

『私も先陣切って討伐したいんだよなぁ』

ーーーー
私もみんなと戦えるよ?

という発言にパレスの執事たちはアモンを筆頭に大反対をしたのだ。
主様を危険にあわせるわけにはいかないと言われるのは分かるがこちとら元プロヒーロー。死地は嫌という程乗り越えてきたと思ってる。
こうなれば強行突破をするか。

ーーーー
朝夕の鍛錬の時間は把握済み。
朝の2階組の鍛錬を見学させてもらう事にした。

まずはアモン、ボスキの組み手
次にハウレス、フェネスの組み手を見て

『勝てる』

確信した。

「……主様?」

私に気付いたハウレスが息を切らして駆け寄る。

『ねえ、ハウレス。私も入れて』
「鍛錬に……ですか?でも……」

「主様、ダメっすよ。」

いつの間にかアモンが近くにいてハウレスの言葉を遮り反対を申し出る。

「主様を危険な目にあわせないように、俺たち執事は鍛錬をしているんっすよ。だから主様が強くなる必要はありません」



「……よく言うぜ、アイツ主様がこっちに来てから鍛錬サボらなくなったよな」
「ボスキ、聞こえちゃうよ」

『じゃあ、私がハウレスに剣で1本でも取れたら鍛錬参加していい?』

「人の話聞いてるっすか!?!?」

聞いてるけど聞いてないよ。

『だって私も君と一緒に戦いたいから』



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hrak×aknk

君と一緒に

1/4/2024, 4:52:38 PM

「主様は今」

幸せっすか?

聞かれた時に息が詰まった。
幸せ、とはなんなのか。

仕事は辛くて、休日にも楽しみがなく、
友人もどんどん結婚したりキャリアアップで忙しく疎遠になり
SNSを見るのも億劫。
料理を作るのも、掃除をする気力さえ無い私を
それでも主様と呼んでくれ、世話をしてくれる執事たちにとって
私はどう見えてるのか。

明らかに顔に出てしまってたのか、アモンはヘラっと笑って
今日のアフタヌーンティーはロノ特製のカボチャのタルトがあるらしいっすよ~
なんて話を変えてくれた。
きっと、意味なんてそんなに考えてなかった。
ただ、幸せかと聞いただけ。それだけ彼らには幸せというものが身近にあるのだろうか。

アモンがティーセットを準備しに席を外した後、気持ちがどうも落ち着かなくて部屋から出た。
厨房の前を通ると香ばしい匂いが鼻に流れ込む。

「できた!うん、いい感じだな。焼きたてだから早く食べさせてあげたいぜ!」
「ロノ、ジャムってこれだけっすか?」
「今日はブルーベリージャムとマーマーレードジャムを用意したんですけど、主様苦手でしたっけ?」
「いやーーーー……ジャムの種類多くしたら喜んでくれるかなって」
「なんですか、それ」

聞くつもりも無かったが厨房での声が耳に入る。

「少しでも主様が喜んでくれればって思うんすよ。さっき元気無いように見えたから」
「えっ……主様具合悪いんですか!?」
「いや、そういう訳じゃなさそうっすけどなんか…お疲れのようだったんすよね。疲れたら甘いものがいいけど、いつもと同じだと味気ないからなにか喜んでもらえる事ないかなーって思って」

やっぱり顔に出てしまってたのがバレたのか、恥ずかしくなる。
聞いてたらどんどん自分が情けなくなってくる気がして
さっさとこの場から逃げることにした。

庭に出るとラムリがいた。
天気がいいからか、木陰で寝そべって日向ぼっこをしていたので声をかけるのはやめた。
私もどこか、休める場所…とラムリがいる木とは別の木の木陰に入って座ってみる。

「主様??」
『うわっ!!』
いきなりガバッと起き上がったラムリに思わず声をあげてしまった。
起き上がって私の元に来たラムリは隣にピタッとくっついて
一緒にお昼寝しましょ!

と誘ってきた。ティーセットの準備できっとアモンは時間がかかってるし、きっと呼びに来てくれるだろう。
快諾し、自分も横になる。

「……僕の話してもいいですか?」

傍でラムリが話し出した。

「僕、今凄く嬉しいし、幸せなんです。」

……また、幸せについてか

『……なんで幸せなの?』

羨ましい、と同時に少しだけ妬ましくもあった。
私は幸せ、なんて感じたことないのに
ここの執事は幸せだと口に出して、顔に出して私に笑いかける。
羨ましい、妬ましい、なんで、どうして

「だって、主様と一緒にいられる時間が増えたから」
『え……?』

たかが、それだけで?

『それって幸せ?なの?』
驚いて聞き返すと、ラムリは元気良く返事を返した。

「主様がいない時より今が楽しいんです。主様が来てから嬉しいことばかりなので!」

皆そう思ってますよ!と続けるラムリに

『私、幸せって思えたこと無い』

傷つくであろう言葉をつい、放ってしまった。
ハッとしてラムリを見ると、きょとんとした顔をした後、少し笑いながら私の頭に触れる。

「じゃあ、主様が幸せーって思えるように僕がいっぱい頑張っちゃいます!大丈夫!!実は幸せって案外気づきやすくて気づきにくいところにあるんですよ!」

ルカス様に聞いたんですけどね!と得意げに話すラムリを見て
謝るタイミングを逃してしまった。
頭を撫でてくれるラムリの手は温かくて、同時に自分が情けなくなり涙が溢れた。

「大丈夫、大丈夫。主様はもっと僕達を頼ってくれていいんです。それが僕達の幸せだから。……だからもっと沢山こっちに帰ってきて?」

そっか、幸せって見えてなかっただけで
近くにあったんだ。

『ありがとう、ラムリ』
「僕達はずーっと主様の幸せを願っています!」




ーーーーーーー
幸せとは

aknk





1/3/2024, 10:39:49 AM

パトカーのサイレンが鳴り響く中
薄暗い空から少しだけ眩しい光が見えた。

『うーーわ……年明けちゃった…』

思わずつぶやくぼろぼろな私。


「ははっ。あけましておめでとうございます~」

笑うぼろぼろの速すぎる男。



ーーー

今日、本当は私たちは2人で家でゆっくりする予定だった。
そのために仕事を済ませたはず……だったのに

自分と彼の電話が鳴った瞬間に顔を見合せ、思わず笑ってしまった。

電話の内容は勿論仕事で、同じ内容の任務。
お互い怪我しないように約束はしたけど、そんな訳にはいかず。
私は腕に火傷、ホークスは足を負傷した。

「散々ですね、ほんと」
『だね~』
「病院行きます?」
『年明け早々迷惑掛けるねぇ…』

なんて話してると無傷のエンデヴァーが駆け寄ってきた。
負傷者は数人いたが、一般人含め私たちが1番怪我が酷かったらしく、救急車で病院へ行くことになった。

『どっちが乗ってく?』
「レディーファーストで」
『あらありがとう』
「心配なので一緒に乗っていきますけど」
『そしたら私より足怪我してるアンタが搬送されなよ』

怪我をしていても口の減らない私たちを見てエンデヴァーは溜息をつく

「ヒーローがいない世の中になるように」

呟くホークスに痛めていない手でホークスの手を握った

『それまでは頑張らなきゃね』


遠くから救急車の音が聞こえてきた。

ーーーーー
日の出

hrak

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