ゆんたろす

Open App


年末年始はバタバタで家にも帰れなかった私たち。
今日はお互い非番だったから片方の家で鍋でもつつこう、なんて話をした約束を彼は覚えていたらしい。
休みの日を聞かれて、今日であると答えると
10分待ってろと言い電話を切られた。
10分後インターホンが鳴り鍵を開けると鼻を赤くした彼の姿。
鍋の準備するから、テメーはコタツでゆっくりしてろ
なんて、無愛想な顔で口の悪いことを言うのはいつものこと。
ありがとう、とお礼をしてお言葉に甘えることにした。
手際よく準備が進んでいきあっという間にお鍋セット完成。
いい塩梅にお酒も進んだあと

『あっ……雪』
「……あ?」

窓を見ると真っ黒な空から白い綿毛のような雪がふわふわと舞っていた。

こんなにゆっくり雪を見るのなんて学生以来だねぇなんて
窓を開けると冷気が部屋に入って身震いした。

「さみぃから閉めろ」

後ろからカーディガンを羽織らせてくれる私の戦友。
こんなに気がきくのに熱愛報道が無いのが驚きだ。

『勝己ってさ』
「あ?」
『彼女とかいないの?』
「……はぁ……」

大きなため息をつかれ、バカにされたような目で見られる
何故だか分からないがとても腹が立ち脇腹をつねると頬をつねられ返された。

「お前がいるからいーんだよ」
『はいはい、ありがとう』
「……酒無くなったから一緒に買いに行くぞ」
『……ん』

かっこいいこと言われても可愛げのない私は気付かないふりをするけど、
そんなこときっと彼にはバレてるだろう。
もう少しだけ、この関係を続けられますように


……なんて思ってた3日後に
私と彼の熱愛報道が出て忙しい日々に拍車がかかったのは言うまでもない




ーーーーーー
hrak

1/8/2024, 6:30:48 AM