秋の入り口は小さく、そこから織り成される季節の出口は澱みなく真っ直ぐに広がっていく。
その流れは短く、儚い幻のようでもある。
静かに染まっていく葉は夏に置き忘れた言葉。
それは、ずっと探していたのに、いつの間にか心の奥に埋もれていたもの。
ようやく見つけたその言葉の声を、影が迷い込み覆ってしまう前に捕まえておこう。
秋の光が、記憶を呼び覚ますように木々の上に淡く輝いているうちに。
「秋🍁」
男の子は裸足になり、地面の温もりを感じながらジャングルジムへと足を運ぶ。
彼は白岩山羊のような軽快さでその高みへと登り始める。
てっぺんにたどり着くと、彼は何かを空へと放り投げた。
その動作は、キラキラした四和音のように、周囲の空気を震わせる。
彼は5つ降り、また5つ降り、さらに5つ降りて、地面に戻ってくる。
そして、再び登ろうとするのだ。
とうの昔にジャングルジムを登ることを忘れてしまった大人たちは、ただその様子を見守る。
しばらくすると、大人たちは揺らぐ空気に酔いしれながら、地面の上で踊っていた。
彼ら自身が音楽の一部となり、身体の奥底から湧き上がるリズムに委ね、ジャングルジムを見上げ両手を挙げて踊るのだった。
「ジャングルジム」
君の中に夢と涙が宿る限り、フェニックスは君に寄り添う。
君が愛を語るときや、幸福の音を聴いている瞬間、さらには大切なものの微かな響きに耳を傾けているとき、フェニックスの方から君に近づいて、その透明な羽の先で、君のうたかたの時を静かに止め、心の中に永遠性を与えてくれるのだ。
「時間よ止まれ」
お鳥様が夜空を飛んでいると、灯りの寂しい村の夜景が目に映った。
ここはお年寄りが多く、若者たちは次々と他の町へと移っていき、住んでいる人々は減り続ける限界集落である。
お鳥様は金色の紙で花を折り、その花に優しく息を吹きかけ、空から村にそっと放った。
折り紙の花はくるくると舞い降りふわりと地面に着地すると、そこから金色の花が咲いた。
夜空からのその光景は、とても美しく映し出された。
翌年、その金色の花の隣に、若者の夫婦が戻って来て家を建て、子どもを産んだ。
しかし何年かが過ぎ去り、
若者夫婦は再び村を後にしてしまった。
それでも、金色の花はその数を増し輝き続け、美しい夜景が村を照らし続けている。
「夜景」
約束の始まりを忘れ去ったかの地。
傷つけ合ったその痛みは消えることはないのだろう。
傷を負い、さらに傷を引き起こす連鎖は続く。
心の渇きが募るたび空は静かに泣いている。
だがその涙は潤いをもたらすことはなく
暗い煙が立ち込める場所に絶え間なく雨は降り注ぐ。
乾いた背中を追うように、空が涙を流し続けている。
その後ろ姿がどれほどの悲しみを抱えているのかを、空は知っている。
「空が泣く」