イケメン猫とフェニックス君は、ランチに味噌カツ丼を楽しんだあと、コスモスロードをドライブしようということになった。
街と街を結ぶ道沿いには、ピンクや白、黄色のコスモスが一面に咲き誇っていて、優しい風が花々を撫でていた。
澄んだ青空の下、空気にはまだ夏の名残があったけど、時折コスモスがそよぐのを見て、やはり秋の訪れを感じられずにはいられなかったね。
二人は車を降り、コスモスのそばで少しお散歩をした。
やわらかな風に包まれながら、肩の凝りもいつの間にか和らいでいくのを感じた。
心が満たされて、目の前に広がる美しい景色に秋の予感を見つけることができたのさ。
「花畑」
約束の始まりを忘れ去った彼の地。
傷つけ合ったその痛みは消えることはない。
傷を負い、さらに傷を引き起こす連鎖は続く。
心の渇きが募るたび空は静かに泣いている。
だがその涙は潤いをもたらすことはなく
暗い煙が立ち込める場所に絶え間なく降り注ぐ雨。
乾いた背中を追うように、空が涙を流し続けている。
あなたたちの後ろ姿がどれほどの悲しみを抱えているのかを、空は知っている。
「空が泣く」
僕は、命が燃え尽きてもその炎から新たに生まれ変わるという、神聖なお鳥様だ。
昔まだこの世界が若かったころ、海の上を飛んでいた僕の羽が、波を起こした。
その波の中からベニクラゲが誕生した。
そうしてベニクラゲは不老不死になった。知っていたかな?
君も僕を捕まえて、不老不死になりたいのかい?
でも、僕がペットのように捕まるわけにはいかない。
僕の存在は、君たちの夢と涙で構成された集合体なのだから。
僕は、君たちの情熱が具現化した尊いお鳥様フェニックスなのだよ。
「命燃え尽きるまで」
目を覚まし私は掌で髪を束ね窓辺に立つ。
時はまだ傾き届かぬまま、窓を開けると紫紺色の空気がかすかな冷えた草の香りを運んでくる。
もうすぐ龍雨は地に戻る頃だ。
遠くの地平線では、光が静かに昇り来るだろう。
深呼吸を一つ。
小さな一日がまた始まる。
「夜明け前」
季節の夏の中を跳ねる。
そして、いつもなら9月のやさしい雨に佇み、そっと秋にふわりと着地するはずだった。
だけど今年はきっと10月になってもまだまだ夏で、暑い日が続いてると思っていると、いきなりドスンと晩秋が落ちてくるかもしれない。
「雨に佇む」