ネジが外れたウサギ

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8/14/2024, 5:13:48 AM

嫌なことの積み重ねで心を病んだ十年前。

そのときの心の薬となったのは、

一種のファッション雑誌だった。


non-noとかZipperとかCanCamとか、

さまざまな青文字系や赤文字系のファッション雑誌を

読んできた私にとって、

心の薬となったモード誌だけは

私に知らない世界を見せてくれた。


服の価格とか、似合う似合わないとか、

そんなのはどうでも良くて

ただ、その雑誌(ヴォーグとか装苑)に出てくる服は

その頃の私にとって、

見ているだけで幸せなアートだった。


その服を芸術らしく魅せている写真こそが

心の薬となった、とも言えるだろう。


心の健康を少しずつ取り戻し、

今では普通に働けるようになったのは、

私を一番に魅了した、『コムデギャルソン』という

ブランドの服のデザインがキッカケだと今も思う。

8/12/2024, 6:41:50 AM

あいみょんのマリーゴールドがヒットした年の夏。

私たちは出会い、交際を始めた。

きっかけは、淡白なありきたりのものだった。


君の職場のコンビニで、

私が祖母に頼まれた小さなあんぱんを探していたが、

見つからず品出し中の君に尋ねた。


君は嫌な顔ひとつせず、笑顔で

「もしかして、この商品ですか?」と聞いてきた。

そのあんぱんが私の探していたものだとわかると

「それです、ありがとうございます」

と御礼を言ってレジに向かった。


すると、店員が少ないせいか君が慌てて会計をしてくれた。

会計を済ませた後、君は丁寧にお辞儀をした。


その日から私は祖母に頼まれてなくてもパンを買いに

君のコンビニに時々、行った。

それを重ねていくうちに私は彼から

未発表の新商品を教えてもらったり、

アプリの新着のクーポンを教わり、使ってみた。


私はお金を落としていくことしかできないけど、

それで君と話せるから、嫌なことも忘れられた。


君の方から「LINEを交換しよう」と言われ、

ロケット花火のように私の心は跳ねた。

その夜、私は君の車で牧歌の里に行く約束をした。


デート当日。

牧歌の里に着き車から降りると、

私がかぶっていた麦わら帽子が風で舞った。

君が追いかけ、華麗な飛び蹴りのようにキャッチした。

「ありがとう」と君に見惚れながら言うと君は

無邪気な笑顔でその麦わら帽子を被って言った。


「俺、マリーゴールドに似てるかな?」

とふざけて言う君を見て私は、

「私があいみょんだったら、違う花にしたかも」

とふざけて言いながら笑った。


8/10/2024, 4:16:15 AM

「好きです」って誰かに告白した回数は数知れない。

だけど、それと比例してフラれた数も数知れない。


そんな屈辱と孤独感を背負って生きてきたことを

君と出会ったことで払拭された。


先が見えてるのに言うのがアホらしくなるほどの

君に言った、10回目の「好きです」。


結果は真逆の結果だった。

君は「俺も好き」と言ってくれた。

その日から私は桜色の人生を歩み始めた。


そして、彼から多くのことを恋愛と人生にまつわる

さまざまなことを教わった。


私は恋愛に正解なんてないということも、

彼が教えてくれた。



上手くいかなくたっていい。

その恋が実らなくても、

いつかは自分を探している愛してくれる人に出会える


上手くいかなくたっていい。

その挑戦が無駄になったとしても、努力し続ければ、

いつかは金メダル並みの報酬が何かの形で得られる。


それらを彼との恋愛で教わった。

8/9/2024, 6:22:21 AM

私は大きな木の一部の花である。

愛しき者に栄養を与える実をつける花だ。


その者が人でも、動物でも、他の生物でも関係ない。


ただ、花として私があげられるのは、限られてる。

場を盛り上げるとか、花占いに付き合うとか、

花冠として誰かを飾るとか。


だから、私は自分が最期に実をつけ、

誰かの役に立ちたい。


そのために、私は蝶に手伝ってもらう。

ミツバチでも構わないけど、

蝶のように華麗な羽を持つ彼女たちの助けを借りれば

最強の栄養のある実を成せるかもしれないから。


一生の短い私が愛しき者にとって、

少しでも心に宿る花でいたい。

8/8/2024, 6:43:06 AM

中学生の夏。

私は、毒親からのネグレクトと学校でのいじめにより

PPSDになって学校を去った。


それから良識ある大人の助けのおかげで私は

児童養護施設に入り、親から離れることができた。


ろくに勉強なんてして来なかった私だけど、

与えられた環境で勉強に励んでみると

意外と楽しかった。

習ったことを活かして問題を解き、正解した時の

あの喜びは嬉しかったし、本当に楽しかった。

そして、私は上京して進学校の高校に入学した。


スーパーでバイトをしながら生活費と学費を稼ぎ、

多額のお金を貯めた。


ある日私は、スーパーで買った中華調味料を使って

アプリのレシピをもとに卵スープを作った。


それがとても美味しくて、

職場でそれを言うと先輩方が

「それ、あんまり売れないのよ。

だから、popに書いて宣伝してみない?」

と背中を押してくれた。


それが私の転機だった。

初めて書いたその中華調味料のpopは、

お客様から好評だった。


それを機に、私は新商品が出るたびに試して宣伝した。

それだけではなく、頼まれる仕事も増えて、

段々レベルが上がっていった。

売り上げは本当に少しずつだけど、伸びていった。


私が大学受験を目指すと職場の先輩に宣言したある日。

「いつか過去のスーパーの社員になって」

と、店長から言われた。

そして私は、大学に通いながら

そのスーパーで引き続き働いた。


卒業後。

私はそのスーパーに就職し、

発注の仕事などしている。


この就職は最初から決まっていたのだろうか。

自分でもよくわからないけど、

間違った道には進んでないと思う。

誰かの役に立つことに誇りを持っているから。

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