ふうり

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11/8/2024, 12:45:56 AM

あなたとわたし
全く同じ時に生まれた
貴方の声と顔は
私の声と顔と同じだった
あなたとわたしは同じだと思った

あなたとわたし
母親が死んだ
貴方は本を読み漁った
私は泣きじゃくった
あなたとわたしは同じだと思っていた

あなたとわたし
考え方が違った
貴方は論理的に考えるのが得意で
私は感情的に考えるのが得意だった
あなたとわたしは違うと思った

あなたとわたし
歩む道が変わった
貴方は研究者になって
私はカウンセラーになった
あなたとわたしは違った

あなたとわたし
目指したいものは同じだった
貴方はとある病のワクチンを作り
私は残された人の心を支えられるようになった
あなたとわたしは同じだった

お題『あなたとわたし』

9/18/2024, 3:35:33 AM

ふわり、ふわりと蝶が飛ぶ。
柔らかい羽に重たい血が落ちてくる

蝶は雨宿りをしようと
大きな木の下にたどり着く

目の前に映る花畑は
血の雨で真っ赤になっていた

お題『花畑』

9/11/2024, 12:14:49 PM

崩れ切った建物で
破れたカレンダーがひらりと落ちる
可愛いかぼちゃが描かれ、31日に花丸が付けられ、
側には仮装用のマントや、仮面がちらかっている。

外には破れた白旗が静かに揺れ、誰かの嗚咽声が街中に響き渡る。
統一された服を着た者達が、銃を握ったままあっちこっちで横たわっている。

そんな街に、裸足で歩く音が聞こえてくる。
青色の服が返り血で染まり、小さな体躯には似合わない銃を背負っている。
赤く染まった目で、銃を取り出し構える。
目線の先には、白色の制服を着た男が、にたにたと笑っていた。
物陰に隠れ、冷静に標準を合わせる。
呼吸を落ち着け、次に撃つ標的を確認し、震えなくなった指で、引き金を…引いた。

敗れた町に、反逆の発砲音が鳴り響いた。

お題『カレンダー』

9/7/2024, 9:36:40 AM

薄明時が時を告げた

あの人から告げられたタイムリミット
それが、今日の薄明時。

逃げなきゃ
地平線から徐々に姿を見せる太陽から、必死に逃げた。
逃げて 逃げて 逃げて 逃げ続けて
靴がボロボロになっても
人々が私を邪魔しようとも

生きたい 生きなきゃいけない 生きなくてはいけない
死にたくない 死ねない 死んではいけない

後ろから爆発音が聞こえてくる
人々の悲鳴が聞こえる

タイムリミットの時を告げた太陽は
全てに等しく死を与えた

お題『時を告げる』

9/5/2024, 11:24:22 AM

紫色の空が広がり、青色の海がたぷたぷと揺れる。
ベージュ色の砂浜には、色も形も様々な貝殻が散らばっていた。

ワンピースを着た少女が、裸足で砂浜に足跡をつけていく。
オレンジ色の巻貝を拾い上げ、ふっと息を優しく吹きかけた。

貝殻は砂でできていたかのように、小さな粒子となってバラバラになり空に浮かんだ。
そして細かく並び、映像を作り出した。

それは貝殻に詰まった、狂気の映像。
戦争を繰り返し、栄光と領地の為に戦った兵士達の、血と怨嗟の記憶。
悲鳴と命乞いの声が鳴り響いた後、その映像は夢だったかのように消えてしまった。

少女はさっきと同じ様に、貝殻を拾い続けた。
狂気の墓場であるこの砂浜の
貝殻が全て消え去るまで

お題『貝殻』

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