ふうり

Open App
9/11/2024, 12:14:49 PM

崩れ切った建物で
破れたカレンダーがひらりと落ちる
可愛いかぼちゃが描かれ、31日に花丸が付けられ、
側には仮装用のマントや、仮面がちらかっている。

外には破れた白旗が静かに揺れ、誰かの嗚咽声が街中に響き渡る。
統一された服を着た者達が、銃を握ったままあっちこっちで横たわっている。

そんな街に、裸足で歩く音が聞こえてくる。
青色の服が返り血で染まり、小さな体躯には似合わない銃を背負っている。
赤く染まった目で、銃を取り出し構える。
目線の先には、白色の制服を着た男が、にたにたと笑っていた。
物陰に隠れ、冷静に標準を合わせる。
呼吸を落ち着け、次に撃つ標的を確認し、震えなくなった指で、引き金を…引いた。

敗れた町に、反逆の発砲音が鳴り響いた。

お題『カレンダー』

9/7/2024, 9:36:40 AM

薄明時が時を告げた

あの人から告げられたタイムリミット
それが、今日の薄明時。

逃げなきゃ
地平線から徐々に姿を見せる太陽から、必死に逃げた。
逃げて 逃げて 逃げて 逃げ続けて
靴がボロボロになっても
人々が私を邪魔しようとも

生きたい 生きなきゃいけない 生きなくてはいけない
死にたくない 死ねない 死んではいけない

後ろから爆発音が聞こえてくる
人々の悲鳴が聞こえる

タイムリミットの時を告げた太陽は
全てに等しく死を与えた

お題『時を告げる』

9/5/2024, 11:24:22 AM

紫色の空が広がり、青色の海がたぷたぷと揺れる。
ベージュ色の砂浜には、色も形も様々な貝殻が散らばっていた。

ワンピースを着た少女が、裸足で砂浜に足跡をつけていく。
オレンジ色の巻貝を拾い上げ、ふっと息を優しく吹きかけた。

貝殻は砂でできていたかのように、小さな粒子となってバラバラになり空に浮かんだ。
そして細かく並び、映像を作り出した。

それは貝殻に詰まった、狂気の映像。
戦争を繰り返し、栄光と領地の為に戦った兵士達の、血と怨嗟の記憶。
悲鳴と命乞いの声が鳴り響いた後、その映像は夢だったかのように消えてしまった。

少女はさっきと同じ様に、貝殻を拾い続けた。
狂気の墓場であるこの砂浜の
貝殻が全て消え去るまで

お題『貝殻』

7/5/2024, 6:54:14 AM

神様だけが知っている秘密

人間達には理解してはいけない秘密

唇らしき部位を動かし

言葉を発した

選ばれた人間だけがその言葉を聞ける

脳が認識し 心で理解する

選ばれた人間は深く、深くお辞儀をした。

満足そうで、これからを生きようと心に決めた顔を見せ、神に背を向け帰路につく。

「良かった」

人間は雨粒のようにぽつりと呟いた

首にぶら下げているネックレスを握りしめ

神の地を離れた

人間が聞いた言葉は

神が教えた言葉は

神様だけが知っている

お題『神様だけが知っている』

7/2/2024, 12:34:44 PM

日差しがぎらりと輝く

鉄板みたいに熱くなった

コンクリ地面を見て

僕はぽつりと呟く

「あの時みたいだな」

お題『日差し』

Next