ぽたり ぽたりと天井から水が落ちる
錆びついた鉄の壁と床は、肌に痛みを与える程の冷たさになっている。
そんな床の上で、俺は目覚めた。
起きあがろうとするが、腕も脚も上手く動かせない。
なぜかと視線を移すと、錆びて緑になった鉄で動けないようにぐるぐると拘束されていたからだ。
集中してそれを力で壊そうとするも、なぜか使えない。
「無駄じゃよ」
頭上から声がする
幼く、舌足らずのその声の持ち主は、大人でも足がつかないであろう椅子に、これでもかと偉そうに足を組んで座っていた。
緑色に錆びた大きな椅子に座るその子は、まるで人形のように整った顔立ちだ。
いわゆる"ロリ"と呼称されるぐらいの体躯
肩まで伸びたクリーム色の髪に、虹色の瞳。
黄色い軍服は、体に似合わずぶかぶかだ。
「その鎖は、想いの力を封じ込める力を有している。
お主の力でも、破壊することは不可能じゃ。」
「あんた、何者だ?何が目的だ。残念ながら俺はフリーでね。どこの組織にも所属してねぇから、人質としての価値はねぇぞ。」
「ふっ、そうあれこれ喋るんじゃない。
最後まで吾輩の話を聞くのじゃ。」
彼女は椅子から飛び降り、俺の前にしゃがむ。
「お主、あの宗教バカどもに一泡吹かせてやりたいと思わないか?」
宗教バカ
言葉は悪いが、どいつを指してるかはすぐに検討がついた。
「協力してほしいのか?」
「そうだ。だからこんなに強引になってしまったが、お主をここに呼んだんじゃ。お主の力を使われては、この拠点は壊滅してしまうからな。」
「…はいオーケーなんて、言えるわけないだろ。」
「ま、それもそうだ。だが、お主は必ず吾輩に協力することになる。」
彼女は椅子の裏にある何かを取り出した
それは大きな旗だった
軍隊が行進する時に使うぐらいの、あの大きい旗。
その旗は彼女の瞳の虹色に輝いており、真ん中には剣のマークが刻まれている。
それはあのマークだった
俺が探し求めていたあれだった
「改めて自己紹介をしようじゃないか」
「吾輩は虹色の開拓者。全ての者に色を与え、モノクロの馬鹿どもを粛清する皇帝でもある。」
お題『七色』×『吾輩』
3/27/2025, 9:14:23 AM