ふうり

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その瞳は赤星のようだった

明るくても肉眼で見れる赤い星
狂気を予知させるような不穏な色
すれ違った彼女の瞳は、そんな色だった。
顔も知らないし、名前も知らない。
だが、妙に記憶に残る瞳だ。

歩みを止め、後ろを振り返る。
赤星の瞳を持った女性は、膝上のスカートを風になびかせながら、歩き去ってしまう。
見ず知らずの他人を理由もなく呼び止める度胸は、僕には無い。
そのまま僕も目的地の方へ、歩みを進めた。

まさか再開するなんて思わなかった
再開するにしても、同じ学校でばったり。
そんな平和な再開なんだろうって

僕がその赤星を見た状況は
君が僕の心臓を、貫いた時だったんだから。

お題『すれ違う瞳』×『赤星』

5/5/2025, 8:14:44 AM